電車内の痴漢被害を防ぐため朝のラッシュ時間帯に都営大江戸線にも女性専用車が導入されました。8両編成のうち4号車が女性専用の車両となります。首都圏の主な鉄道各社に聞いた女性専用車の導入状況について詳しくまとめました。
高校生や大学生などがメンバーになっている一般社団法人「日本若者協議会」は、オンライン署名を集めて内閣府などに対し痴漢対策の強化を要望してきました。
2022年6月には、女性が安心して公共交通機関を利用できるように都営地下鉄のすべての路線に女性専用車を導入するよう求める陳情を東京都議会に提出しました。
陳情は2022年10月、都議会で、全会一致で趣旨採択され、その後、東京都は都営大江戸線に女性専用車を導入することを発表しました。
1月18日から都営大江戸線には、平日の朝、通勤・通学のラッシュ時間帯に運行される電車に女性専用車が導入されました。
具体的には、六本木・大門方面が、朝7時から8時半までの間に光が丘駅を発車する電車です。
飯田橋・両国方面は朝7時15分から8時10分までの間に都庁前駅を発車する電車です。8両編成のうち4号車が女性専用の車両となります。
都交通局によりますと、4つある都営地下鉄のうちこれまで女性専用車が導入されているのは新宿線だけでしたが、コロナ禍で車内の混雑率が緩和されたことなどから最も利用客の多い大江戸線での導入を決めたということです。
まだ導入されていない浅草線と三田線は相互乗り入れしている鉄道会社との協議を続けるということです。
女性専用車の導入状況について、首都圏の主な鉄道各社に聞きました。JR東日本、小田急電鉄、京王電鉄、京成電鉄、京浜急行、西武鉄道、東京メトロ、東武鉄道、東急電鉄の状況をまとめました。
〇JR東日本
中央線や埼京線など一部の路線で平日の朝に導入していて、埼京線は深夜にも導入しています。
〇小田急電鉄
ロマンスカーをのぞいてすべての路線のほとんどの区間で導入しています。各駅停車は対象ではないということです。
〇京王電鉄
平日の朝、上りの特急、急行、区間急行で導入しています。平日夕方にも一部の区間で行っています。
〇京成電鉄
平日の朝、一部の路線の一部の区間で導入しています。
〇京浜急行
平日の朝、一部の路線に導入しています。
〇西武鉄道
平日の朝、主な路線のほとんどの区間で導入しています。各駅停車は対象ではないということです。
〇東京メトロ
銀座線、丸の内線、南北線の3つの路線をのぞいて、すべての路線で導入しています。導入していないのは6両編成の車両を使っている路線だということです。
〇東武鉄道
一部の路線をのぞいて平日の朝、上りの列車に導入しています。
〇東急電鉄
東横線など一部の路線で平日の朝、導入しています。
痴漢対策に取り組んでいる大阪の一般社団法人、痴漢抑止活動センターの代表理事松永弥生さんは、ほかの路線や時間帯にも女性専用車を増やす必要があると指摘しています。
〇女性専用車の導入について
高校生から、夕方の時間に女性専用車がなく困っているという声が届いているので、平日の朝のラッシュ時間帯だけでなく帰宅ラッシュの時間帯にも導入してほしい。全ての電車にあるのが理想なので他の路線にも増やしていく必要がある。
〇反対する意見について
女性優遇だとか男性差別だという声も一部にあるが、そういうことではなく、本当に痴漢で困っていて日常生活の中で性暴力にさらされている人がいることに目を向けて理解していただきたい。
〇鉄道会社に対して
女性専用車はシェルターとして機能し痴漢抑止の一定の効果はあると思うが、根本的な解決にはならない。鉄道会社は防犯カメラの導入などいろいろな対処をしているが、痴漢被害をもっと真摯に受け止めて、積極的に痴漢をなくしていく対策を一緒に考えてほしい。