屋内・屋外を問わず、新型コロナウイルス対策としてのマスク着用は、個人の判断に委ねられることになりました。新型コロナ対策としてのマスク着用の有効性について専門家の知見や、着用が効果的とされる場面についてまとめました。
政府は、新型コロナ対策としてのマスクの着用について、3月13日から屋内・屋外を問わず個人の判断に委ねる方針を決定しました。一方で、医療機関を受診する際などは、引き続きマスク着用を推奨するとしていて、混乱が生じないよう周知を徹底していくことにしています。
厚生労働省はマスクの着用が効果的な場面などをまとめたリーフレットを作成し、ホームページなどで分かりやすく周知することにしています。
マスクの着用が効果的な場面について、厚生労働省は、医療機関の受診をする時や重症化リスクの高い人が多い医療機関や高齢者施設などを訪問する時、通勤ラッシュ時など混雑した電車やバスに乗車する時の3つの場面だとしたうえで国民に対して周知することにしています。
このほか重症化リスクの高い人が流行期に混雑した場所に行く時にもマスクの着用が効果的であることを周知するということです。
〇症状あり・感染者本人
一方、症状がある人や感染者本人、同居する家族に感染者がいる人は、周囲に感染を広げないため外出を控え、通院などでやむをえず外出する場合は人混みを避けマスクを着用するよう求めています。
〇医療機関・高齢者施設職員
また重症化リスクの高い人が多くいる医療機関や高齢者施設などの職員については勤務中のマスクの着用を推奨するとしています。
〇このほかの事業者
このほか、企業などの事業者については、感染対策上の理由や業務の内容などによっては利用者や従業員に対してマスクの着用を求めることは許容されるとした上で、各業界団体にマスク着用に関するガイドラインの見直しを行うよう求めています。
新型コロナウイルス対策として行われるマスクの着用の有効性について、京都大学の西浦博教授ら厚生労働省の専門家会合のメンバーなどは科学的知見をまとめた資料を2月8日の会合で示し、10日改定された基本的対処方針でも今後の対策でこうした知見を踏まえるものとされました。
それによりますと、マスクは、会話やせきをする際に他者に感染させないことと、自分が感染しないことが目的で、新型コロナでは発症前の潜伏期間におよそ半数の感染が起き、症状が出ない人からも感染が広がりやすいことが知られているとしています。
その上でマスクの着用の有効性について各国の78件の研究を解析した結果では、マスク着用者の1週間あたりの感染リスクは着用していない人に比べ0.84倍に下がり、2週間あたりだと0.76倍に下がると推定されたとしています。
また、各国の研究21件を解析した結果では、マスク着用がコミュニティ全体で推奨された場合は、新規感染者数や入院患者数、死者数を減少させる効果があることが示唆されたとしています。
さらに、アメリカの研究では、マスクの着用者が10%増えるとそうでない場合に比べて3.53倍、流行が制御しやすくなると推定されたとしています。
東邦大学 舘田一博教授(政府分科会メンバー)
「マスク着用をめぐって、緩和する方向ばかり注目されがちだが、強調したい最も重要なことは、マスクは今でも一定の効果がある大事な感染対策だということだ。効果がない、必要ないから外してよいということではない。たとえば高齢者や持病がある人も含めた不特定多数の人と密になるような電車内や、重症化リスクが高い人が多い医療機関などでは、自分を感染から守るためだけでなく、周りを感染させず、不安を与えないためにマスクを使っていくことが必要になる」