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おもちゃを誤って飲み込む事故 どう防ぐ~トイレットペーパーの芯の直径より小さいものは注意~

  • 2023年11月13日

12月のクリスマスを前に、子どもにおもちゃの購入を考えている家庭もあるかと思います。

しかし、おもちゃを誤って飲み込む事故があとを絶ちません。

ネット通販で、海外で販売が禁止されているおもちゃの流入も懸念される中、国は事実上、これまでなかった、販売禁止などの強制力のある規制の整備に乗り出しました。

誤飲事故あとを絶たず 死亡例も

身近なものが原因で起きる事故を調査している消費者安全調査委員会が、2017年にまとめた報告書によりますと、子どもがおもちゃを誤って飲み込み気道を詰まらせたとして日本小児科学会に報告された事故は、2008年3月から2017年9月までのおよそ10年間で少なくとも7件あり、このうち3件が死亡事故だったということです。

また、東京都が2021年、都内に住む乳幼児の保護者3000人を対象にアンケート調査を行ったところ、乳幼児がおもちゃや食品を誤って飲み込んだり、飲み込みそうになったりした経験がある保護者は1875人で、全体の6割以上だったということです。

11歳女の子が開腹手術 腸に穴が

インターネットで購入したおもちゃを子どもが誤って飲み込み、手術が必要になる事故も発生しています。

聖マリアンナ医科大学小児外科の川口皓平医師が2020年に経験したのは、11歳の女の子がマグネット玩具の誤飲によって腸に穴が空き、開腹手術が必要になった症例です。

女の子が飲み込んでしまったのは、ネオジム磁石と呼ばれる強力な磁石を使った直径3ミリと5ミリのボール状のおもちゃで、「マグネットセット」と呼ばれています。

川口医師の所見では、小腸と大腸の2か所にそれぞれ複数の磁石が入っていて、強力な磁力でお互いが引き寄せられ、腸の壁に穴が空いてしまったということです。

当時、海外ではこうしたマグネット玩具の危険性がすでに指摘され、販売が禁止されている国もありました。

川口医師が女の子の親から聞き取ったところ、誤って飲み込んだ磁石のおもちゃはネット通販で購入したもので、当時、出回っていた海外製のおもちゃと特徴が似ていたことから、輸入品と見られるということです。

聖マリアンナ医科大学小児外科 川口皓平 医師
「かなり小さいので、食べ物とか飲み物に混入し、間違って飲み込んでしまったとみられる。輸入品だったと思うが、小さい子は触らないようにという説明書きはあっても、日本語の説明としてはわかりにくいところがあった。電池や磁石のたぐいは飲むと手術になる可能性もあるので、意識して触らせないようにすることが大事だと思う」

経済産業省は、この「マグネットセット」について、子どもの事故が相次いで発生したことから、同じく事故が起きていた水で膨らむボールとともに、原則、販売できないようにしました。

ただ、それ以外のおもちゃなどの子ども用製品については誤飲対策などの規制がなく、現状では事故が発生した製品を後追いで規制する対応となっています。

日本の安全基準は任意 マーク表示は6,7割にとどまる

日本には、およそ50年前から業界が自主的に策定した玩具安全基準(ST基準)があります。

製品が基準に適合しているかどうか、第三者検査機関による検査を受け、合格すれば安全面で業界が推奨するおもちゃとして「STマーク」の表示が認められます。

基準は大きくわけて、おもちゃの形状や強度に関する物理的安全性、燃えやすい材料が使われていないか確認する可燃安全性、それに、有害な物質が使われていないか調べる化学的特性について定めていて、数十項目の検査を行い、国際的な基準と同じ程度の安全性を求めているということです。

ただ、任意ということもあり、日本玩具協会によりますと、国内で販売されているおもちゃのうち、STマークが付いているものは6割から7割ほどだということで、それ以外のおもちゃについては消費者が安全性を確認できないのが現状です。

日本玩具協会 菅家勝専務理事
「マニュアルと違う使い方をしても安全が確保されるように、ST基準はいろいろな試験がされている。引き続きこのマークをできるだけ使ってもらえるよう私たちも努力をしていきたい」

このほか、乳幼児ベッドやベビーカーなど一部の子ども用製品については、製品安全協会が安全基準(SG基準)を作っています。基準は、学識経験者や消費者、それに検査機関などが関わって定めていて、検査に合格した製品には「SGマーク」を付けることができます。

海外でリコール対象のおもちゃ 国内に流入する懸念も

おもちゃについては事故を未然に防ぐため、EUやアメリカ、韓国など海外の多くの国で安全規制の対象となっています。

このうちEUでは、遵守が義務づけられている規格に違反しているおもちゃなどを「セーフティー・ゲート」(SafetyGate)というWEBサイトに掲載しています。

各国の当局がリコールなどの措置を取った商品をEU内で迅速に共有する仕組みで、製品の種類や原産国、リスクの説明、当局が取った措置などが書かれています。

経済産業省は、日本では規制がないため、近年のネット通販の普及により、EUなどではリコールなどの対象となっているおもちゃが、国内に流入する懸念があるとしています。

実際、国内のネット通販サイトを調べると、EUの規格に違反しているとしてセーフティー・ゲートに掲載されているおもちゃと形状やパッケージが類似する商品が複数見つかりました。

このうち、子どもが小さい部品を口に入れて窒息するおそれがあると指摘され、販売中止やリコールなどの措置が取られているものと類似する商品を実際に購入し、セーフティー・ゲートの写真と比較しました。

すると、まったく同一のものかどうかは確認できませんでしたが、製品名や製造工場、それに製造年月日などパッケージに記載されていたほぼすべての項目が一致しました。

専門家“安全基準が守られているか確認を”

国際的な商取引に詳しい立教大学の早川吉尚教授は、次のように指摘します。

早川吉尚 教授
「子ども向け製品に関してこれまで日本は業界の中で規格を作ってそれにみんなが従って安全性を確保してきた。ところが、グローバル化が進展して一般の消費者が海外の事業者からネット通販で製品を買えるようになっていて、業界内部の自主的ルールを通じた安全性の確保が実効的ではなくなっているのが問題の背景にある」

その上で、「海外の事業者に任意の検査を受けてくれと言っても難しいので、日本としても、例えば子どもの玩具の安全性に関する海外の規格に合うような形で強制的に守らせる規格を用意しないといけない状況になってきた」と話していました。

また、規制の実効性をどう確保するかについては、次のように述べています。

早川吉尚 教授
「官の力だけでなく、民の力の協力も非常に大きい。ネット通販事業者にとっても危険な製品を売るのは本意ではないので、規格に合わないものについては、協力して消費者の手に渡らないようにしてもらうことが考えられている。また、消費者の方もこの製品は安いと飛びつくのではなく、日本や世界の安全基準が守られているかをマーク等で確認した上で購入する行動が求められる」

購入時に気をつける点は

おもちゃを購入する際、どんな点に気をつけるべきか。

日本玩具協会のST基準を参考にいくつか紹介します。

◇誤飲のリスク◇
1つが、誤飲のリスクです。
ST基準では、直径4点45センチ以下のボール状のおもちゃについて、3歳未満の子どもが飲み込み窒息する恐れがあるとしていて、検査でこの大きさの穴を通過してしまうと、合格できません。

子どもの周りに置かないで
政府広報オンラインによりますと、3歳児の子どもの口の大きさは、およそ4センチで、トイレットペーパーの芯の直径とほぼ同じだということで、これより小さいものは子どもの周りに置かないよう呼びかけています。

◇窒息のリスク◇
また、おもちゃにひもが付いている場合も窒息のリスクがあります。
ST基準では、先端に部品が付いていて子どもの首にからまって輪を作る可能性がある場合、長さの上限は原則として、対象年齢が1歳半までは20センチ1歳半から3歳までは30センチになっているということです。

◇鋭い先端が無い・フタにねじ止めあるか?など◇
このほか、ST基準では、けがをするような鋭い先端が無いことや、誤飲した時の危険性が高いボタン電池が簡単に取り出せないよう、フタにねじ止めがされていることなどを求めているということです。

その上で、基準は対象年齢によって異なるため、適切な対象年齢のおもちゃを選んでもらうことが重要だとしています。

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