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自転車ヘルメット 努力義務化で着用は? シェアサイクルはどうする

  • 2023年3月31日

自転車に乗るすべての人にヘルメットの着用が努力義務化され、どんな変化がみられるのでしょうか。ヘルメットについての問い合わせや販売が大幅に増えたとする店がある一方で、利用が広がっている「シェアサイクル」を展開する会社では対応を模索しています。着用の浸透状況についてまとめました。

自転車の事故 死傷者の88% ヘルメットなし

ヘルメット着用の努力義務化される背景にあるのは、相次ぐ自転車の事故です。警察庁によりますと、2022年の1年間に全国で起きた自転車乗車中の事故で死亡した人は339人で、このうち179人が頭に致命傷を負っていたということです。

死亡した人とけがをした人をあわせると6万8140人で、このうち88%余りの人がヘルメットを着用していませんでした。

自転車乗車中で、事故で死傷した人のうち死亡した人の占める割合は、ヘルメットを着用していなかった場合が、着用していた場合のおよそ2.6倍だったということです。

ヘルメットの着用率は

神奈川県警は2022年11月、警察署ごとにポイントを1か所決め、午前7時半から8時半のあいだ、ヘルメットの着用状況を調べました。その結果、自転車に乗っていた1万275人のうち、着用していたのは429人とわずか4%にとどまったということです。

ヘルメットの販売数 “去年同期比36倍”

命を守るためのヘルメット着用ですが、あくまでも努力義務で違反しても罰則がないだけに浸透するのかがポイントです。

東京・港区の自転車専門店では、3月に入ってからヘルメットを買い求める人からの問い合わせが相次いでいます。

運営する「サイクルオリンピック」によりますと、首都圏にある30あまりの店舗をあわせたヘルメットの販売数は3月1日から29日までに1260個と去年の同じ時期と比べおよそ36倍に達しているということです。

売り切れや品薄の商品も

黒色のシンプルなデザインのヘルメットが特に人気でよく売れているということですが、壁に並んだ商品の中には売り切れるものもあり、品薄の傾向が続いています。

数日前に比べてだいぶ在庫がなくて驚きました。軽くて頑丈でかわいい色が欲しいです。

店によると、帽子のような見た目のカジュアルなヘルメットを探しに訪れる人も多いそうですが需要の急増でメーカーからの仕入れができず、なかなか手に入らないということです。

間澤健二 店長
「ほぼ毎日、ヘルメットの問い合わせや販売数が増えて品物が無くなる状態で驚いています。いままでヘルメットをかぶったことがない方が多いので、買い求める人の意見を集約して希望に沿った商品を取りそろえたい」

シェアサイクル利用の場合は

都内の駅や商業施設などを中心に、全国6200か所あまりで「シェアサイクル」を展開する会社によりますと、利用者はサービスを始めた2016年から増え続け、会員およそ200万人がビジネスや買い物などに利用しているということです。
安全のために利用者にヘルメットの着用を呼びかけていますが、判断は個人に委ねることにしています。

ヘルメット貸し出しには課題

会社では駐輪スペースにヘルメットを置いて貸し出すことも検討していますが、多くの人が同じものを使うことによる衛生面の懸念や、利用者によってヘルメットのサイズが異なるといった課題があり、現時点では実現できていないということです。

「オープンストリート」尾崎梢さん
「努力義務ということで、事業者側から『ヘルメットを必ずかぶるように』と言うのは難しいです。ヘルメットを着用する文化が根づくように情報発信をしていきたい」

“着用を習慣化 自己の被害を最小限に”

自転車に乗るすべての人にヘルメットの着用が努力義務化され、さらに法律では、自分が運転する自転車にほかの人を乗車させる場合も、ヘルメットを着用させるよう努めなければならないとしています。

ヘルメットの着用は努力義務のため罰則などはありませんが、警察庁は、ヘルメット着用を習慣化することで事故による被害を最小限におさえていきたいとしています。

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