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東急本店 最後の店長 “閉店への思いと渋谷への願いとは”

  • 2023年1月30日

渋谷で長年、多くの人に親しまれてきた「東急百貨店本店」。
1月31日に55年の歴史に幕を閉じる、その最後を取り仕切るのが店長の稲葉満宏さんです。
東急百貨店に入社するきっかけとなったのが「本店」だと話す稲葉店長に、いまの思いや跡地の再開発によってどのように渋谷が発展してほしいのか、伺ってきました。

悲願の“東急本店”勤務

「本店で働きたい!」と東急百貨店に入社した稲葉満宏さん(入社直後の写真)

東急百貨店本店の店長、稲葉満宏さん。
東京・新宿区で生まれ育ち、大学卒業後、1987年に東急百貨店に入社しました。
入社を志すきっかけは「東急本店」だったと言います。

東急百貨店本店 店長 稲葉満宏さん
「本店は商品を売るだけではなく、接客を通じて付加価値を提供していました。また隣には『Bunkamura』も建設され、情報発信にも取り組んでいくことになっていました。
単なる物売りではなく、情報発信や文化の融合が、本店のブランドになると思っていたので、そのブランド価値を高めていくことにやりがいを感じ、東急百貨店に入社しました」

本店のブランド価値を高めていくことに尽力したいと、東急百貨店に入社した稲葉さん。
初めての配属先は日本橋店でした。その後、本社の販売促進部や中国への赴任、それに吉祥寺店の店長などを経験し、2020年4月、悲願だった本店勤務となりました。

本店の閉店はさみしいと語る 稲葉満宏 店長

くしくも店長として本店の55年間の歴史に幕を下ろす役目を担うことになりましたが、実は、閉店に携わるのは今回が2度目です。

東急百貨店本店 店長 稲葉満宏さん
「私は日本橋店の閉店にも携わりましたが、本店では、単なる閉店セールを行うことはできません。先輩たちが築いた本店のブランドを汚すことなく、どう閉めるのか、重い責任を感じています。お客さまと歩んだ渋谷での時間、本店の歴史、過ごした時代に感謝し、支えてくれたお客さまに寄り添うことが大切だと考えています」

“新時代をともに創りたい” 願い込めて

本店のブランドに恥じぬ閉店をと考える稲葉店長は、最終日、シャッターを閉じるまで、来店客に寄り添うこと。そして、本店のブランドの1つでもある情報発信に取り組もうと考えています。

一度、利用されて廃棄予定だった花(ロスフラワー)を使用したドライフラワー

東急百貨店本店 店長 稲葉満宏さん
「東急グループのスローガンは『美しい時代へ』なんですが、そうした時代を次の世代の人たちに引き継ぐために、どうしたらいいのか、考えたときにリサイクルなどの環境問題について、さらに意識を高く持たなければならないと思うんです。だから、そのことをお客さまと共有し、新しい時代をともに創っていきたいという願いを込め、今回、一度、使われて廃棄予定の花をドライフラワーにして店内を彩りました」

“渋谷がいい街”だと思えるよう…

若者が集う街で、けん騒を離れ、ゆったりとした時間の中で買い物ができる「東急百貨店本店」。
閉店後、その跡地には、商業施設やホテルなどを備えた地上36階建ての複合施設が2027年度に建設されることになっています。
稲葉店長は、この施設を通じて、渋谷のさらなる発展を願っています。

東急百貨店本店 店長 稲葉満宏さん
「いまの渋谷は若者が集って盛り上がりを見せていますが、どこか規律やルールがないがしろにされている点があると思います。また、街を見渡してもからすが目立つなど、美しさにかけているところもあると思います。

「新たにできる施設は、おしゃれな雑貨店などができはじめている『奥渋』といわれる住宅街周辺と繁華街をつなぐシンボル的な存在になると思うので、この新施設を通じて渋谷がいい街だと、次の世代が思えるように発展を遂げてもらいたいです」

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私たちは、東京・渋谷に根ざしたみなさんの「地域ド密着」の取り組みや課題を取材しています。
渋谷駅前では大規模な再開発が進み、スクランブル交差点やセンター街などには世界中から多様な人々が集まっています。原宿からは常に新しいファッション、文化が生まれています。

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