新型コロナの感染者数の把握は、5類移行後、一部の医療機関が1週間分を報告する定点把握となっています。7月30日にかけての1週間の感染者数は全国では前の週と比べると1.14倍に増えています。この状況について専門家はどう見ているのか。全国に加え、東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県の感染状況や分析をまとめました。
(発表時点の感染者数です)
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コロナ定点把握 感染者数 関東1都3県~8月6日 XBB系統 EG.5など変異ウイルスは
厚生労働省によりますと7月30日までの1週間に全国およそ5000の医療機関から報告された新型コロナの患者数は前の週から9901人増えて7万8502人となりました。
また、1つの医療機関あたりの平均の患者数は15.91人で前の週の1.14倍となりました。前の週から増加が続くのは17週連続となります。
都道府県別では多い順に、佐賀県が31.79人、長崎県が30.29人、宮崎県が27.21人、鳥取県が25.52人、熊本県が24.66人などとなっていて、42の都府県で前の週より増加しています。
厚生労働省
「全国的に緩やかな増加傾向が続いているほか、夏の間に感染が拡大する可能性もあり、医療提供体制への負荷が増えることも懸念される。定期的に換気するほか必要な場面でマスクを着用するなど基本的な感染対策を行って欲しい」
3日、都庁で感染症の対策会議が開かれ、この中で、都内の新型コロナの感染者数が公表されました。
それによりますと、定点把握の対象になっている都内419の医療機関のうち、415か所から報告があり、感染者数は7月30日までの1週間であわせて4613人で、1医療機関あたりでは11.12人となりました。
これは、前の週の1.19倍と、6週続けて増えていて、このうち60歳以上は1.82人と前の週の1.36倍となりました。
東京感染症対策センター 賀来満夫所長
「夏休みの旅行や帰省などで重症化リスクの高い高齢者と会う機会や、大人数で集まる場面が増えるため、感染対策を心がけてほしい」
神奈川県によりますと、7月30日にかけての1週間は、県内363の医療機関から4371人の新規感染者の報告があり、1医療機関あたりの平均は12.04人で、前の週から増加しました。
年代別では、50代が最も多く、次いで10歳未満、40代の順になっています。
ことし5月に定点把握に移行してから11週連続の増加になっていて、最初の週と比べると5倍以上となっています。
2日、埼玉県が発表した新型コロナの感染状況によりますと、7月30日までの1週間に定点把握の対象となっている261の医療機関から報告があった新たな感染者数は3493人でした。
1医療機関あたりでは、13.38人となり、前の週と比べて(3126人・11.98人)11%増えていて、9週連続で増加しています。
年代別では、10歳未満が523人で最も多く、次いで50代が488人、40代が471人、20代が450人などとなっています。
埼玉県
「7月から増加のペースが上がっていて、増加傾向が続きそうだ。夏休みで帰省するときなど重症化リスクの高いお年よりに接触する機会には感染対策を徹底してほしい」
千葉県は2日、新型コロナウイルスの「定点把握」による感染状況を発表しました。7月30日までの1週間の1医療機関あたりの新たな感染者数は18.36人で、前の週の15.36人から増加しました。
年代別では50代が最も多く、次いで40代、10代となっています。
新型コロナウイルス対策について助言する厚生労働省の専門家会合が8月4日、およそ1か月ぶりに開かれました。
会合では現在の感染状況について、全国的に緩やかな増加傾向が続いているという見方が示されました。また、新たな入院患者や重症患者は全国的に増加傾向が続いているものの、医療提供体制のひっ迫はみられていないということです。ただ、救急搬送が困難なケースは増加が続いているとしています。
検出される新型コロナウイルスの種類はオミクロン株のうちの「XBB系統」が大部分を占めていて、中でもより感染を広げやすいとされる「EG5.1」が増加しているということです。
専門家会合 脇田隆字座長
〇感染状況について
感染者数は11週連続で増加していて、感染が拡大していることは間違いない。夏休みで人出が増え、ふだん会わない人と接する機会が多くなることは流行が広がるきっかけになる。感染リスクの高い場面でマスクを着用することや、換気に注意するといった感染対策の重要性を強調したい。医療機関を受診するときや高齢者施設を訪れるとき、通勤ラッシュで混雑した電車に乗るときなどはマスクの着用が推奨されている。
〇重症者数の増加について
免疫を逃れやすい新たな変異ウイルスの割合が増えてきている。重症者数の増加が、ウイルスのタイプが変わったからなのか、感染が拡大して入院者数自体が増えたからなのか、詳しい分析はできていない。モニタリングをしっかりして、研究や解析をすることが必要ではないか。