1. NHK
  2. 首都圏ナビ
  3. もっとニュース
  4. “有害”PFOS・PFOA 東京・多摩地域 血液検査の結果や国の対策は?

“有害”PFOS・PFOA 東京・多摩地域 血液検査の結果や国の対策は?

  • 2023年1月31日

有害性が指摘されている「PFOS」などを含む化学物質の「PFAS」について、環境省は総合的な対策を進めようとしています。こうしたなか、東京・多摩地域の住民を対象に専門家が市民団体と行った血液検査で、国が行った調査の3倍あまりの血中濃度の「PFOS」などが検出されたとする結果が公表されました。「PFAS」や「PFOS」とは何か、国の対策の動きなどについてまとめました。

「PFAS」4700種 有害性が指摘されているのは

有機フッ素化合物=「PFAS」は、炭素とフッ素などの元素が結合した有機化合物の総称で、4700種類あまりが存在するとされています。
このうち有害性が指摘されている「PFOS」や「PFOA」は、沖縄県や神奈川県などのアメリカ軍基地周辺の河川や地下水などから、国の暫定的な目標値を超える値が相次いで検出されています。

また、東京都の水道局によりますと、定期的に行う水道水の検査では、多摩地域で都が管理する井戸の277か所のうち、立川市や府中市など34か所で目標値を超えていたほか、都の環境局が行った2022年2月の地下水の調査では、多摩地域の自治体のほか、渋谷区や文京区といった23区内の調査地点でも、目標値を超える値が検出されています。

東京・多摩地域 血液検査で国調査3倍余を検出

こうしたことを受けて、京都大学の原田浩二准教授らは、市民団体と共同で、アメリカ軍横田基地のある多摩地域の住民を対象にした血液検査を行っていて、1月30日、これまでに検査を受けたおよそ280人のうち、87人の結果を公表しました。

その結果、国が2021年に全国の3地点で行った調査の平均値の3倍あまりの血中濃度の「PFOS」と「PFOA」が検出されたということです。
市民団体は、ことし3月末まで血液検査を続けて、最終的には600人ほどの調査結果を分析したいとしています。

京都大学 原田浩二准教授
「ただちに健康に影響があるわけではないが、今後の影響の調査や、汚染源の特定、対策の効果の検証なども含め国や自治体がしっかり対応するべきだ」

「PFAS」全体の有害性はいまだ解明されず

「PFAS」について環境省が1月30日に開いた専門家による会議では、科学的な知見に基づいた対応策の検討と分かりやすい情報発信を進めることを確認しました。

有機フッ素化合物をめぐっては「PFAS」に含まれる「PFOS」と「PFOA」は、国内では製品の製造が禁止されているほか、環境省が事故などで外部に排出された際に自治体への届け出が必要な「指定物質」に追加するなどの対策を進めています。その一方で、「PFAS」全体の有害性などはいまだ解明されていないということです。

ページトップに戻る