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新型コロナ死者急増の背景は 1か月余で1万人超 累計の6分の1に

  • 2023年1月12日

新型コロナウイルスに感染して亡くなった人の数は、12月以降の1か月あまりで、全国で1万人を超え、累計のおよそ6分の1の人がこの間に亡くなったことになります。厚生労働省の専門家会合は、亡くなる人の数が過去最多となる状況が続き、高齢者施設や医療機関での集団感染が増加傾向になっていると指摘しました。急増の背景などについて専門家に聞きました。

第8波 急増する死者 高齢者が圧倒的に多い

厚生労働省によりますと、新型コロナウイルスに感染して亡くなったと発表された人の数は2022年10月には全国で1864人でした。その後、11月に2985人、12月には7622人と急増し、1月は1月10日の時点ですでに3145人と12月を上回るペースで増加しています。

12月7日から1月3日までのおよそ1か月間に亡くなった人のうち、年代や性別が明らかになっている5825人について年代別にみると、50代以下が161人に対して、60代は296人、70代は996人、80代は2398人、90代以上は1974人と、高齢者が圧倒的に多くなっています。

新型コロナウイルス対策について助言する厚生労働省の専門家会合は1月11日、亡くなる人の数が過去最多となる状況が続き、高齢者施設や医療機関での集団感染が増加傾向になっていると指摘しました。

高齢者施設 対策徹底でもクラスター

クラスター発生に高齢者施設の担当者も苦悩しています。千葉県市川市にある特別養護老人ホームでは、2022年11月から12月にかけて利用者と職員あわせて23人が感染しました。感染対策を徹底したにもかかわらず3回目のクラスターの発生でした。

保健所などの指導のもと、施設は “ゾーニング”を行い、感染が広がったフロアへの立ち入りを一部の職員に限定した上、細かく導線を設けました。
また、防護服を着た職員がそれぞれの部屋に食事を届け、食事を介助する方法に変更しました。

しかし、施設で感染者が出た2週間後には、感染経路はわからないもののデイサービスでも感染が確認され、休止せざるを得なくなったということです。

特別養護老人ホーム「親愛の丘市川」千野哲孝施設長
「デイサービスが止まると家族が仕事に行けずに困るため何とか事業を続けようと頑張ったが、結果的に止めてしまいやるせない気持ちです。事業を続けていくために一時的に何のサービスを残して中止するかの選択はすごく大変で心苦しく、今後どうしていくべきか、具体的な方法を考えていきたい」

高齢者福祉施設のクラスター 第7波ピーク水準

厚生労働省のまとめでは、12月27日までの8日間に全国で確認されたクラスターなどの数は1430件でしたが、このうち高齢者福祉施設でのクラスターは954件と全体の66%を占めて施設別で最も多くなっています。さらに年末年始の週では861件となっていて第7波のピーク前後の水準が続いています。

専門家 “第7波を超えるような感染 見えなくなっている”

12月以降、国内で新型コロナウイルスに感染して亡くなった人の数が急増していることについて東京医科大学の濱田篤郎特任教授は、重症化する割合は以前より低くなっていても感染者数自体が多くなっていることや、コロナの感染をきっかけに高齢者で持病が悪化して亡くなるケースが増えていること、それに高齢者でオミクロン株対応のワクチンの接種率が十分高くなっていないことがあるとしています。

〇感染者数が増加
「流行しているウイルスは第7波と変わらず、致死率などの病原性には今のところ大きな変化はないと見られるが単純に感染者数が増えている。感染者の報告数はまだ2022年夏の第7波のピークには届いていないが、2022年に比べて全数把握がしっかりとは行われなくなり、実際には第7波を超えるような感染が起きている状況が見えなくなっている。医療機関が何らかの形で関わる死亡者についてはある程度正確に把握できていて、死亡者数が過去最多の状況になっている」

〇感染きっかけに血管障害も
「以前はコロナに感染して重症の肺炎を起こして亡くなるというケースが注目されたが、いまはコロナに感染することで血管障害が起き、心筋梗塞や脳梗塞が原因で亡くなる人がいることもわかってきている。さらに、かなり高齢の方が感染した場合、本人や家族の希望で人工呼吸器などを使った治療を行わずにみとる形で亡くなる方も一部ではいるようだ」

〇死亡者を減らすために
「感染者数自体を減らさなければ死亡者数を減らすことはできない。高齢者施設での対策など、特に高齢の方が感染して亡くなるケースを防ぐ取り組みが必要だ。ワクチンの重症化予防効果はある程度長く続くことが知られているが、特に高齢者では時間の経過とともにどうしても効果が下がってきてしまう。オミクロン株対応ワクチンの接種率は全体で3割あまり、高齢者でも6割ほどとまだ十分な水準ではないのでぜひ接種をしてもらいたい」

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