1. NHK
  2. 首都圏ナビ
  3. もっとニュース
  4. 新型コロナ第8波 死亡が多くなった要因 専門家の考察や対策は

新型コロナ第8波 死亡が多くなった要因 専門家の考察や対策は

  • 2023年2月24日

新型コロナウイルスの感染拡大の第8波で、連日、亡くなる人が過去最多を更新するなど多くなったことについて、厚生労働省の専門家会合のメンバーらが、その要因について考察する文書をまとめました。致死率が低下するなかで死者が増えた背景や、高齢者で亡くなる人が増加した要因など、その内容をまとめました。

第8波 急増した死者

厚生労働省のまとめによりますと、新型コロナウイルスに感染した人は国内で初めて感染が確認されてから3年間の累積で3100万人に、亡くなった人は6万2000人にのぼりました。

第8波では、2023年に入って以降、死亡数が過去最多を連日更新するなど、急速に増加し、2022年12月からの1か月半ではおよそ1万3000人が亡くなりました。
国内で初めて確認されてから3年間で亡くなった人のうち5人に1人が、この1か月半に集中していることになります。

第8波 死者増加の要因は

新型コロナの感染拡大の第8波で、亡くなる人が多くなったことについて、厚生労働省の専門家会合のメンバーらがその要因について考察する文書をまとめました。

〇感染者数の圧倒的増加
文書では感染者数が圧倒的に増加すると、致死率が低下しても死亡者数は増加するとした上で、2022年の秋以降の第8波では、感染者の全数把握が簡略化されたことに伴って検査で陽性でも自分で登録しないケースなどもあり、実際の感染者数は報告された数よりも多くなったと考えられるとしています。

〇80歳以上の感染増加
また、感染の報告のうち、重症化しやすい80歳以上が占める割合が去年夏の第7波の1.3倍に増えていて、正月休みなどの帰省や医療機関や介護施設でのクラスター発生で高齢者の感染の機会が増えたことも影響している可能性があるとしています。

高齢者で亡くなる人が増加した要因

その上で文書では、高齢者で亡くなる人の数が増加した要因については次の点を挙げています。

新型コロナへの感染をきっかけにほかの病気を併発したり、合併症が悪化したりすること。
感染によって心臓の機能が落ちて重症化したり、衰弱して食べ物を飲み下すことが難しくなって『誤えん性肺炎』を起こしたりすること。
感染の影響で血栓ができ、心筋梗塞や脳梗塞などになることなどを挙げています。

ワクチンや以前の感染によってできた免疫が時間の経過によって低下してきている可能性。
救急搬送が厳しい状態になったことによる介護施設や自宅で療養中の高齢者への治療の遅れ。
高齢者が多く医療体制が必ずしも十分でない地方で感染が拡大したことも増加の要因として挙げています。

今後の対策で重要な点は

また文書では、日本は他の先進国に比べて累積の感染者数が低く抑えられ、免疫を持つ人の割合が低いことも死亡者の増加に関わっている可能性があるとしています。

その上で、今後の対策でも感染者数の増加に伴う高齢者の死亡については重要な焦点になるとして、感染状況の監視や高齢者の日常的な予防対策やワクチン接種体制の維持、高齢者施設での感染対策の支援、医療体制の確保が求められるとしています。

専門家会合 脇田隆字座長
「死亡者数の増加要因を深掘りし明らかにしていくことで、医療体制を適切に整えることにつながり、死亡者も減らせると考えている。さらに分析を進めたい」

第1波~第8波 致死率の推移

新型コロナウイルスの感染者数に占める亡くなった人の割合「致死率」は感染拡大の第1波では5%を超えていましたが、治療法の進歩やワクチン接種が進んだことなどによって、2022年の夏の第7波では0.11%と大幅に減少しました。

第8波では、1月16日の時点で致死率は0.18%となっています。第8波で致死率が第7波より高くなっていることについて、専門家は、2022年の秋以降、感染者の集計方法が変わり、すべての感染者が集計されていない可能性がある一方、亡くなる人の数はほぼ正確に報告されていることが影響しているのではないかと指摘しています。

※分析した感染の波の期間※
(第1波:2020年1月~5月)
(第2波:2020年7月~9月)
(第3波:2020年10月~21年2月)
(第4波:2021年3月~6月)
(第5波:2021年7月~9月)
(第6波:2022年1月~6月)
(第7波:2022年7月~9月)
(第8波:2022年10月~2023年1月16日)

ページトップに戻る