明治神宮外苑の再開発をめぐり、低木も含めて伐採などを予定している本数は、新宿区内だけでおよそ3000本にのぼることがわかりました。再開発事業について周辺の住民などは「イチョウ並木などの景観が損なわれ、生活にも影響が出る」などと主張して、東京都が17日に行った認可の取り消しを求める訴えを起こしました。事業者のこれまでの説明や見直しを求める動きなどをまとめました。
東京・新宿区などにまたがる明治神宮外苑の再開発では、神宮球場と秩父宮ラグビー場の位置を入れ替えて建て替えるほか、複合ビルの建設などが予定されていて、東京都は2月17日、再開発事業として認可しました。
事業者はこれまでに伐採を予定していた樹木の一部に保存や移植ができるものがあったとして、高さ3メートル以上の樹木について当初の計画よりも17%少ない743本を伐採すると説明してきました。
事業者から伐採や移植の許可申請を受け付けた新宿区によりますと、新しいラグビー場の予定地となる現在の神宮第二球場がある周辺で伐採などの対象となる木は低木も含めて新宿区内だけでおよそ3000本にのぼるということです。
2月28日、新宿区は事業者に対し許可を出し、今後、港区にも伐採などの許可について申請がある見通しです。
再開発事業を認可した都は「認可にあたって低木を含む本数を把握する立場にない」などとしています。
明治神宮外苑の再開発事業について、周辺住民などおよそ60人が「イチョウ並木などおよそ3000本を上回る歴史的な木が伐採され景観が損なわれるほか、風害や騒音で生活にも影響が出る」などと主張して、都に対し認可の取り消しと、1人当たり1万円余りの賠償などを求める訴えを28日、東京地方裁判所に起こしました。
東京都都市整備局再開発課は「訴状が届いていないのでコメントはできません」としています。(2月28日時点)
事業者による都への説明では新しい建物の建設工事は2024年度から始まり、工事は2035年度に完了する計画で、総事業費はおよそ3490億円だということです。
明治神宮外苑の再開発をめぐっては、文化財の保護に取り組むユネスコの日本国内の諮問機関が樹木の伐採本数などに問題があるとして、計画の見直しを求める要望書を都や事業者に提出しています。