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オミクロン株 BQ.1.1 広がりは? “病原性はBA.5同程度か低い可能性”

  • 2022年12月12日

新型コロナウイルスのオミクロン株の一種「BQ.1」系統などの新たな変異ウイルスが増え始めようとしています。このうち、今後の拡大が懸念される「BQ.1.1」について東京大学などの研究グループが感染したときに症状を引き起こす力などの動物実験の結果を発表しました。BA.5とはどう違うのか。研究の内容や新たな変異ウイルスの広がりについてまとめました。

オミクロン株BQ.1系統の検出増加

国内の新型コロナウイルスの感染の主流はオミクロン株の「BA.5」ですが、検出が多くなってきているのは、「BA.5」のスパイクたんぱく質の部分に変異が加わった「BQ.1」と、そこにさらに変異が加わった「BQ.1.1」です。
いずれも、免疫をすり抜ける性質が強く、感染拡大が懸念されています。「BQ.1」、「BQ.1.1」を合わせて「BQ.1」系統と呼ばれています。

都内BQ.1.1が9.3% 11月21日までの1週間

東京都のデータでは、11月1か月間では、ゲノム解析を行った変異ウイルスのうち、主流は「BA.5」で76.7%ですが減少傾向で、「BQ.1」は2.2%、「BQ.1.1」は7.5%と徐々に増えてきています。
さらに11月21日までの1週間では「BA.5」は73.5%でしたが、「BQ.1」は2.6%、「BQ.1.1」は9.3%と増加してきています。

BQ.1.1の病原性 動物実験では

この「BQ.1.1」について、感染したときに症状を引き起こす力は従来の変異ウイルスと同じ程度か低い可能性があるとする動物実験の結果を、東京大学医科学研究所の佐藤佳教授らの研究グループ、「G2P-Japan」が、査読を受ける前の論文として公表しました。

それによりますと、実験で、感染した人から取った「BQ.1.1」を細胞に感染させると、周囲の細胞を壊す力はことし夏の「第7波」以降、主流となった「BA.5」の2.4倍になっていたということです。

一方で、「BQ.1.1」をハムスターに感染させると、体調を示す体重の変化は「BA.5」に感染した場合とほぼ同じで、肺の機能を示す数値は悪化の程度が低かったとしています。

これまでの変異ウイルスでは、細胞を壊す力が強いと病原性も高い傾向がありましたが、「BQ.1.1」は病原性が「BA.5」と同じ程度か、下がっている可能性もあるとしています。

佐藤教授は「直接、人間社会に当てはまるわけではないが、病原性が高まっていないのは朗報かもしれない。広がりやすいウイルスであることは間違いないので、感染対策を続けてほしい」と話しています。

BQ.1系統 今後どう広がるのか

「BQ.1」系統の今後の広がりについて国立感染症研究所の鈴木基感染症疫学センター長が12月7日、厚生労働省の専門家会合に示した資料によりますと、12月11日までの1週間では、「BA.5」が54%、「BQ.1」系統が36%、「BA.2.75」が8%、「XBB」が3%になると推定されています。
「BA.5」がことし夏の感染拡大を引き起こした際の増加スピードには及びませんが、徐々に「BQ.1」系統が増えていくという予測しています。

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