異例とも言える4日連続で一時、運転見合わせとなった東京の荒川区と足立区を走る日暮里・舎人ライナー。原因は何だったのか、影響はどれぐらい出たのか、取材しました。
Q. 4日間続けての一時、運転見合わせはなぜ起きた?
A.13日、都交通局はこれまでの調査結果について公表しました。
4月10日
それによりますと、最初に運転を見合わせた10日は気温の上昇によって架線が緩み、架線と接している車両のパンタグラフ1台が破損し、変電所からの電気が遮断されたことが原因とみられるということです。
都交通局は、破損しているものも含めて複数を新たなものに取り替えたということです。
4月11日
この翌日の11日の運転見合わせも、気温の上昇による架線の緩みが影響していました。
前日の運転見合わせを受けて設備の点検を行っていた都交通局は江北駅と西新井大師西駅の間で架線の緩みを見つけました。気温の変化で、伸び縮みする架線の長さを調整する装置に不具合があったということで、装置の修理などのために電気を止めたことから運転を見合わせることとなりました。
4月12日夜~13日早朝
12日夜から13日早朝にかけての運転見合わせは、新たに取り替えたパンタグラフのうち、一部でボルトが外れ、10日同様、変電所からの電気が遮断されたことが原因だということです。都交通局は取り替えたパンタグラフのボルトが外れていた原因については調査中だとしています。
Q. そもそも日暮里・舎人ライナーとは?
A. 2008年3月に開業した日暮里・舎人ライナーは、コンピューター制御によって自動で運転している東京都の新交通システムで、車両に運転士は配置せず、無人で走行しています。
荒川区西日暮里にある日暮里駅から、足立区舎人にある見沼代親水公園駅までのあわせて13駅、9.7キロをおよそ20分で結んでいます。
沿線でマンションの建設が進んだことなどから利用者数は年々増加傾向にあり、新型コロナウイルスの影響で一時減少したものの、2021年度の1日あたりの平均利用者数はおよそ7万7000人でした。
また、国土交通省によりますと、通勤ラッシュの時間帯の一部の区間の混雑率は144%と、全国の鉄道路線の中でも最も高い割合となっています。
Q. 乗客への影響は?
A. 4日間の運転見合わせで、あわせて217本が運休し、のべ3万3000人の乗客に影響が出ました。
夜の午後9時ごろ、運転見合わせとなった12日は、駅と駅の間に2本の列車が停車し、乗客あわせておよそ200人が最寄り駅まで高架の上を歩いて避難しました。
始発駅となる日暮里駅のタクシー乗り場では、12日午後11時半を過ぎても帰宅などのためにタクシーを待つ人で長い列が伸びていました。
13日の運転再開後、利用者からは原因究明を求める声が聞かれました。
自営業の男性(38)
「運転見合わせになるとほかの路線の駅まで移動しないといけなくなるし、いつも時間に余裕があるとは限らないので、見合わせが相次ぐと困ります。運転の見合わせが起きないようにしてほしいですが安全が1番大切なので、しっかりと点検を尽くしてから運行してほしい」
今回の事態を受けて、東京都の小池知事は「連日、不具合を生じた結果、みなさんにご迷惑をおかけしている。都民のみなさんの大切な足なので、徹底した原因究明と対応策を講じるよう指示をした」と述べました。