関東地方では5月16日、群馬県高崎市で30度を超えました。こうしたなか、熱中症対策を前倒しする動きも出てきています。まだ暑さに体が慣れていない時期の熱中症のリスクや必要な対応、さらにコロナ禍の影響などについて専門家に聞きました。
埼玉県熊谷市は5年前の2018年7月に国内の観測史上、最も高い41.1度の気温を観測するなど、厳しい暑さで知られています。
熊谷市中心部にあるデパート前に設置される温度計をイメージした巨大な温度表示板が5月15日、ことしも設置されました。午前11時と午後2時に熊谷地方気象台で観測された気温を表示するということです。
群馬県伊勢崎市では去年6月25日、国内で観測史上初めて6月に40度を超える40.1度を観測し、29日にも40度ちょうどに達するなど記録的な暑さとなりました。
伊勢崎市は、市の施設を「熱中症予防シェルター」と名付けて休憩場所として利用してもらう取り組みを始めましたが、ことしは開始を1か月半ほど前倒しして、5月16日から公民館や図書館など市の61の施設で始めました。
赤堀保健福祉センター 堀越恭子所長
「日中、強い日差しを浴びて、不安に感じる時があると思う。体調が悪くなる前に施設を気軽に利用していただきたい」
熱中症に詳しい専門家は、5月は体が暑さに慣れていないため熱中症のリスクがあり、対策を進めてほしいと呼びかけています。兵庫医科大学の特別招聘教授の服部益治さんに聞きました。
〇この時期の熱中症リスク
わたしたちの体は、環境の変化に順応させるのに最低2週間はかかると言われている。涼しかったり寒かったりした時期から1週間も経たないうちに、急激に暑くなるとそうした変化に身体が対応できず気温がそこまで高くなくても熱中症になるリスクがある。
〇コロナ禍の影響も
コロナ禍の長い自粛生活による運動不足の影響で、暑くなってきたときに汗で失われる水分を予備的に蓄える筋肉が衰えた状態になっている人もいることが考えられる。そうした人は、これまで以上に、熱中症になる危険性が高くなっている。体が弱っていると、「そんな気温でも熱中症になるの?」というようなことが起こりうると警戒してほしいと思う。
服部さんは、熱中症を防ぐための対策として、エアコンの設定温度を以前よりも1度から2度ほど下げた上で、室内でも1時間に1回程度、コップ1杯分の水分を補給することなどを勧めています。
熱中症対策を強化するために成立した改正法では、「熱中症警戒アラート」に加え、さらに深刻な健康被害が予想される場合に、一段上の「熱中症特別警戒アラート」が新たに発表されることになります。
また、自治体は事前に公共施設や民間施設を対象に冷房が効いた部屋を「クーリングシェルター」として指定し、特別警戒アラートが発表された場合には開放することが求められます。
2024年の夏からの運用開始に向け、発表の基準や施設の要件などの検討が進められます。