車の自動運転の転換点ともいえる新たな制度が2023年4月から始められる方針が明らかになりました。特定の条件のもとでドライバーがいない「レベル4」の車が、実験ではなく一定の条件のもと公道で走行することになります。自動運転のレベル分けの内容や、「レベル4」の車が公道を走行する条件などについてまとめました。
自動運転は技術の進み具合によって5段階にレベル分けされています。国内では現在、渋滞中の高速道路などでドライバーに代わってシステムが運転を担う「レベル3」まで実用化されています。
警察庁は、自動運転の「レベル4」について、一定の条件のもと公道での走行を認める新たな制度を2023年4月1日から始める方針を27日、明らかにしました。
〇レベル3
「レベル3」では、前方に事故車両などの障害物があった場合など不測の事態が起きた際に対応できるようドライバーが乗車している必要があります。
〇レベル4
一方、特定の条件のもとでの完全な自動運転となる「レベル4」は、不測の事態への対応も含め、すべての運転操作をシステムに任せるのが特徴です。このため、各地の実証実験などで使われている「レベル4」向けの車両には、運転席やハンドルのないものがみられます。
ドライバーがいない「レベル4」の車の公道で走行が認められるのは自動運転の転換点ともいえます。危険の回避なども含めて高い技術が求められ、自動車メーカーなどが研究開発を進めています。
新たな制度が始まれば、無人の車が各地の道路を走ることが想定されますが、警察庁は、事故を防止するために遠隔の監視装置を設置し、監視を行う担当者を配置するよう事業者に求める方針です。
遠隔監視装置は、車内の鮮明な映像や音声がすぐに受信でき、常に位置を確認できることや記録ができること、サイバーセキュリティー対策を行うことを求めることにしています。
また、事業者は運行計画などを記載した申請書を都道府県の公安委員会に提出して許可を得る必要があるということです。
警察庁は、こうした条件について、10月28日からパブリックコメントを募集するなどして意見を求めていくことにしています。
警察庁は、「レベル4」による運用について、許可を得て一定の条件を満たせばマイカーなどの乗用車も可能としていますが、国などによりますと、現時点では人口減少が進む地域などで、地域住民の移動手段となる巡回バスなどの活用が想定されるということです。
政府は、2025年度をめどに全国のおよそ40か所以上で、巡回バスなどの自動運転による移動サービスを普及させることを目標にしていて、今回、2023年4月に「レベル4」の運用が始まる方針が示されたことで、実用化に向けた動きが広がることも見込まれます。