マスクがかかせない今年。例年以上に熱中症対策に気をつける必要があります。ただ水を飲んで水分補給をすればいいというわけではありません。専門家は1日に必要な水分量の半分くらいは食事からとれると指摘していて、実はきちんと食事をとることが大切なんです。
脱水症が専門で熱中症予防の啓発活動に取り組む、医師の谷口英喜さんによりますと、成人の場合、1日に必要な水分量はおよそ2.5リットルです。そのうち半分以上、およそ1.5リットルは食事からとっているということです。
さらに食事をすると、「代謝水」がもれなくついてくるというのです。
食べ物の栄養は肝臓でエネルギーに変換されます。この時、エネルギーと一緒に水が作り出されます。これが代謝水です。
3食きちんと食べていれば、1日に300mlほど作り出されるということです。つまり、食べることで、自然と水分補給ができているのです。
それだけではありません。
食べたものは、しばらく胃の中にあり、3時間ぐらいかけて小腸に移動します。その間、水分をゆっくり吸収するのが、体にとって非常にいい水分補給の方法だということです。食事をしっかりとることで、水を飲むよりも、長い時間水分を体に蓄えておくことができるのです。
なかでも谷口さんが特に「食べてほしい」と訴えるのが、朝ごはんです。
谷口さんは「朝は、夜失われた水分・塩分を補う大切な時間なんです。朝から食べるということが、熱中症対策にも重要です」と話しています。
食事で効率よく水分をとるメニューを、管理栄養士の牛込恵子さんに聞きました。
朝食で、300ml~500mlの水分量をとってほしいということです。
<洋食の場合>
・トースト(6枚切り1枚) →水分量 25ml
・スープ(カップ1杯) →水分量 150ml~200ml
・サラダ(小鉢1杯) →水分量 100ml
★全体の水分量 → 325ml
<和食の場合>
・ごはん(茶わん1杯) →水分量 90ml
・みそ汁(おわん1杯) →水分量 180ml~200ml
・サラダ(小鉢1杯) →水分量 100ml
★全体の水分量 → 390ml
トーストがおよそ25mlとかなり少ないですが、小鉢程度のサラダを加えれば、およそ100mlプラス。
そしてお勧めなのがスープです。インスタントでも構いません。およそ200mlとれます。
このように、バランスよくとれば、効率よく水分補給ができるということです。
牛込さんによりますと、じつはパンよりもご飯の方が1杯で90ml、スープをみそ汁に変えれば、それだけで300mlとれるのでおすすめだということです。
朝は忙しく、いろいろ作るのは大変という人のために、究極の朝ごはんも教えてもらいました。
「カレーライス」です。
水分量の多いご飯、そして、ルーには野菜が入っているので1皿で450mlの水分がとれます。
それに加えて、肉のタンパク質や野菜のビタミン。栄養バランスもバッチリだということで、熱中症対策にはもってこいの一品だということです。
カレーはレトルトのものでもいいそうです。
そもそも、朝ごはんを食べる習慣がないという人は、まず何か一品でもいいので口にするところから始めてみてはいかがでしょうか。