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AI悪用懸念 読書感想文コンクール 盗作や不適切引用などへの対応は

  • 2023年3月30日

「盗作や不適切な引用等があった場合、審査対象外になることがあります」
小中高校生の読書感想文コンクールを主催する全国学校図書館協議会は、AIを悪用して書かれた作品が応募されることを懸念して、来年度の応募要項を改めることを決めました。新たな要項の内容や専門家の見方などをまとめました。

どこまで拡大? 文章を生成するAI利用

利用がひろがる対話式のAIは人と話すような自然な会話も生成します。例えば手紙を書いてほしいと頼むと20秒ほどで書き上げてしましました。
このほか、対話式のAIは、小説のような文章やプログラムのコードも生成することができる新しいタイプのものが、去年からことしにかけて相次いで発表され、急速に利用が広がっています。

教育現場など一部規制の動き

文章を生成するAIの利用について教育現場などでは一部、規制の動きもあります。海外では、ことし1月にフランスの大学が「盗作」などへの懸念から、論文やプレゼンテーションの作成に対話型のAIのChatGPTや、そのほかのAIをベースとしたツールの使用を禁止すると発表しました。

またアメリカでもニューヨーク市の教育委員会が、ことし1月、子どもたちがみずから考え、問題を解決する力を養う妨げになるおそれがあるとして、ChatGPTの使用を禁止しました。

読書感想文のコンクール 審査対象外とすることも

文書が生成できるAIの利用拡大を受け、「青少年読書感想文全国コンクール」を主催する「全国学校図書館協議会」は、悪用の懸念が拭えないとして応募要項を改めることを決めたということです。

具体的には「盗作や不適切な引用等があった場合、審査対象外になることがあります」と、事実上の失格となることがあるとする規定を追記することを決めました。
盗作や不適切な引用があった場合に審査の対象外となり、事実上の失格となることがあるとする規定を追記することを決めました。

AIが生成した文章をそのまま引用し、さらに執筆者本人がAIを使ったことを認めた場合などに適用されるということです。一方、文章の校正に使うのは問題ないとしています。

新たな応募要項 来年度から適用

「青少年読書感想文全国コンクール」は、半世紀以上の歴史がある読書感想文コンクールで、小学校から高校まで、学校を通じて応募を受け付け、毎年、表彰が行われています。

「全国学校図書館協議会」によりますと、コンクールの応募要項について昨年末から検討を続けてきた結果、AIの悪用の懸念が払拭できないとして、応募要項を改めることを決めたということです。

新しい応募要項は来年度のコンクールから適用されるということで、4月1日以降にホームページなどで周知されるということです。

“一定の理解できる あらぬ疑いかからないよう配慮も”

人間とAIの関係などを研究する情報学が専門の国立情報学研究所の佐藤一郎教授に聞きました。

〇コンクールの趣旨とAI
読書感想文コンクールの趣旨、児童生徒が本を読む楽しさを体験し、本を通じて考える力や人間性を育むという観点から考えると、AIに頼ることはその趣旨に合いません。その意味で言うとAIの利用を制限することは一定の理解ができます。

〇必要な配慮は
一方で、文章を見るだけではAIを利用したのか、そうでないかは分からず、応募者にあらぬ疑いがかからないように配慮することも大切です。AIを利用できる範囲と禁止する範囲を明確化することも今後、求められると思います。

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