1. NHK
  2. 首都圏ナビ
  3. もっとニュース
  4. オミクロン株 XBB.1.5 感染力など特徴は 米で急増 国内への影響も

オミクロン株 XBB.1.5 感染力など特徴は 米で急増 国内への影響も

  • 2023年1月10日

新型コロナウイルスのオミクロン株の1つ「XBB.1.5」がアメリカでは急速に拡大しています。専門家は「日本でも確認されている『XBB』にさらに変異が加わったウイルスで、免疫から逃れる性質だけでなく感染力がさらに強まっている可能性が指摘されている」としています。「XBB.1.5」や「XBB」についての情報をまとめました。

オミクロン株「XBB」とは

オミクロン株のひとつ「BA.5」は第7波の感染拡大を引き起こしましたが、「BQ.1」に「BQ.1.1」、それに「XBB」など、オミクロン株の新たな変異ウイルスが報告されています。このうち「XBB」は、オミクロン株の「BA.2」系統の2種類が組み合わさった「組み換え体」と呼ばれるタイプのウイルスです。

アメリカでは12月下旬からこの系統のウイルスが検出される割合が増加し、アメリカCDC=疾病対策センターが1月6日に発表したデータでは「XBB」と「XBB.1.5」をあわせて全体の32.5%を占めると推定されています。

「XBB」免疫をすり抜ける力強い

東京大学医科学研究所の佐藤佳教授が主宰するグループ「G2P-Japan」は、「XBB」の分析結果について、査読を受ける前の論文として公開しました。

それによりますと、ワクチンを接種したあとにオミクロン株の「BA.5」に感染した人の血液を使って「XBB」の特徴を再現した人工的なウイルスに対する免疫の反応を調べたところ、「XBB」に対する中和抗体の働きは「BA.5」に対する場合と比べ18分の1にとどまりました。

〇XBBに対する中和抗体の働き
 BA.5に対する場合の18分の1
(人工的なウイルスに対する免疫反応)

一方、感染した人から取ったウイルスをハムスターに感染させる実験では、「XBB」に感染した場合の肺の炎症や損傷の度合いは同じオミクロン株の「BA.2.75」と同じ程度で症状を引き起こす力は高まっていないとみられるということです。

〇XBBに感染 肺の炎症や損傷
 BA.2.75と同じ程度(ハムスターによる実験)

佐藤教授は「これまで流行したウイルスの中で最も中和抗体が効きにくく、感染のしやすさは高まっていると考えられる。警戒が必要なウイルスだ」と話しています。

「XBB.1.5」アメリカで急拡大

 

アメリカでは新型コロナウイルスのオミクロン株の1つ「XBB.1.5」がこの1か月で急速に拡大しています。
CDC=アメリカ疾病対策センターは、このほど、1月7日までの1週間に新型コロナに新たに感染した人のうち、推計で27.6%が、「XBB.1.5」に感染したと発表しました。

ほかの変異ウイルスが12月下旬からいずれも減少する中、「XBB.1.5」は12月3日の時点の推計2.3%からこのひと月で急速に広がり、中でも東部のニューヨーク州を含む地域では全体の7割を超えています。

バイデン政権で新型コロナウイルス対策調整官をつとめるアシシュ・ジャー氏は1月4日、自身のツイッターで「XBB.1.5」はほかの変異ウイルスと比べ感染を広げる力はより強いとみられるとしてワクチン接種など基本的な対策を続けるよう呼びかけました。

「XBB.1.5」第8波が長引くことも懸念

東京医科大学 濱田篤郎特任教授
「日本でも確認されている『XBB』にさらに変異が加わったウイルスで、免疫から逃れる性質だけでなく感染力がさらに強まっている可能性が指摘されている。日米間の水際対策はかなり緩和されており、今後、このウイルスが日本に入ってくることは前提にしなければならない。このウイルスの流入でいまの第8波が長引くことも懸念される」

国内で死者が急増 その背景は

国内の状況です。NHKは厚生労働省が発表した感染者数をもとに、1週間平均での新規感染者数の傾向について前の週と比較してまとめました。全国では1月5日まででは0.71倍と減少傾向に転じていて、沖縄県を除く46の都道府県で前の週より少なくなり減少傾向となりました。

一方、厚生労働省によりますと1月7日に発表した新型コロナウイルスによる全国の死者数は463人で、去年12月29日の420人、さらに前日の1月6日の456人を上回り、1日の発表としてはこれまでで最も多くなりました。
新型コロナウイルスに感染して亡くなった人の数が連日過去最多となるなど急増していることについて、東京医科大学の濱田篤郎特任教授は次のように話しています。

〇死者数最多の理由
「流行しているウイルスの性質が変わったわけではなく、感染者数そのものが急増していることが背景にあると考えられる。感染者として報告される人数は2021年夏の第7波を超えていないが、全数把握は完全には行われておらず、実際にはすでに第7波のピークを超える過去最大の感染となっていて死者数も過去最多となっているのだと思う。また高齢者の感染が多いことも死者数の増加の背景として考えられる。オミクロン株対応ワクチンの高齢者での接種率は6割ほどと3回目までの割合に比べてまだ高くない」

〇感染者数の今後の推移
「重症化した時に対応する医療機関のひっ迫も深刻になってきている。行動制限のない年末年始で多くの移動や接触があったため増加傾向は今後も続くとみるべきで、インフルエンザの同時流行といういままでに無かった事態にも直面していて、医療のひっ迫がさらに厳しくなっている」

ページトップに戻る