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兄弟同じチームで臨む最後の夏 ~山梨・富士北稜高校~

  • 2020年8月12日

この夏、新型コロナウイルスの影響で、甲子園、そして地方大会が中止になりました。全国各地で代わりとなる大会が開催されていますが、山梨県には、この夏に特別な思いを持って臨む年子の兄弟がいます。小学校から同じチームでプレーしてきた2人が、チームメートとして戦う最後の夏です。

富士北稜の柱・古西兄弟

最速142kmのストレート。山梨県立富士北稜高校のキャプテン、3年生エースの古西 祐羽(ゆう)選手。その弟、打線の中軸で、ショートを守る2年生の祥羽(しょう)選手。攻守ともに、チームの柱となる兄弟です。
チームは、去年夏の山梨大会で、初のベスト8に進出しました。

兄・祐羽選手
「(去年)ベスト8に入れたことで自信にもなりましたし、自信がついた一方で、やっぱりもう少し上にいけるんじゃないかと」

弟・祥羽選手
「チームを強くして私立を倒して甲子園に出たいなというふうに思っていました」

奪われた甲子園への道 母からの思い

小学生の頃、一緒に野球を始めた2人。中学、高校と9年にわたり同じチームでプレーしてきました。

兄弟で戦うことができる最後の夏。しかし、新型コロナウイルスの影響で甲子園という目標は失われてしまいました。戸惑いを抱えたまま、家で過ごす日々が続きました。

2人の活躍を応援してきた母のなおみさん。兄・祐羽選手がもらした一言に衝撃を受けました。

母・なおみさん
「あるとき、ふと『おれはなんで2002年に生まれたんだ』って言ったことがあって。それはすごくつらかったですね。祐羽には、しょうがないよね、とはとても言えなかったですね」

どんな言葉で励ましたらいいのか…。
悩んだなおみさんは、アスリートたちの言葉を紹介した新聞記事を、スマートフォンで写真に撮り、祐羽選手に送り続けました。

兄・祐羽選手
「自分の中で見失いそうになることがあったんですけど、こうやって気づかせてくれたことへの感謝はすごくあります。(アスリートたちの言葉の中に)ことしの悔しさが絶対生きるって書いてあったんですけど、どっかで報われることがあるんじゃないかなと思えば頑張れるっていうのもあります」


何とか前を向こうと、部活動がない中でも2人は練習を続けました。
よく通ったのが、幼い頃から一緒に練習してきた自宅近くの神社です。互いにアドバイスを送りながら、ノックや投球練習を重ねました。

弟・祥羽選手
「(兄・祐羽選手は甲子園中止が決まり)悲しかったりしたと思うんですけど、休み期間中に一生懸命、祐羽も自分で練習を工夫してやってて、自分も頑張らなきゃと」

野球ができることの尊さを改めて感じた兄弟。開催が決まった山梨県独自の大会に向け、再び気持ちを高めました。

兄・祐羽選手
「来年からもう二度と(弟と野球を)一緒にやることはないので、最後、兄として大きい姿を見せられればと思います」

一緒に戦った最後の夏

迎えた大会初戦。
マウンドに上がった、兄・祐羽選手。磨いてきたストレート。そして、キレのあるスライダーで三振を奪います。同じグラウンドに立ち、笑顔がこぼれた2人。
しかし、中盤以降、相手打線に捉えられ、兄弟最後の夏は初戦で幕を下ろしました。

兄・祐羽選手
「今までありがとうございました!」

キャプテン、そしてエースとしてチームをまとめた兄から弟へ、思いは引き継がれます。

兄・祐羽選手
「今までなんだかんだ弟ですけど支えてくれてたのかなって思いますし、もう(弟も引退まで)あと1年、ほんとにあっという間に終わっちゃうと思うので、自分で最後満足できるように頑張ってほしいです」

弟・祥羽選手
「(兄は)いつも自分の前にいてあこがれる、尊敬するような存在で、来年もいいところは引き継いでよりよいチームにできたらなと思う」


大会後、弟の祥羽選手は副キャプテンに就任し、チームのまとめ役を担っていくことになりました。
兄の祐羽選手は、より高いレベルで野球がしたいと大学進学を希望しています。次は神宮球場でプレーすることを目標に、残りの高校生活は、野球の自主練習と勉強を頑張っていくということです。

 

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