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  • 2022年12月16日

東京都 全国初の太陽光パネル設置義務化条例 住宅価格や対象は?

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温室効果ガスの排出量の削減に向け、東京都で、新築住宅への太陽光パネルの設置を義務化するための条例が、全国で初めて成立しました。 
住宅価格は上がるの?課題は? Q&Aで伝えます。

全国初 太陽光パネル設置義務化条例

12月15日に開かれた都議会の本会議では、2025年4月から都内に新築される住宅に太陽光パネルの設置を義務化するための条例の改正案の採決が行われました。

その結果、改正条例は都民ファーストの会や公明党、共産党、それに立憲民主党などの賛成多数で可決・成立しました。

都議会第1党の自民党などは「太陽光発電は推進する立場だが現時点で、義務化は都民に十分に理解されておらず納得してもらえる状況にない」などとして反対しました。

この条例は大手住宅メーカーを対象に、太陽光パネルを設置できる新築住宅の数や、日当たりの条件などから算出された発電容量の目安の達成状況を毎年、都に報告することを義務づけるもので、全国で初めて成立しました。

本会議では、一般会計の総額が1100億円あまりの補正予算も可決・成立し、義務化に向けて、メーカー側が設計や施工の技術を向上させる取り組みを支援する費用や条例の内容に関する相談窓口の設置や啓発事業などとしておよそ300億円が盛り込まれました。

東京都 小池知事  
「多くの会派の賛同をもらい成立した。2030年までに温室効果ガスの排出量を半減させる『カーボンハーフ』などの実現を確実にしていく。これから1つずつ理解を深めてもらいながら、前へ進んでいきたい」

義務化のポイント

12月15日の都議会で改正された条例では、太陽光パネルの設置を義務化するための制度が2025年4月から始まります。

制度では、義務づけの対象は、住宅を購入する消費者ではなく、都内で住宅を供給する延べ床面積の合計が年間2万平方メートル以上の大手住宅メーカーです。

メーカーは延べ床面積が2000平方メートル未満の新築住宅について、太陽光パネルといった再生エネルギーの発電設備を設置できる住宅の供給数や地域ごとの日当たりの条件に応じた係数、それに1棟あたり2キロワットとする基準量を掛け合わせて算出された発電容量の目安の達成状況を毎年、都に報告することが義務づけられます。

目安を達成できなくても罰則はありませんが、達成への取り組みが不十分だと判断された場合、都は、助言や指導を行った上で、改善が見られない場合は事業者名の公表を検討するとしています。

住宅価格は上がる?課題は? Q&A

新築住宅への太陽光パネルの設置を義務化するための東京都の条例。すべての新築住宅が対象になるのか、住宅の価格はどのようになるのか。首都圏局の生田隆之介記者が解説します。

Q. この条例、私たちにはどんな影響があるんでしょうか? 
義務づけの対象は、われわれ消費者ではなく大手の住宅メーカーなどになるというのがポイントです。

Q. 住宅を買う私たちにとっては、住宅価格が上がることになるんでしょうか? 
そこが一番気になるところですが、明確にはわからないというのが実情なんです。 
太陽光パネルの設置にかかる費用は、一般的にはおよそ100万円ほどとされていますが、これがどれだけ住宅価格に転嫁されるかはわかりません。

一方でパネルを付ければ電気料金がある程度抑えられます。 
都は、設置にかかる初期費用は10年ほどで回収できるとしています。 
さらに、都は、今回の補正予算に盛り込んだ支援事業によって初期費用を抑えることで負担を減らそうとしています。

Q. 2025年度からの義務化というと、3年後ということになりますが、ほかに課題はあるんでしょうか? 
1つは廃棄の問題です。 
始まる前からと思うかもしれませんが、現在の太陽光パネルの耐用年数は30年程度とされていて、大量のパネルをどう廃棄するのか。

廃棄せず、リサイクルするにしても家庭用の小規模パネルはそうした実績がほとんどないため、新たなリサイクルルートを確立する必要があります。

Q.本来の目的である温室効果ガスの削減につなげるにはどういったことが求められるんでしょうか? 
条例改正に向けて議論を行った都の審議会で座長を務めた早稲田大学創造理工学部の田辺新一教授は次のように指摘しています。

早稲田大学創造理工学部 田辺新一教授 
「いきなり気候変動対策だからパネルをつけなさいと言ってもなかなか理解が難しいのではないかと思います。エネルギーは海外から輸入されていてそれを助けるんだと、身近な取り組みだと言うことを丁寧に説明してほしい」

都によりますと、この義務化の効果を含めると、都内の家庭からの温室効果ガスの排出量は、2030年の時点で、43万トン削減できる試算です。

これは都が掲げる、家庭から出る温室効果ガスの削減目標のおよそ5%にあたるということです。この数値をめぐっても受け取め方はさまざまです。

条例をきっかけにこの問題について少しでも実効性が高まるよう考えていく必要があると思います。 

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