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東京都立高校入試で英語スピーキングテスト 「改善の必要」指摘も

  • 2022年11月28日

東京都立の高校入試で、英語の「話す力」をはかる「スピーキングテスト」が27日、初めて実施されました。
都教育委員会は「問題なく実施された」としていますが、ほかの人の解答が聞こえてきたなどとの声もあり、「さらに改善する必要がある」との指摘が出ています。

初のスピーキングテストとは

「スピーキングテスト」は、グローバル人材の育成を目指し、「使える英語」教育に力を入れる都の教育委員会が、都立高校の入試で「話す力」をはかろうというテストです。
27日、都内197か所の都立学校や民間の施設などの会場で初めて実施されました。
テストは、午後1時からと午後2時25分からの2回に分けて15分程度行われました。

受験生はマイクのついたヘッドセットをつけ、画面に表示されるイラストの状況を説明したり、質問に対する自分の考えを述べたりして解答を録音します。

都の教育委員会によりますと、都内の公立中学校に通う3年生の95%にあたるおよそ7万6000人が申し込んでいましたが、体調不良などを理由に欠席した人がいたため、およそ6万9000人がテストを受けたということです。

どんな問題?

28日、東京都教育委員会が公開した「スピーキングテスト」の内容です。

東京都教育委員会のサイトより

こちらは、英文を声に出して読む問題。

こちらは、イラストについて英語でストーリーを説明する問題です。電車に乗っていたら、花をくわえた鳥が入ってきて帽子に置いていったという状況です。

採点基準や方法は

今後、音声データは、民間の教育サービスの大手企業を通じてフィリピンに送られ、英語の指導資格を持つ講師が採点する流れになっていますが、専門家や保護者などからは採点の基準や方法が不透明などと問題点を指摘する声もあがっています。

女子生徒

過去問題もなくプレテストも受けていないので難しかったです。自分で話す力は今後、社会の中で大切になってくると思うので、よりよいテストになっていってほしいです。

ネットでの反応は?

テストについて、ネット上では受験生から肯定的な声がある一方で、戸惑いの声が多く聞かれました。

予想より運営は滞りなく行われていた。
きょうテストやってきたのですが、左右前後の人の声が聞こえるのはおかしい。それで自分の考えではないものをそのままパクって言っている人もいる。
うちの子もイヤホン、イヤーマフ付けてても全然聞こえた。しかも隣の子、耳が塞がっているせいか声が大きくて、自分のマイクに入りそうだった。
受けてきたけど明らかに学校の授業内容りょうがしてる。これは塾とかで対策してない人かわいそう。

初のテスト 都教委や知事は

初めて実施された「スピーキングテスト」について、東京都教育委員会は欠席の連絡を受け付ける電話がつながりにくくなったり遅刻する人が出たりするなどのトラブルがあったものの、テスト自体は問題なく実施されたとしています。

保護者らでつくる団体から、受験した中学生の中に音を遮断するためのヘッドホン型のイヤーマフを装着していても周りの人の話す解答が聞こえたケースがあったと指摘されていることについては、「事前の検証で周りの声が聞こえても発言内容は聞き分けられないことが確認できている」と説明しています。

また、SNSなどで指摘されているそのほかのトラブルについては現段階では把握していないとしています。

東京都教育委員会の担当者
「今回のテストを踏まえ、会場からの報告などを精査し、運営を担当した企業などと共有しながら来年度に向けて改善すべきところがないか検証していきたい。まずは、次の追試験に向けて万全な体制を築き、生徒が意欲的に英語を学び力を発揮できるようなテストをつくっていきたい」

小池知事
「『大きなトラブルもなく、予定通り行われた』という報告を聞いている。受験生の皆さんはご苦労様でした。みんな頑張ったと思う」

進学教室担当者 「改善すべき点多い」

東京・杉並区の高校受験の進学教室で英語を教えている高橋謙太郎さんは、東京都立の高校入試で初めて実施された「スピーキングテスト」について英語を話せる能力は今後ますます求められることで話す力を評価すること自体は画期的な取り組みだとしています。

そのうえで、「採点基準があいまいだと思う。減点の基準もなく、文法上、正確であることが重要視されるのか、コミュニケーションとしてきちんと伝われば評価されるのか明確ではない」と指摘しています。

また、テストでは、受験の環境についても進学教室に通う生徒から戸惑いの声が寄せられているといいます。

教室がテスト後に生徒に行ったアンケートでは、片耳のイヤホンがイヤーマフの下で外れてしまい触ると不正行為になると言われていたのでそのまま受けるしかなかったとか、まわりの声が聞こえたなどと訴える記入が複数確認されたということです。

高橋さんはこうした環境では、公平性は保てないとしてまわりの声が聞こえないように少人数で受験できるようにするなど運営方法の見直しが必要だと指摘しています。

河合塾Wings 英語科 高橋謙太郎さん
「入学テストでは公平性が何よりも大切で、現状のままだと取り組む意味があるのかと感じる。いまの中学3年生はコロナの感染拡大で発話すること自体を制限されるという3年間を送ってきたので、よりスムーズに受験できるよう手を尽くしてほしかった。生徒にも戸惑いが広がっているので今後に向けて改善すべき点は多くある」

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