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エスカレーターは「立ち止まって乗る」知っておきたいポイント

  • 2022年12月13日

全国で初めてエスカレーターの利用者に立ち止まって乗ることを求める、埼玉県の条例が施行されて1年余り。全国の鉄道事業者なども歩かずに立ち止まって乗ることを呼びかけています。
しかし、エスカレーターを駆け下りたり駆け上がったりする人も多く見られます。

「立ち止まって乗る」ことの大切さ、知っておきたいポイントです。

エスカレーター立ち止まって乗る

埼玉県では、全国で初めてエスカレーターの利用者に立ち止まって乗ることを求める条例が去年10月1日から施行されました。

この条例は、エスカレーターでは急ぐ人のために片側をあけることが慣習となり、追突や衝突などの事故のおそれがあるとして、エスカレーターの利用者には立ち止まって乗ることを、管理者には利用者に周知することなどを求めています。

また、事故の防止や障害者やお年寄りにも優しい乗り方であることなどから、全国の鉄道事業者などが中心となって歩かずに立ち止まって乗ることを呼びかけています。

エスカレーターどう利用?都内で聞いた

東京都内の状況はどうなっているのか?
ふだんどのようにエスカレーターを利用しているのか、街の人たちに聞いてみました。

 

歩かずに左側。急ぐときは右側。

アナウンサー

「2列で立ち止まって」という呼びかけがありますが?

 

え~まだちょっと勇気がいる。

1時間ほど観察すると、エスカレーターに乗る人のほとんどが左側に寄り、右側を歩く人はごく僅かでした。
この状況について、みなさんは、どのように考えているのか聞いてみました。

「関東って左側じゃないですか。 関西だと右だから右に行っちゃうけど、習慣かな」

「右側も止まりたいと思うが、後ろ、圧がすごいから」

「効率すごく悪いなと思いながら並んでいる時は階段を使う、遅いので」

2列での利用についても尋ねてみました。

「本当は両方に乗った方が、効率がいいというのを聞いたことがあるが、私は両端に乗っていってもいいんじゃないかと」

「2列は、友達どうし知り合いどうしだったらいいのでは、ただ誰だか分からない人、全然知らない人と2列になるのはちょっと抵抗ある」

相次ぐ事故 トラブルも発生

東京消防庁によりますとエスカレーター関連の事故は、おととし1年間で1069人が救急搬送され、その7割以上が高齢者となっています。

ことし1月にはJR秋葉原駅でエスカレーターに立ち止まって乗っていた高齢の男性に、「邪魔だ」と言って追い越そうとした容疑者が男性から「エスカレーターは歩くものではない」と言われ、暴行を加え大けがを負わせて逮捕されました。

右側に止まらざるを得ない人も

エスカレーターを利用する人の中には、右側に寄らざるを得ない人もいるといいます。
理学療法士にその実情を聞きました。

理学療法士 齋藤 弘さん
「たとえば、脳損傷だったり、脊髄障害だったり、左側の手足のまひが少なくなくいる。エスカレーターには、右側の手すりを使うのが安全に乗降できる人。右側が歩くレーンになっていると、無理な状況のなかで、こういった形で手すりをつかんだりとか」

こうした中、キーホルダーで啓発する取り組みも始めています。

「わけあって、こちら側でとまってますというメッセージが。これをもう全国の方に、希望のある方に配っている。右側で止まっている人、なんで止まっているんだろうと。思い、考えを気づきを感じ取れるようなことがおそらく一番大事だし、事情があるんだな。身体状況なのかなと、一呼吸置いてみてもらうと、豊かな、優しいまちづくりになるのかなと思って発信している」

専門家 根気強い呼びかけ重要

なぜ、2列での利用が浸透しないのか。
エスカレーターの乗り方に詳しい専門家に聞きました。

エスカレーター文化に詳しい 江戸川大学 斗鬼正一 名誉教授
「みんな忙しくて歩いているのかなと。なんとなく、のんびり立っているとイライラしてくる。不安になってくる。そういうことはかなり多い。20世紀的、早いこと、効率、そういう価値観に支配されているのではないかと」

さらに「強い同調圧力で、自分だけ空いている側に立てない」という心理も働いているといいます。

では、どう考えればよいのか。
斗鬼名誉教授は、エスカレーターの正しい利用方法を周知する必要があるといいます。

「エスカレーターが歩くものではないと知らない人がいる。エスカレーターというのは、建築基準法上、歩くことを想定していない機械。機械は、取扱説明書のとおりに使わないと危ない。電子レンジで洗濯物を乾かしたら火事になる。エスカレーターを歩くのは、それと同じこと」

そのうえで、立ち止まって乗るものだと、根気強く呼びかけることが重要だといいます。

「最近は、警察が呼びかけていて、だいぶ横断歩道で止まる車増えてきた。急ぐ人を急がせるという20世紀の価値観がだいぶ変わってきた。『前世紀の遺物』を片づけることが重要」

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