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コロナ5類 公費負担は? 医療 ワクチン マスク 対策見直しのポイント

  • 2023年1月27日

新型コロナの感染症法上の位置づけについて、政府は、5月8日に季節性インフルエンザなどと同じ「5類」に移行する方針です。医療費や医療体制、マスクの着用などへの対応はどうなるのか。またワクチンの無料接種についてはどのような議論になっているのでしょうか。コロナ対策の見直しのポイントや、移行にあたって東京都が政府に要望した内容をまとめました。

新型コロナ 5類移行は5月8日の方針

政府は1月27日、新型コロナ対策本部を開き、岸田総理大臣や加藤厚生労働大臣らが出席しました。この中で岸田総理大臣は、新型コロナの感染症法上の位置づけについて「厚生労働省の審議会の意見を踏まえ、特段の事情が生じないかぎり、5月8日から『5類感染症』とする方針を確認した」と述べ、2023年5月8日に、今の「2類相当」から「5類」に移行する方針を決定したことを明らかにしました。

移行前に改めて専門家の意見を聞き、予定どおり実施するか最終的な確認を行うとしています。

ワクチン接種 必要性・対象・間隔

厚生労働省は、新型コロナの感染症法上の位置づけを「5類」に移行する議論にあわせ、3月までとなっている無料のワクチン接種についても、2022年度中に今後の接種のあり方について方向性を示すことにしています。
厚生労働省の部会では1月26日、ことし4月以降、さらに接種を行う必要があるかや、接種の対象者、間隔や時期などが議題となりました。

〇接種の必要性
接種の必要性については、当面、従来株に由来する成分とオミクロン株に由来する成分を組み合わせたいまの「2価ワクチン」を打てるようにしておくべきだなどの意見が出されました。

〇接種対象
接種の対象については当面は希望者を対象にいまの無料での接種を継続するべきだとの意見が多くあがりました。

〇接種間隔
接種の間隔については社会機能を維持するため少なくとも年1回は接種すべきだという意見が多く出されました。

“自己負担だとワクチン接種は難しい”

国が議論している新型コロナワクチンの今後の接種体制について、費用が自己負担になると接種が難しいと考える人もいます。

八王子市で夫とともに4人の子どもを育てている女性の家庭では夫の仕事に影響が出ないように、これまでに、夫婦は3回接種し、4人の子どもたちも去年、それぞれ接種を受けました。

 

自己負担になると接種が難しくなり、財源があって難しいことかもしれないが無償とまではいわないが希望者が接種しやすい環境を作ってほしい。

女性の家庭では、物価高が家計に重くのしかかり、ワクチン接種の費用が有料になると、不安は残るものの、接種が難しくなると考えています。

コロナ対策見直しのポイント

新型コロナの感染症法の位置づけが「5類」に移行されることに伴い政府のコロナ対策が大きく見直されます。何がどのように変わるのか、主なポイントをまとめました。

コロナ対策 5類移行後のポイント
行動制限 行動制限 入院勧告や指示
外出自粛要請などできず
医療体制 幅広い医療機関で対応
段階的に移行
公費負担 医療費は原則 一部自己負担
(当面は公費負担継続)
水際対策 接種証明書求める措置など原則できず
感染者報告 基幹病院からの定点報告
マスク 着用は個人の判断に

〇行動制限など
「5類」に移行されることでこれまで行われてきた緊急事態宣言などの行動制限や、入院勧告・指示、それに感染者や濃厚接触者の外出自粛要請は出来なくなります。

〇医療体制
入院の受け入れや診療ができるのはこれまで感染症指定医療機関や発熱外来など一部の医療機関だけでしたが、「5類」に移行後は幅広い医療機関で対応する体制に段階的に移行する方針です。
現在、保健所などが行っている入院調整は、個々の医療機関の間で調整する体制に段階的に移行する方針です。

〇公費負担
入院や検査にかかる医療費はこれまでは全額公費で負担されていますが、「5類」に移行後は原則、一部が自己負担になります。ただ、受診控えが起きることなども懸念されることから、当面は公費での負担を継続した上で段階的に見直していく方針です。

〇水際対策
政府はこれまで海外から日本に入国する人に対しウイルスの流入を防ぐため3回のワクチン接種の証明書などを求めていましたが「5類」では原則、こうした措置が取れなくなります。

〇感染者の報告
感染者の報告についてはこれまで医療機関や保健所に対して全数報告を求めていましたが、「5類」では原則、基幹病院からの定点報告に変更されます。

マスクの着用
屋内でのマスクの着用は距離が確保できていて会話をほとんどしない場合を除いて着用が推奨されていましたが厚生労働省は個人の判断に委ねる方向で検討しています。

〇ワクチン接種
ワクチン接種は予防接種法に基づいて無料での接種が進められてきましたが、2023年度も無料接種を続けるかや、対象者をどうするかについては厚生労働省は専門家で作る分科会で議論を行っていて2022年度中に結論を示すことにしています。

〇イベントの参加人数
27日の対策本部では、大声を伴うイベントに参加する人数について、現在は会場の収容定員の50%としている上限を撤廃し、感染対策を行えば定員の100%まで入場を可能にすることを決定し、直ちに運用を始めることになりました。

5類移行 東京都が政府に要望した内容は

政府の「5類」移行方針について、東京都は、26日に開かれた都の会議で、移行にあたって政府に要望した内容を説明しました。
それによりますと、都民・国民の不安や医療現場などの混乱を招かないよう、段階的に移行を進めるとともに、円滑な移行のため、移行後の保健・医療提供体制のあり方を早期に明確にするべきだとしています。

具体的には、ワクチン接種について、今後の接種計画を早期に明らかにし、接種費用の公費負担を継続すること。マスクの着用に関する方針を、エビデンスに基づき分かりやすく周知すること。それに、クラスターの発生を防止するため、高齢者施設などの職員への検査を継続することを求めています。

医療提供体制については、発熱患者が速やかに受診できるよう、診療報酬の加算を継続すること。妊婦や子ども、重症患者などを受け入れる病床の確保と入院調整を継続すること。介護度の高い高齢者などの療養体制を確保するため、臨時の医療施設を継続すること。高額な自己負担により、治療薬の服用や入院を控えることが起きないよう、公費負担を継続することを求めています。

“判断材料となる考え方、専門家として示したい”

政府の分科会の尾身茂会長は、27日夜に行われた記者会見の中で、今後の感染対策について、感染対策の参考になる具体的な場面での対応についてまとめる考えを示しました。

政府分科会 尾身茂会長
「配慮が必要で、すべて個人の判断だけでよいということではなく、感染リスクや感染状況、その場にいる人たちで感染が起きたときの影響などを考慮してもらいたい。たとえば、グループの中に重症化しやすい人がいる場合といつも一緒にいる人だけの場合ではリスクが異なる。そうした判断の材料にしてもらえる考え方について、専門家として具体的な内容をまとめて示したい」

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