新型コロナウイルスのオミクロン株に対応したワクチンについて副反応や発症を防ぐ効果などについての研究結果です。このうち「BA.1」に対応するワクチンの副反応について従来型のワクチンと比較した分析の結果を厚生労働省の研究班が発表し、副反応が起きる割合に大きな差はないとしています。オミクロン株対応ワクチンの情報をまとめました。
オミクロン株BA.1対応ワクチンの副反応 | |||
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症状 | ワクチン | BA.1対応 | 従来型 |
けん怠感 全身 |
ファイザー | 64.6% | 69% |
モデルナ |
77.8% |
75.6% |
|
頭痛 | ファイザー | 43.7% | 55.1% |
モデルナ |
60% |
64.5% |
|
発熱 37.5度以上 |
ファイザー | 29.1% | 39.7% |
モデルナ |
53.3% |
62.9% |
厚生労働省の研究班は「BA.1」対応ワクチンの3回目から5回目の追加接種と、従来型ワクチンの3回目の接種について、接種から1週間までに副反応が起きた割合を比較・分析した結果を発表しました。副反応の症状ごとにまとめました。
〇全身のけん怠感
従来型ワクチンではファイザーで69%、モデルナで75.6%。
「BA.1」対応ワクチンではファイザーで64.6%、モデルナで77.8%でした。
〇頭痛
従来型ワクチンではファイザーで55.1%、モデルナで64.5%。
「BA.1」対応ワクチンではファイザーで43.7%、モデルナで60%でした。
〇37度5分以上の発熱
従来型ワクチンではファイザーで39.7%、モデルナで62.9%。
「BA.1」対応ワクチンではファイザーで29.1%、モデルナで53.3%でした。
研究班は、「BA.1」対応ワクチンの調査対象者は従来型と比べてまだ少ないものの現時点では副反応が起きる割合に大きな差はないとしていて、「感染や重症化を防ぐ効果が期待されるのでオミクロン株対応ワクチンの接種を検討してほしい」としています。
オミクロン株に対応したワクチンの効果についての分析結果です。国立感染症研究所などは、オミクロン株の「BA.5」が感染の主流となっていた2022年9月から11月にかけて、関東地方の10の医療機関で、新型コロナウイルスの検査を受けた16歳以上のおよそ4000人を対象に、検査で陽性だった人と、陰性だった人のワクチンの接種歴を比較してオミクロン株に対応したワクチンの効果を分析しました。
その結果、従来型のワクチンを2回以上接種した上で、オミクロン株対応ワクチンを追加接種した人での発症を防ぐ効果は71%でした。
ワクチンの種類ごとに分析した場合、「BA.1」対応のワクチンを追加接種した人では73%、「BA.4」と「BA.5」に対応したワクチンを追加接種した人では69%だったということです。
研究グループは、「BA.1」対応ワクチンと、「BA.4」「BA.5」対応ワクチンとでは、有効性に大きな差はなく、オミクロン株対応のワクチンには発症を予防する高い効果が示されたとした上で、今後、どのくらいの期間効果が持続するのかについても調べることにしています。
厚生労働省は、オミクロン株対応のワクチンを接種した17人の男女が死亡したと医療機関から新たに報告を受けたことを明らかにしました。
17人の内訳は、「BA.1」対応のファイザーのワクチンを接種した58歳から71歳の男女3人、「BA.1」対応のモデルナのワクチンを接種した90歳の男性1人、「BA.5」対応のファイザーのワクチンを接種した27歳から97歳の男女13人です。
オミクロン株に対応したワクチンを接種後に死亡した事例について、これまでに国が発表したのはあわせて19人になりました。
また5歳から11歳の子どもを対象にした3回目のワクチン接種で12月13日、11歳の男子児童が死亡したと発表しました。子どもを対象にした3回目のワクチン接種で死亡した事例について国が発表したのはあわせて3人になりました。
厚生労働省は12月16日に発表した事例について、いずれも接種との関連は評価中だとしています。