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物価高 少しでも安く どんな方法で?値上げや賃金 今後の見通しは

  • 2023年3月27日

物価の上昇が続くなか、民間の信用調査会社は、4月は再び食品などの値上げラッシュになるとしています。生活に必要な品をどう安く手に入れるか頭を悩ませるところですが、消費者の間には新たなサービスの利用が広がっています。物価高に対応する生活の工夫や対応のほか、今後の見通しについての専門家の見方をまとめました。

消費者物価指数 去年同月比 3.1%上昇

家庭で消費するモノやサービスの値動きをみる2月の消費者物価指数は天候による変動が大きい生鮮食品を除いた指数が、去年の同じ月より3.1%上昇しました。
政府による負担軽減策で電気代の上昇が抑えられたことなどで上昇率は1年1か月ぶりに鈍化しました。

総務省
「エネルギー価格については負担軽減策による押し下げ効果は当面続くが、食料品は、3月と4月に多くの商品で値上げが予定されていて、食料の上昇幅は高い水準が見込まれる」

4月また値上げラッシュ

「帝国データバンク」の調査によりますと、4月はウインナー製品のほか、牛乳やバター、ヨーグルト製品などで値上げが相次ぎ、値上げする品目は4892品目に上ります。
品目の数は「値上げラッシュ」となった去年10月やことし2月に次ぐ多さとなり、再び値上げラッシュになるとしています。

また、ことし、すでに値上げされたり値上げが予定されたりしている食品や飲料は、再値上げや価格を変えずに内容量を減らす「実質値上げ」を含めて累計で1万5813品目となり、値上げのペースは去年より加速しています。

中古家電などの需要は

中古の家電などを扱う店では、新生活の準備に向け生活に欠かせない商品への需要が高まっています。
東京・足立区の店を運営する会社によりますと、2月の店舗全体の売り上げは去年の同じ時期よりも2割ほど増加していて、洗濯機や冷蔵庫、それに1人暮らし用の家具などが例年よりも多く売れているということです。

「トレジャーファクトリー」岩尾太一エリアマネージャー
「物価高や電気代の高騰で、中古品でもいい物を安く買いたいというニーズが高まっている。そうした方々に対して、今後もさまざまな商品を適切な価格で提供していきたい」

家電や家具 卒業生が新入生へ

埼玉県の日本工業大学では、学生たちがボランティアで、卒業生からいらなくなった家電や家具を集めて新入生に譲ろうという取り組みを毎年この時期に行っています。ことしは冷蔵庫や洗濯機などおよそ140点が集まりました。

卒業生

1年生の時に扇風機を無料でもらえてとてもたすかったので、卒業するときは自分が譲ろうと思っていました。

ことしは物価高の影響で新たな生活を始めるための費用もこれまでよりも多くなるとみられ、新入生のニーズも例年以上に高いとみています。

取り組みを行う委員会のリーダー 大学1年 赤澤颯さん
「毎年、新入生だけではなく、保護者も含めて、とてもありたがい取り組みだという声を聞きます。新品と同じ状態で使ってもらうことを目指して、小さな汚れまで見逃さないように掃除しています。新入生に喜んでもらい、経済的な負担も少しでも減らすことができればと思っています」

節約をテーマにしたイベントも

節約をテーマにしたイベントが3月23日、都内で開かれました。イベントを主催したのは家計に関するサービスを提供するベンチャー企業4社で、会場にはこうしたサービスを紹介するコーナーが設けられました。

このうち「シェア買い」と呼ばれるサービスを提供する企業のブースには参加者がかわるがわる訪れ、節約につながる仕組みについて説明を受けていました。

「シェア買い」共同購入で節約を

「シェア買い」とはアプリに出品されている食料品や生活用品の共同購入を知り合いなどにSNSで呼びかけ設定された人数が集まれば定価よりも安い価格で購入できるというサービスです。

商品の情報が共同購入の呼びかけで広がるため、アプリに商品を出品する企業が宣伝費用をかけなくなる分、安く提供できる仕組みだということです。定価よりも10%ほど安く購入できるケースが多いということです。

会社によりますと、2月までのアプリのダウンロード数は138万人と、この1年で2倍以上になったということです。

アプリ運営する「カウシェ」前本航太COO
「生活必需品を少しでも安く購入したいという人が増えている。物価高が続く中、少しでも節約につながるサービスを今後も提供したい」

物価高の今後の見通し 専門家は

 みずほリサーチ&テクノロジーズ 主席エコノミスト 酒井才介さん
「食料品では3月以降も値上げの動きがすでに明らかになっていて、ことし前半までは上昇率が3%前後で推移していくのではないかとみている。今後も日用品を中心に価格上昇が続くため、当面は家計の負担感の解消は見込みがたいということになる。
物価高によって消費者は節約志向を強め、個人消費の回復ペースが緩やかになることによって、経済活動全体の回復ペースも下押しされてしまうことが懸念される。個人消費を後押しする賃上げの一層の促進が必要になってくる」

実質賃金 8年8か月ぶりの下げ幅

厚生労働省によりますと、ことし1月の実質賃金は速報値で去年の同じ月と比べて4.1%減少し、10か月連続でマイナスとなりました。
下げ幅は、消費税率が5%から8%に引き上げられた直後の2014年5月以来、8年8か月ぶりの大きさです。

ことしの春闘は物価の上昇に見合う賃上げが大きな焦点となり、大手企業を中心に労働組合の要求どおりの満額回答が相次ぎ、賃上げに向けた機運は例年以上に高くなっています。

ただ、民間シンクタンク各社は賃金の伸びが物価の上昇を上回るのは難しく、当面は実質賃金がマイナスの状況が続くと分析しています。

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