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東京 足立区議会議員選挙2023 自民候補の3分の1が落選 何が起きた?

  • 2023年6月2日

「びっくりした」「驚いた」「想定外だ」…
当事者たちが口々にこう語るのは、5月21日に投票が行われた東京・足立区の区議会議員選挙の結果についてです。
最大勢力の自民党は、候補者の3分の1にあたる7人が落選。
そして、区議会の第1党は、候補者全員が当選した公明党が担うかたちに。
その一方で、日本維新の会は、新人3人全員が当選して区議会で初議席を獲得。
足立区議選で、何が起きたのか、それぞれの受け止めを聞きました。

(6月2日 内容追記)
選挙のあと、議員が辞職したことに伴い、自民党の候補者が繰り上げ当選しました。
公明党が第1党となっていましたが、繰り上げ当選により自民党が公明党と並んで区議会の第1党になる形になりました。

足立区議選 激しい選挙戦

5月14日に告示された足立区議選。
定員45人に対して64人が立候補しました。
今の定員になった平成23年の選挙以降では最も多い候補者数となり、激しい選挙戦が繰り広げられました。

自民は3分の1が落選

結果は、候補者たちだけでなく、選挙に関係する人たちにとっても衝撃的なものでした。

会派に17人が所属する最大勢力の自民党は、擁立した19人のうち、3分の1にあたる7人(現職5人と新人2人)が落選。
区議会会派の幹事長も落選し、当選は12人にとどまりました。

2番目の勢力の公明党は、現状と同じ13人を擁立し、全員が当選。
統一地方選挙では、候補者全員の当選を目指しながら、平成10年の党の再結成後、最多となる12人が落選したことから、緊張感を持って挑んだということです。

当選は、自民党12人、公明党13人。
区議会の第1党は、自民党から公明党に取って代わられるかたちになりました。

選挙結果 受け止めは?


自民・現職 白石正輝 氏(足立区議会自民党相談役)​​​​​​
「惨敗だった。有権者が現状に不満を抱いていたのだと思う。また、高齢や多選の候補に厳しい風潮になっている。町内会やPTAなど、地域の有力者に頼る従来の選挙ではもう勝てない。一人ひとりが反省し、街頭での活動など、有権者に声を届ける機会をかなり増やさなくてはいけない」


公明・現職 岡安隆志 氏(足立区議会公明党幹事長)
「統一地方選挙は、既存政党やベテラン議員に厳しい結果だった。その傾向が足立区議選でも続くだろうと考え、各候補者が埋没しないように、愚直にSNSや街頭での発信に全力で取り組んだ。全員当選は喜ばしいが、第1党は想定外だった。引き続き、自民党と安定した政治を目指したい」

このように振り返る一方で、こうも言及しました。
「新しい政治勢力に票を食われすぎた。東京で、こんなに当選するとは、以前は考えられなかった」(白石氏)
「自民・公明以外を求める人たちの新しい受け皿になった」(​​​​​​岡安氏)

さきの統一地方選挙で躍進した日本維新の会のことです。
足立区議選では、擁立した新人3人全員が当選し、区議会で初めて議席を獲得しました。
3人のうち2人は、当選した45人中、3位と4位という上位当選でした。


維新・新人 富田健太郎 氏(4位で初当選)
「維新は足立区に組織がなく、厳しい戦いを予想していたが、税金のむだづかいを見逃さないと訴えて、皆様に押し上げていただいた。今の政治への不満、新しい政治を行う維新への期待の風もあった。正直、ここまで得票できたこと、統一地方選挙を含めて、維新が東京でこれだけ多くの議席を獲得できたことに驚いている。慢心することなく、謙虚に取り組んでいきたい」

党派別でみると

党派別の獲得議席は、以下のとおりです。

公明党 13
自民党 12
共産党 6
立憲民主党 3
日本維新の会 3
国民民主党 1
れいわ新選組 1
参政党 1
都民ファーストの会 1
無所属 4

れいわ新選組と参政党も、初めて議席を獲得しました。

投票率は、前回・4年前を0.1ポイント下回る42.79%で、ほとんど変わりませんでした。

今回の結果 専門家は?

波紋が広がる足立区議選の結果を専門家はこう分析します。

地方政治に詳しい法政大学大学院 白鳥浩 教授
「保守層の票が一定程度、維新に流れて、自民候補の落選につながったのではないか。自民だけでなく、共産も議席を減らしていて、既存の政党が新しい政党に、票を奪われている。これは、日本の政治に対する閉塞感の表れと言えるだろう」

気になる衆議院選挙への影響については、次のように話します。

「地方選挙は内政が主な争点で、衆議院選挙は内政のほかに外交なども争点になるほか、小選挙区制で1人が選ばれるため、影響は一概には言えない。ただ、各党にとって、候補者の支援に回る地方議員の増減は、ボディーブローのように効いてくる可能性がある」

区議選の開票結果

足立区選挙管理委員会によりますと、開票結果は次の通りです。

足立区のホームページより

繰り上げ当選で自・公が並ぶ

5月に行われた東京・足立区の区議会議員選挙のあと、議員が辞職したことに伴い、自民党の候補者が繰り上げ当選しました。
公明党が第1党となっていましたが、繰り上げ当選により自民党が公明党と並んで区議会の第1党になるかたちになりました。

5月21日に投票が行われた足立区議会議員選挙で、最大勢力だった自民党は、擁立した19人のうち当選が12人にとどまった一方、公明党は擁立した13人全員が当選し、自民党に代わって区議会の第1党になりました。

選挙のあと、立憲民主党から立候補して初当選した議員が、去年5月に偽ブランドのバッグをフリマアプリで販売したとして商標法違反の疑いで書類送検され、その後、裁判所から罰金20万円の略式命令を受けていたことが発覚し、辞職しました。

これに伴い、区の選挙管理委員会は、6月1日、次点だった自民党の候補者の繰り上げ当選を決めました。

この結果、自民党の当選者は13人になり、足立区議会の第1党は、自民党と公明党が並ぶかたちとなりました。

 

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