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ChatGPTの「茨ひより」で茨城県PR? 横須賀市 農水省はどう活用

  • 2023年4月21日

人間のような自然な受け答えができるAIとの対話ソフト「ChatGPT」を政府や自治体で業務に活用する動きが相次いでいます。このうち茨城県は、「ChatGPT」をバーチャルユーチューバー「茨ひより」に組み込み、対話を楽しんでもらいながら県の魅力をPRする取り組みを試験的に始めました。このほか横須賀市や戸田市、農林水産省など、行政の活用状況をまとめました。
(5月2日更新)

「ChatGPT」 政府や自治体の業務へ活用も

「ChatGPT」は2022年11月に無料公開されると世界で急速に利用が拡大しています。大手プレスリリース配信会社によりますと、国内でも「ChatGPT」を活用したサービスや商品を企業が発表した件数は4月10日までの4か月あまりの間に250件を超えていて、政府や自治体で業務に活用する動きが相次いでいます。

県公認バーチャルユーチューバーにChatGPT

茨城県は、「ChatGPT」を、県の魅力のPRに活用できないか探るため試験的に取り組みを始めました。
具体的には、動画サイトなどで県の観光や特産の紹介をしているバーチャルユーチューバー「茨ひより」に「ChatGPT」などを組み込み、人が話しかけると、合成音声で応答するシステムを開発しました。

県が動画投稿サイトに公開した動画では、画面のなかの「茨ひより」が、キャスターの桧山沙耶さんの問いかけに答えて、「ごじゃっぺ」など茨城弁を話したり、好きな食べ物として県の名物の干しいもやクリを挙げたりしています。

試験導入へ リアルとネットの融合イベントに登場

この「AI茨ひより」は4月29日から千葉市の幕張メッセで行われたリアルとネットの融合をテーマにしたイベント「ニコニコ超会議」で披露されました。
「去年、水戸市に行きました」と話しかけると、「AI茨ひより」は「おいしい食べ物や美しい景色がたくさんあります。また足を運んでみて下さいね」とPRしていました。

誤った情報を答えた場合に備えてそばには県の職員が待機していて、必要に応じて回答を補っていました。

AIを自治体公認のバーチャルユーチューバーに組み合わせる取り組みは全国で初めてだということです。茨城県は「ChatGPT」を、個人情報を扱わないPR活動で試験的に導入し、効果を検証することにしています。

横須賀市が試験利用 業務に全面的導入

神奈川県横須賀市は4月20日から1か月の日程で試験利用を始めました。自治体専用のビジネスチャット上で「ChatGPT」を利用できるようにして、およそ4000人の職員が文章の作成や議事録の要約のほか、政策立案などに利用し、使い勝手やコストを検証します。
同時に市では職員に対し個人情報や機密情報の入力を禁止しています。

「ChatGPT」を自治体の業務に全面的に導入するのは全国初だということです。

農林水産省 公開マニュアルの改訂などに活用

農林水産省は、対話式AI「ChatGPT」の一部業務での活用を4月中にも始めることになりました。ホームページで公開している、農業や漁業の事業者が補助金の申請に使うマニュアルなどの改訂や修正に活用し、作業の負担軽減などにつなげたいとしています。
また、対話式AIを活用する文書はすでに公開されていて機密情報は含まれないとということです。

自治体で安全に利用するガイドブックを

「ChatGPT」の利用をめぐっては入力したデータの取り扱いや個人情報の保護などの課題が指摘されています。

埼玉県戸田市は4月、調査研究チームを設け検討を始めました。「ChatGPT」の活用について、問い合わせへの回答や会議の議事録作成などの自動化や効率化を想定する一方で、個人情報や機密情報を入力した場合、流出しないか懸念しています。

このため、安全に利用する方法を検証したうえで、自治体で活用する場合の業務の範囲やルールなどについてまとめたガイドブックを作成し、早ければことしの秋ごろに公表するとしています。

戸田市デジタル戦略室 大山水帆室長
「有効な使い方ができる反面、予想しない形で情報が利用されるなどリスクや危険性も伴う。ガイドブックは戸田市の職員だけでなく全国の自治体で役に立つものにしていきたい」

官房長官“G7サミットで活用のルール議論を”

AI=人工知能をめぐっては、対話ソフト、「ChatGPT」をはじめ、文章や画像を自動的に作り出す「生成AI」が急速に普及し、開発や規制のあり方が議論になっています。
これについて松野官房長官は、4月20日午前の記者会見で次のように述べました。

松野官房長官
「急速なデジタル化の進展によりAIのような既存の法制度の適用があいまいな領域が発生し、ルールのアップデートに関する課題が生じている。G7広島サミットでは、デジタル経済のルールの原則や基本的な考え方についても議論を行いたい。AIは、開発の振興利活用の推進、適切な規制という3つの要素のいずれもが重要だと考えており今月開催されるG7デジタル・技術相会合の議論の成果を踏まえて、議長国として議論を主導していきたい」

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