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都内コロナ・インフル同時流行の兆候?オンライン診療の難しさとは

  • 2022年12月26日

東京都は22日、都内はインフルエンザの流行シーズンに入ったと発表しました。新型コロナとインフルエンザの同時流行の兆しが見え、オンライン診療の活用の検討も呼びかけられるなか、都内のクリニックでは自主検査できるコロナに比べてインフルエンザの診断は難しいとして、直接の来院を促すなどしています。年末年始に向け発熱外来や臨時の診療所の設置など医療体制強化の動きとまとめました。

東京都内の医療提供体制「最も深刻なレベル」

東京・品川区の昭和大学病院では、一般病床を新型コロナの専用病床に振り分ける形でおよそ50床を確保してきましたが、12月22日の時点で8割近くが埋まっています。
病院によりますと、重症化リスクがある患者も増えているほか、新型コロナ以外の病気で入院してきた患者が入院の際の検査で陽性と診断されるケースも増えているということです。

東京都は、都内での新型コロナの感染状況と医療提供体制について専門家によるモニタリング項目の分析結果を12月22日公表しました。
それによりますと、病床使用率は12月14日以降、50%を上回る日が続いていて、専門家は都内の医療提供体制の警戒レベルを最も深刻なレベルとしました。最も深刻なレベルとなるのはおよそ3か月前の9月中旬以来です。

都内インフルエンザ流行期に コロナは感染拡大

さらに都は12月22日、都内でインフルエンザの流行シーズンに入ったと発表しました。都によりますと、12月12日から18日までの1週間に都内の409の医療機関から報告されたインフルエンザの患者数は1つの医療機関あたり1.12人となりました。前の週の2.2倍で、流行シーズン入りの目安とされる「1」を上回ったということです。
都内で流行シーズンに入ったのは新型コロナの感染拡大前となる3年前の2019年以来となります。

東京都
「流行シーズンに入って、今後、本格的な流行が懸念される。新型コロナとの同時流行にも注意が必要で、感染を広げないためにもワクチン接種のほか、こまめな手洗い、マスクの着用、それに適度な換気など対策の徹底をお願いしたい」

インフルエンザ オンラインでは診断が難しいことも

東京・港区のクリニックでは3週間ほど前から発熱外来を利用する患者が増えていて、最近では1日に診療するおよそ40人のうち10数人がオンライン診療だということです。

しかし、クリニックによりますと、オンライン診療では、胸の音やのどの炎症などの確認のほか、酸素濃度の計測や血液検査などができず、患者の説明だけに頼らざるを得ないため対面に比べて把握できる情報に限りがあるということです。

このため、新型コロナの自主検査で陰性だった場合、インフルエンザなのか、それ以外の疾患なのかの診断が難しく、解熱剤を処方したり、患者が望む場合などは来院を促したりしているということです。

虎ノ門中村クリニック 中村康宏院長
「一般向けのコロナとインフルエンザの同時検査キットはまだ流通量が少なく、利用できる患者が少ない。インフルエンザの診断を受けて治療薬を処方してほしい場合や同居家族に感染させるリスクがある場合などは、対面での診療をお願いしたい」

対面診療体制の強化の動き 都立病院

東京都は年末年始に向けて、対面で診療できる場を増やそうと12の都立病院の医療体制を強化します。

〇体制強化の都立病院
広尾病院 墨東病院 大久保病院 多摩総合医療センター 大塚病院
多摩北部医療センター 駒込病院 東部地域病院 豊島病院
多摩南部地域病院 荏原病院 小児総合医療センター

コロナ・インフルの検査・診療 臨時診療所など

新型コロナウイルスとインフルエンザの同時流行が懸念される中、このほかの年末年始の医療体制を強化する動きが出ています。

世田谷区は、区内の15歳以下の子どもを対象にした臨時の診療所を12月19日に開設しました。診療所は予約制で区のホームページから予約でき、1日あたり最大80人の患者に対応できる体制で運用され、新型コロナやインフルエンザの検査や診療を行うということです。
臨時の診療所は2023年3月末まで設置され、2月末までは年末年始を含め土日や祝日も対応する予定です。

このほか目黒区も、12月30日から1月3日まで、地元の医師会の協力を得て、重症化リスクの高い人を優先して新型コロナやインフルエンザの検査や診療を行う予約制の発熱外来を開設するなど年末年始の医療体制を強化する動きが出ています。

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