10月、首都圏で発売された新築マンション1戸あたりの平均価格は6787万円で、去年の同じ月より0.5%上昇して2か月連続の上昇となりました。調査会社では、「資材価格の高騰などもあり、今後も高い水準が続くのではないか」としています。
一方、歴史的な円安を背景に海外の投資家が日本の不動産を購入しようという動きは活発です。
10月、首都圏で発売された新築マンション1戸あたりの平均価格は6787万円で、去年の同じ月より0.5%上昇して2か月連続の上昇となりました。
調査会社「不動産経済研究所」が10月、東京、神奈川、埼玉、千葉の1都3県で発売された新築マンションを集計しました。
それによりますと、東京23区の平均価格は去年の同じ月より10.8%上昇し、9365万円でした。
また、神奈川県は、15.9%上昇の5913万円、千葉県は4.9%上昇の4497万円、埼玉県は3.3%上昇の4855万円と多くの地域で上昇しました。
郊外を含めて利便性の高い場所に新たな物件が多く発売されたことなどが主な要因で、調査会社は、「資材価格の高騰などもあり、今後もマンションの平均価格は高い水準が続くのではないか」としています。
東京を中心に高止まりが続くマンションの価格。
一方、海外の投資家からは、歴史的な円安の影響で日本の不動産は割安になっているとして関心が高まっています。
中国や香港、台湾などの投資家向けに日本の不動産を紹介する東京・港区の会社では、運営する情報サイトで、全国の1万件近くのマンションや戸建てなどの物件情報を掲載しています。
会社によりますと、海外の投資家の間では、円安を背景に日本の不動産へのニーズが高まっていて、サイトへのアクセス数も10月は、去年の同じ時期と比べて30%増えたといいます。
東京23区の物件の中でも、「赤坂」「青山」「麻布」の頭文字をとって、「3A」と呼ばれるエリアはとりわけ人気が高いということです。
この日は、東京・港区赤坂にある築14年で3億2000万円余りの価格が付けられているマンションの部屋を取材しましたが、情報サイトで紹介すると、すぐに海外の投資家に売れる可能性が高いといいます。
また、利便性が高ければ都心以外でも人気は高まっています。
練馬区や板橋区、それに杉並区などの安定した賃貸収入が期待できる地域では、引き合いが強いといいます。
さらに、埼玉県川口市や千葉県船橋市も都心へのアクセスのしやすさのほか、中国などから移り住んだ人のコミュニティーがあるなど周辺の住環境を理由に人気があるということです。
価格帯はさまざまで、1000万円台のワンルームの物件を中心に、1億円から3億円ほどのタワーマンションや1等地の戸建て住宅を購入することもあるということです。
新型コロナの影響もあり、直接日本に来て物件の内覧をせずに、オンラインで部屋の様子を確認したり、価格や立地、広さなどの情報だけで資産価値を判断したりして購入するケースも目立っているということです。
情報サイト「神居秒算」を運営 趙 潔社長
「円は米ドルに対して2割ほど安くなり、海外から見れば割安になっていて投資にはいいタイミングだ。日本の不動産への需要は続いていくと思う」
海外の投資家からの需要が高まっている背景について不動産の調査会社「東京カンテイ」の高橋雅之主任研究員は、円安に加えて、日本の不動産価格が比較的、安定していることや法律や融資の制度が整っていることがあげられるとしています。
不動産調査会社「東京カンテイ」高橋雅之 主任研究員
「この1年間でかなり円安が急激に進んだことで、海外の投資家から見たら日本の不動産はだいぶ割安に映っている。為替の効果で価格の上昇分は相殺されるような形で、まさに『お買い得感』が増している」
また、海外からの投資だけでなく、国内ではコロナ禍でテレワークや外出自粛など家にいる時間が増え、広さや快適さなどを求めて住み替える人が増えたことなど、複数の要因から今後もマンション需要の高まりが続くのではないかとみています。
高橋雅之 主任研究員
「マンションは住まいの器というだけではなく、近年は投資対象としての側面も強まっている。一般の購入者は、ほしい物件についていま以上に負担が重くなったり、物件の種類や立地など選択肢の幅が狭まってしまう可能性があったりするなど、手が届きにくい状況になっている」