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神奈川・相模原市 広がる“クワイエットアワー”感覚過敏を知って!

  • 2023年1月23日

「クワイエットアワー」という言葉、聞いたことがありますか?
音や光に敏感な感覚過敏という症状がある人が過ごしやすいよう店舗や施設の音や照明を調整する取り組みです。

神奈川県相模原市では、地元の青年会議所が中心となって19の店舗で行われるなど、取り組みが広がりつつあります。

クワイエットアワーとは?

店内の一部の照明を消して、いつもよりも薄暗くしたり、店内のBGMなどを止め、静かな状態にしたりする「クワイエットアワー」。

音や照明に敏感に反応する“感覚過敏”によって外出にストレスを感じる人たちに配慮した取り組みです。

北海道の水族館や、一部のドラッグストアなどで行われています。

“感覚過敏”は、例えば太陽や蛍光灯がまぶしくて頭が痛くなる、大きな音で体調が悪くなるなど、視覚や聴覚などが過剰に反応して日常生活に困難を抱える状態のことをいいます。

こうした症状がある人に配慮したものが「クワイエットアワー」です。

相模原市で広がる取り組み

この取り組み、今、神奈川県相模原市で広がりつつあります。

市内のスーパーでは、去年8月から木曜日の午後4時から5時までの1時間、店内のBGMやアナウンスなどを止め、静かな中で買い物ができる環境を整えています。

当初は、店内のBGMやアナウンスを止めることで売り上げに影響するのではないかと不安を抱えていました。

しかし、その不安はすぐに払拭されたといいます。

なかや相模原大沼店 儀保裕店長
「店内には『安いよ。安いよ』など購買意欲を高める音が数多く流れているので、それが流せないと売り上げが落ちるのではないかと思いました。しかし、クワイエットアワーを行ってもその影響は全くありません」

クワイエットアワーを実施しておよそ5か月。来店客からはさまざま反応が寄せられています。

「店内に入って音楽がなくてビックリしました」とか「音があった方が買い物がしやすい」という意見の一方、「子どもが音に敏感で一緒に買い物をすることができませんでしたが、静かななかで買い物ができる時間があるなら、今度はその時間に子どもと一緒に買い物に来ます」という声も聞かれたと言うことです。

儀保店長
「音がない店内で買い物をしているお客様を見ていると、いつもよりも集中して買い物をしているように見えます。音や光に敏感に反応してストレスを抱えている人が安心して買い物ができる環境を作ると共に、そうした人たちがいるんだということを発信していきたい」

共生社会実現を相模原から

取り組みの中心となっているのは、相模原青年会議所です。
共生社会の実現を目標としている相模原市。青年会議所として、何ができるのか、学識経験者を招いて研修会などを実施してきました。

そこで「クワイエットアワー」という取り組みを知り、実施することになりました。

相模原青年会議所 地域共生委員会 八木さやか委員長
「相模原市では、2016年に知的障害者施設で入所者が殺害される事件も起き、障害者への理解をより深めるべきだと考えていた。クワイエットアワーを知り、感覚過敏の当事者を支えるととに、取り組みを通じて、大きな音や強い光にストレスを感じている人がいることを広く伝えられると考え、相模原でもやってみようと思いました」

“できる範囲”で…

青年会議所のメンバーたちは、市内の大型商業施設から個人商店まで1軒1軒訪問して協力を呼びかけました。

はじめは「客に迷惑がかかる」などの声も経営者から寄せられたものの、「音だけ小さくする」、または「照明だけ暗くする」など、できる範囲で取り組んでもらえないかとお願いしたところ、参加する店が増えたといいます。

取り組みを始めておよそ1年。
現在は、スーパーや書店など19の店舗に広がりました。

青年会議所では、強い光や大きな音が原因で外出を控えざるを得ない人たちがいることを多くの人が理解することが、まず大切だと考えています。

実施している店などで、感覚過敏の症状がない人にも、取り組みの趣旨を伝え、理解を広げようとしています。

八木委員長
「クワイエットアワーは点ではなく面でやらないと行けない。実施している店に行くまでに強い光や大きな音がある。だから、今後は自治体も巻き込んで地域を挙げて取り組める仕組みが必要」

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