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サンマ不漁 原因や影響は?銚子漁港の水揚げゼロ 資源管理どうなる

  • 2023年3月23日

食卓になじみの深いサンマですが、近年、漁獲量が大きく減少し、深刻な不漁が続いています。かつて水揚げ全国1位を記録したことがある千葉県の銚子漁港では2022年の水揚げが1950年以降で初めて「ゼロ」となりました。不漁の原因や価格への影響、さらにサンマの資源管理を話し合う国際会議についてまとめました。(3月27日追記)

深刻な不漁 銚子漁港の水揚げゼロ

さんまの漁業者の業界団体、「全国さんま棒受網漁業協同組合」によりますと、2022年には全国の港に水揚げされたサンマは1万7910トンで、記録の残る1961年以降で最も少なく、豊漁だった2008年の34万3225トンと比べ、わずか5パーセントに減少しています。

〇全国のサンマ水揚げ
2008年 34万3225トン → 2022年 1万7910トン

かつて水揚げ全国1位を記録したことがある千葉県の銚子漁港では1950年以降で初めて「ゼロ」となりました。

卸売価格9倍 目黒のさんま祭りは

サンマの不漁による影響は家計にも出ています。水産白書によりますと、全国の主要な漁港でのサンマの卸売価格の平均価格は、2006年は1キログラムあたり70円だったのに対して、2021年はおよそ9倍の1キログラムあたり627円に値上がりしています。

〇サンマ卸売価格
2006年 70円/kg → 2021年 627円/kg

さらに秋の風物詩として知られる東京の「目黒のさんま祭り」は2022年、新型コロナの影響で3年ぶりに開催されましたが、用意できたサンマは例年の5分の1程度の1000匹にとどまったということです。

不漁の原因 “海水温の上昇 漁場の沖合化”

サンマの記録的な不漁について水産庁の検討会は不漁の原因として、サンマ自体の数の減少とともに、温暖化による海水温の上昇や、潮流の変化の影響を受けて「漁場の沖合化」が進んでいるという報告書を2021年に公表しました。

サンマの生態に詳しい専門家によりますと、回遊するルートが日本の沿岸から沖合に離れていったということです。沖合はサンマの餌となるプランクトンなどが少ないためサンマの小型化が進んで日本の沿岸まで回遊しづらくなっていることや、外国船による漁獲が増加し資源の減少につながっていることも原因として考えられています。

サンマの資源管理 各国で協調できるか

こうしたなか北太平洋で漁獲されるサンマの資源管理を話し合う国際会議が3月22日から札幌市で開かれました。会議には日本のほかロシアや中国、それに台湾など9つの国と地域の代表らが出席しました。

水産庁や漁業者の団体によりますと、日本のサンマの漁獲量は、2019年に4万トンあまりと過去最低になり、その後も漁獲量は減り続けています。
その一方で、漁獲量を増やしてきたのが中国と台湾です。なかでも台湾は中国向けの輸出を伸ばし、2013年の漁獲量は18万トンあまりと、日本の漁獲量を上回りました。

(追記)
協議の結果、2023年から2年間、北太平洋での漁獲量の上限を年間25万トンとすることで合意し、これまでの33万トンあまりから25%削減されることになりました。

会議の中で日本は、漁獲量の上限を17万トンにまで引き下げるよう提案していたということですが、削減に慎重な中国などの主張も踏まえ、最終的に上限を25万トンにすることで合意したということです。

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