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新型コロナ再拡大で献血不足 “みなさんの協力で救える命がある”

  • 2022年12月23日

新型コロナの感染が再び拡大している影響で、輸血用の血液の在庫が減っています。
日本赤十字社は、以前献血した人に、再度の協力をお願いするため個別に電話で呼びかけています。
コロナ禍で始まった取り組みということなんですが、この冬、特に献血が必要になっています。現場で何が起きているんでしょうか。

献血協力の高校生 “困る人がいるの嫌”

横浜市中区の桜木町駅前の人通りの多い場所に献血バスが用意されています。

担当者によりますと、この日1日、この場所で献血に協力するという事前の予約は6人と、求めている62人分の1割にも満たない状況でした。

ただ、取材中には、予約なしで献血にきた高校生の姿もありました。

献血に来た高校生
「いざとなったときに困る人がいるというのが嫌だなというのがあるので来ました」

“みんなの協力で救える命がある”

「日本赤十字社関東甲信越ブロック血液センター」によりますと、医療機関からもっとも需要の多い400ミリリットルの「血液製剤」の在庫の量は、最低限必要とされる量を割り込んでいます。
12月16日の時点で、B型が87パーセント、A型とO型は94パーセントにとどまっているということです。

400ml「血液製剤」在庫量 (12月16日時点)
・B型 87%
・A型とO型 94%

こうした状況について、日本赤十字社関東甲信越ブロック血液センターは、新型コロナの感染が再拡大している影響で、献血者の確保が難しくなっていることが原因の一つにあると分析しています。

日本赤十字社では新型コロナに感染した人は、症状がなくなってから4週間、濃厚接触者でも、最後の接触から2週間、期間を空けなければ献血することが出来ない決まりとなっていて、感染者数が増えると、献血が出来ない人もそれだけ多くなります。

期間空けないと献血できない
・感染者…症状がなくなってから4週間
・濃厚接触者…最後の接触から2週間
“感染者数が増えると、献血ができない人も多くなる”

また、企業や大学などではリモートでの仕事や授業が増え、集団で献血をする機会が少なくなっている状況が続いています。

こうしたことから、12月21日までの3週間で、必要な献血者数は、あわせて1600人ほど計画より足りていないということです。

日本赤十字社関東甲信越ブロック血液センター 松下麻依子さん
「冬場はふだんから、献血者の確保が難しくなるが今はそれに加えて新型コロナの影響で厳しい状況だ。みなさんの協力で救える命があるので少しでも時間があれば献血に協力してほしい」

電話で献血呼びかける

献血者を確保しようと、日本赤十字社関東甲信越ブロック血液センターでは、直接電話で呼びかけるなど、あの手この手で献血への協力を呼びかけています。

センターでは、都心の駅前などの人通りが多いところに臨時の献血バスを出したり、「ウルトラマン」とコラボしたグッズを献血した人に配るキャンペーンなどを実施したりしています。

さらに、血液センターの職員が、これまでに献血をしてくれたことがある人、ひとりひとりに電話をかけ、再び献血をしてもらうよう、直接、依頼しているということです。

電話での献血への呼びかけを担当していた職員
「献血が足りないことを説明したとき、理解を示してくれたり『行きます』と言ってくれたりすると励みになる。命を救うために必要なことなのでがんばりたい」

血液自体“人工的作れない”…献血に協力を

輸血用の血液製剤の在庫が減少していることについて、都内の病院で輸血の管理を担当している医師に話を聞きました。

虎の門病院輸血部 森有紀 部長
「医療現場では、大きなけがや手術、出産で輸血が必要なほか、血液の病気の治療にも献血による血液製剤は欠かせない。事故や災害などで、緊急の大量出血の対処のときにも、命を守るためには、血液が安定して供給される状況が必要だ」

そして、「今までもコロナなどでいろんな状況があったと思うが少なくとも今まで、必要なときに必要な血液が届かないというような状況はなかった。さまざまな人の善意と努力でこうした血液が確保されていると思うので、今後も安定的な供給が続いてほしい」と話していました。

そのうえで、森部長は継続的な献血への協力を呼びかけています。

森有紀 部長
「医学が進歩しても、血液自体は人工的につくることはできないし、長期間、保存しておくこともできない。善意でいただいた血液を本当に慎重に使わせていただいている。コロナの状況も日々変化していて、献血してくれる人の状況もわれわれもしっかり受け止めているので、もし可能であれば、献血してくれている人には継続してほしい」

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