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コロナ第8波 解熱鎮痛剤 検査キット 年末年始の備えや医療体制は

  • 2022年12月27日

新型コロナの1日あたりの感染者数は、12月21日、およそ4か月ぶりに全国で20万人を超え、「第8波」では最も多くなりました。より免疫から逃れやすい新たな変異ウイルスへの置き換わりが進んできていることが影響しているとみられています。感染拡大の懸念や医療体制の状況、そして年末年始に向けてできる個人の備えなどについてまとめました。

懸念(1) BQ.1系統 東京都で1割超える

新たな変異ウイルスへの置き換わりの状況を東京都のデータで見てみますと、11月の時点で「BA.5」が73.9%だったのが、12月は22日時点のデータで68.1%と割合が減少してきています。
一方で、オミクロン株の「BQ.1」系統と呼ばれる「BQ.1.1」が9.4%、「BQ.1」が2.5%と、合わせて1割を超えてきています。

懸念(2)インフルエンザ 東京都などでは流行期

もう一つの懸念が、インフルエンザの患者が増え始めていることです。全国の1医療機関あたりの1週間の患者数は「0.53人」で、前の週の「0.25人」から増加しました。この数字が「1」を超えると全国的な流行期入りとされ、まだ下回っています。

ただ、青森県、岩手県、東京都、神奈川県、富山県、熊本県では「1」を超えていて、それぞれの都県は「流行期に入った」と発表しています。
コロナの感染拡大が始まって以降、初めてのことで、コロナとインフルエンザの同時流行が懸念される状況になってきています。

東京医科大学 濱田篤郎特任教授
「2年間、世界的に大きなインフルエンザの流行がなかったため、多くの人が免疫を持たず、新型コロナ前よりも拡大してしまう懸念がかねてからあり、実際アメリカではそのような事態になっている。年明け以降、国内でもさらに増えてくると考えるべきだ。いまからでも遅くないので、インフルエンザのワクチン接種を検討して欲しい」

検査キットや解熱鎮痛剤 年末年始の個人の備え

年末年始は医療機関だけでなく薬局なども、通常の体制と異なることになります。

厚生労働省などは、医療機関のひっ迫を防ぎ、重症化リスクのある人に対応できるようにするため、発熱やのどの痛み、けん怠感といった、感染が疑われる症状がある場合、自宅で抗原検査キットを使って検査し、陽性でも重症化リスクが低い人は自宅で安静に過ごすよう呼びかけています。

こうしたなか、抗原検査キットや解熱鎮痛剤をあらかじめ準備しておくことや、住んでいる地域だけでなく、帰省先や旅行先で受診できる医療機関はあるのか、事前に確認しておくことが大切です。

都内の年末年始の診療体制についてはこちらから
都内コロナ・インフル同時流行の兆候?オンライン診療の難しさとは

コロナ以外の救急搬送困難 第7波のピーク超

医療の状況をみますと、病床の使用率も上がってきているほか、救急搬送が難しいケースも増えています。東京の大学病院でもコロナ患者用の病床が満床になり、コロナとコロナ以外の救急搬送が受けられなくなっているところが出てきています。

厚生労働省の専門家会合は、新型コロナ以外の症例で搬送が難しいケースがすでに「第7波」のピークを超えているとして、年末年始の救急医療体制の確保に向けて注意が必要だとしています。

専門家会合は、年内にオミクロン株対応のワクチン接種を終えるよう呼びかけ、感染に備えて、自分で検査できる抗原検査キットの活用を進めるよう求めています。

コロナに感染して死亡 第8波は感染者数に比較し多い

「第8波」ではコロナに感染して亡くなる人の数が、感染者数に比較して多くなっています。今回の第8波では全国の感染者数は1週間平均で1日あたり16万人ほどと、22万人を超えた、ことし夏の「第7波」のピークには至っていません。
ところが、亡くなった人の数は、12月22日と24日に339人と、第7波のピークに近くなっています。

専門家は、オミクロン株対応ワクチンの接種があまり進んでいないことで、高齢者を中心に亡くなる人の割合が増えている可能性があること。
そして、ことし9月に感染者数の報告形式が変わって以降、報告の精度が下がり、感染しても受診しない人も増えているとみられるなど感染者数が以前よりも正確に把握できなくなり、実際にはさらに多くの感染者が出ている可能性もあると指摘しています。

また、呼吸器の病気が重症化するだけでなく、感染後に血栓ができるケースも報告され、心臓など循環器の病気になってきているのではないかという見方も専門家から出されています。

感染状況 医療体制 専門家はどうみているのか

現在の感染状況などについて、新型コロナウイルス対策にあたる政府の分科会メンバーで東邦大学の舘田一博教授に聞きました。

〇医療体制は
「(亡くなる人は)まだ第8波の入り口の段階で、ことし夏の第7波のピークに近づきつつあり、これから感染が拡大し亡くなる人がさらに増える事態を懸念している。年末年始はただでさえ通常の疾患の患者が増え医療体制が弱くなる時期で、事故によるけがや心疾患などの病気の人に対応できなくなる事態もありうる。インフルエンザとコロナの同時流行が起これば、さらに医療体制が厳しくなる」

〇年末年始は
「感染状況は日に日に厳しくなり医療ひっ迫が近づくいまの状況についてもう一度考えてもらう必要がある。忘年会や新年会はあまり大人数にならず、換気ができるところで、短時間で楽しむことや、帰省する際はなるべくワクチンを打ち、自分の体調を事前にしっかりチェックするなど基本的な対策を一人ひとりに続けてもらうことが重要だ」

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