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東京 多摩市の恵泉女学園大が募集停止へ 専門家「少子化や共学指向も」

  • 2023年3月24日

東京の大学にも少子化の影響です。
東京・多摩市の恵泉女学園大学は、入学者の定員割れが続いていて、ことしの入学生を最後に閉学を前提に、学生の募集を停止すると発表しました。
専門家は「大学側が時代の変化に対応しなければ今後、同じ状況に陥る大学も出てくる可能性がある」と指摘しています。

恵泉女学園大学とは

東京・多摩市にある恵泉女学園大学は昭和63年に開学した4年制大学で、およそ1000人の学生が在籍しています。

大学を運営する学校法人の発表によりますと、18歳人口の減少や共学志向が高まっている影響で入学者数の定員割れが続いているということです。

このため運営が厳しい状況にあるとして、ことしの入学生を最後に大学の閉学を前提に、学生の募集を行わないことを決めたということです。

大学側
「ことしの入学生も含め、すべての在学生が卒業に至るまで充実した学生生活を送れるように教育に万全を尽くします」

学生の反応は

大学の閉学を前提とした募集停止の発表に、学生からは次のような声が聞かれました。

好きな大学で入ったのでショック。母校として紹介できなくなってしまうのでさみしい
さみしいです。自分が出た大学が誰かに言ってもわからなくなっていくのが悲しい

 

地元 多摩ニュータウンでは

多摩ニュータウンの中にある恵泉女学園大学。地元の人たちからも戸惑いの声が上がっています。

建築設計事務所などを営む横山裕幸さんです。
5年ほど前まで学生たちと一緒に、ニュータウンの商店街でガーデニングや野菜作りなどの活動をしていたということです。

横山裕幸さん
「こちらはもともと街路樹が埋まっていたところです。僕たちと恵泉の学生で、ここでトマトをつくったり野菜を作ったりしていた。いまは彼女たちも来なくなったのでその名残が残った花壇です」

恵泉女学園大学は、社会園芸学科があるなど、園芸に力を入れています。横山さんは、園芸を通じた学生との交流が、地域の活性化に一役買っていたといいます。

横山裕幸さん
「この商店街、昔は完全にシャッター通りと化していて、ガーデニングだとか祭りをやったりとか、バザーをやったりとか、いろんなことをやって何とかにぎやかにしようと。そういう意味では、ここはニュータウンでもわりと元気な商店街です。

(大学は)ものすごくいい学校だと思っていて、有機農業であるとか街づくりに積極的にかかわるとか、今こそ求められている、いわば最先端なことをやっていると僕は思うのですが、理解されないというのはすごくつらい」

厳しい私立大の経営 専門家は

少子化の影響などで私立大学の経営状況は厳しくなっていて、日本私立学校振興・共済事業団の調査では去年は全国の私立大学のうち47%が定員割れとなりました。
また、都内ではこの10年間で4年制大学は2校が閉学しています。

恵泉女学園大学が、ことしの入学生を最後に学生の募集を停止すると発表したことに関して、大学経営に詳しい東北大学の米澤彰純教授に聞きました。

東北大 米澤彰純教授
○「募集停止」は残念
「教育の内容について高く評価されている大学であり、今回のような事態が起こったことは大学関係者として大変残念だ」

○少子化や共学指向も
「1990年代以降、大学が学生を選抜するだけでなく、一部の大学では学生が入学する大学を選べる状況になり、十分に学生を集められない大学もある。少子化も関わっていて今後も同じようなケースが残念ながら起きてくる可能性が高い。
また、(学生の)共学志向が判断として重かったというところがある」

○今後の大学は
「革新的なプログラムを用意して学生のニーズに応える動きもあり、少子化を前提として大学が頑張るというのは社会としてもいい方向だと思う。ニーズをとらえ、みずからの価値を幅広く発信できる大学が生き残っていくことになる」

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