4月から放送が始まる連続テレビ小説『らんまん』。
神木隆之介さん演じる主人公のモデルとなっているのが「日本の植物分類学の父」とも呼ばれている牧野富太郎博士ですが、実は晩年を東京・練馬区で過ごしました。
今、その邸宅跡では、博士の書斎を復元する取り組みが始まっています。
連続テレビ小説『らんまん』 主人公のモデルに
植物学者の牧野富太郎博士。
「日本の植物分類学の父」とも呼ばれています。
4月から始まる連続テレビ小説『らんまん』で神木隆之介さん演じる主人公のモデルとなっています。
牧野博士 作製の植物標本
牧野博士は、94歳で亡くなるまで1500種類に上る植物を発見、命名しました。
そして、およそ40万もの植物標本を収集しました。
牧野博士 代表作「牧野日本植物図鑑」
博士の代表作、『牧野日本植物図鑑』です。
東京・練馬区の邸宅跡にある牧野記念庭園で学芸員として働く、牧野一おきさんは、「牧野式」と呼ばれるその精密な植物の描写に注目してほしいと言います。
牧野一おきさん
「1ミリの中に5本線を引くという。ちょっと神業的な類稀な集中力がないとなかなかこの図をかけない。」
牧野博士の枕元で図鑑を開く 少年時代の一おきさん
実は、一おきさんは、牧野博士のひ孫で、博士とも10年間一緒に暮らしていました。
「富太郎の書斎は、小さな私にとっては、探検の対象。富太郎がいないとき、ちょこちょこっと入って、奥はどうなっているんだろうって」
牧野博士の書斎復元に尽力する一おきさん
今、一おきさんが力を入れているのが博士が使った書斎の復元です。
寄付を募ったところ、当時の様子を知っている人たちなどから、およそ500万円が集まりました。
山積みの蔵書に囲まれて研究に没頭する牧野博士(画像中央)
蔵書で足の踏み場もないほどだったという書斎。
博士の研究への情熱を伝えようと、およそ2500冊の本を当時の姿に近づくように配置していきました。
牧野一おきさん
「富太郎がここに座っていて、私が食事のために呼びにくるんですよ。横からこうのぞいて『おじいちゃんご飯』って言ったんですよ」
忠実に復元されているか確認していきます
もう一つ、一おきさんが、書斎の復元を通して伝えたいのは、博士を支えた家族の思いです。
博士は、経済的には決して豊かでなくても書物を買い続けました。
それを支え続けたのは、妻の壽衛さんでした。
牧野一おきさん
「植物の研究のために、すべてを費やしているので、お金はいといません、労力もいといません。うちは貧乏だけど、お父さんは遊んでいるわけではない、決して恥ずかしいことではないって子どもたちに壽衛さんは言ったそうです」
妻 壽衛さんとのツーショット
借金取りが来たときは、博士を書斎に隠して自分が対応。研究の妨げにならないようにしたといいます。
富太郎自身も、妻の支えに感謝していました。
みずからが発見した新種のササに妻、壽衛の名前にちなみ、スエコザサという名を付けました。
こんなうたも残しています。
『家守し妻の恵みや我が学び世の中のあらん限りやスエコ笹』
妻のおかげで自分の研究がある、壽衛さんへの愛情と感謝の気持ちは永遠に続くという思いが込められています。
牧野一おきさん
「壽衛に支えられて、大好きな植物、一生涯愛した植物とともに自分の好きな植物の研究ができたっていうのは、牧野富太郎っていう人はほんとに幸せな人だったと思います」
書斎は、3月下旬に工事を終え、連続テレビ小説『らんまん』の放送開始日にあわせて、4月3日から公開される予定です。