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先天梅毒の子ども 過去最多 母子感染で死産も 梅毒疑う場合は検査を

  • 2023年11月10日

梅毒に感染した妊婦から胎児に母子感染する「先天梅毒」
診断された子どもの数は10月4日の時点で32人と、現在の形で統計を取り始めてから最も多くなっていることが、国立感染症研究所のまとめで分かりました。

先天梅毒の子ども32人…過去最多の2019年23人上回る

◇先天梅毒…死産につながるほか、皮膚異常や難聴のおそれも◇
梅毒は、主に性的な接触で広がる細菌性の感染症で、治療せずに放置すると深刻な症状を引き起こすことがあるほか、感染した妊婦から胎児に母子感染すると「先天梅毒」といって死産につながったり、皮膚の異常や難聴といった症状が出たりするおそれがあります。

国立感染症研究所が発表したことし第3四半期までのまとめによりますと、10月4日までに先天梅毒と診断された子どもの数は全国で32人でした。これは現在の形で統計を取り始めてから最も多かった2019年1年間での23人をすでに上回り、これまでで最も多くなっています。

◇梅毒感染者数…これまでで最多2022年同期比上回るペース◇
梅毒の感染者数はここ数年増加が続き、ことしも10月29日の時点で1万2434人と、これまでで最も多かった去年の同じ時期を上回るペースとなっています。

梅毒に詳しい日本大学医学部の川名敬主任教授は、先天梅毒の子どもの報告も今後、さらに増える可能性があると指摘しています。

川名主任教授
「過去に感染したものの気付かないまま治療を受けずに妊娠すると、先天梅毒につながるリスクがより高く、そのような人が年々増えていると思われる。妊婦健診で気付いて治療しても先天梅毒になる可能性があり、妊娠前に治療することが大切だ。梅毒を疑う症状やリスクのある性行為があった場合は、男女ともに検査を受けてほしい」

梅毒の症状

日本性感染症学会のガイドラインなどによりますと、梅毒は大きく3つの段階を経て進行します。

◇「第1期」◇
感染から1か月程度たった「第1期」には原因となる細菌が入り込んだ場所を中心に、3ミリから3センチほどの腫れや潰瘍ができますが、数週間で消えてしまうことがあります。痛みやかゆみを感じることはほとんどないとされています。

◇「第2期」◇
感染から1か月から3か月程度たった「第2期」には、細菌が血液によって全身に運ばれるため、手や足など全身に赤い発疹が現れることがあります。

発疹がバラの花の形に似ているとして、「バラ疹」(ばらしん)と呼ばれています。
このほか、発熱やけん怠感など、さまざまな症状が出ることがあります。
この時期までは症状が自然に消えることがありますが、梅毒が治ったわけではありません。また、性的接触での感染力が強いとされています。

◇「第3期」◇
感染から3年程度以降は「第3期」と呼ばれ全身で炎症が起こり、骨や臓器に「ゴム腫」と呼ばれるゴムのような腫瘍ができることがあるほか、治療薬が普及していない時代は、大きなできものができたり、鼻が欠けたりすることがありました。

さらに進行すると、脳や心臓、血管に症状が現れ、まひが起きたり、動脈りゅうの症状が出たりすることがあります。

ただ、現在の日本ではこの段階まで進むことはほとんどありません。

また、妊婦が感染した場合、胎児の流産や、死産のリスクが高まるとされています。
妊婦から胎児に感染する「先天梅毒」になることもあり、生まれて間もない時期に発疹や、骨に異常が出ることがあるほか、乳幼児の間は症状がなくても数年後に目の炎症や難聴などの症状が出ることがあるということです。

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