政府は、家庭や企業の電気料金の負担緩和策などを盛り込んだ新たな総合経済対策を決定しました。円安や物価高などで負担が増えるなか、対策によって標準的な世帯で軽減されるとされる電気・ガス料金の具体的な金額や、燃料価格を抑制するための対策についてまとめました。
円安や物価高はさまざまな現場に影響を与えていて、学びの環境に影響が出始めているところもあります。
このうち、およそ7000人の学生が通う東京・足立区にある東京電機大学のキャンパスでは、円安などを背景にした電気料金の値上がりによって、2022年度の電気代はおよそ3億2000万円と、例年の倍近くに増える見込みだということです。
総務省によりますと、東京23区の2022年10月の消費者物価指数は、生鮮食品を除いた指数が去年の同じ月と比べて3.4%上昇しました。3.4%の上昇となるのは33年ぶり、消費税率引き上げの影響を除くと1982年6月以来、40年4か月ぶりの高い水準となります。
主な要因は、原材料価格の上昇に加えて急速な円安の影響が重なった食料品の「値上げラッシュ」で、「ガス代」は28.8%、「電気代」は26.9%上がりました。
物価高や円安に対応するため、政府は、家庭や企業の電気料金の負担緩和策などを盛り込んだ財政支出の総額が39兆円程度となる新たな総合経済対策を決定しました。裏付けとなる今年度の補正予算案は一般会計の総額で29兆1000億円程度となります。
今回の経済対策では物価高騰への対応などを第1の柱として位置づけています。とりわけ2023年の春以降、値上げの可能性がある電気料金については、家計や企業の負担を軽減するため、思い切った対策を講じたとしています。
電力料金について具体的には、2023年1月から1キロワットアワーあたり家庭向けは7円、企業向けは3.5円を補助し、家庭向けの電気料金についてはおよそ2割抑制します。
政府は、毎月の電力使用量が400キロワットアワーの標準的な世帯の場合、料金プランにかかわらず2800円軽減されるとしています。
支援の期間について政府は、脱炭素の流れに逆行しないよう、来年9月には補助額を縮小するとしています。さらに毎月の請求書に直接反映するような形にしたいとしていて、具体的な方法について電力会社と調整することにしています。
都市ガス料金の負担軽減 家庭では900円都市ガスについては、家庭や、年間契約量が少ない企業に対して1立方メートルあたり30円の支援を行います。
政府は、毎月の使用量が30立方メートルの標準的な世帯の場合、月額900円軽減されるとしています。
ガソリンなどの燃料価格を抑制するため石油元売り各社に支給している補助金は、年内が期限となっていましたが来年9月まで補助額を調整しながら継続することにしています。
現在は1リットルあたり35円を上限に補助していますが、今後、25円程度に引き下げるなど、原油価格の動向を見ながら段階的に縮小していく方針です。
〇標準的世帯の負担軽減額は
政府としては、対策によって、2023年1月から9月にかけて標準的な世帯で4万5000円の負担軽減につながるとしています。
発表によりますと12月分の使用量が平均的な家庭の料金は高い順に最も高い中部電力の9189円についで東京電力は9126円となっています。
「規制料金」の制度では、火力発電の燃料価格の高騰分を転嫁できる上限が決まっていて、10社すべてが、これ以上値上げができない状況になっています。こうした中で、北陸電力、東北電力、中国電力、四国電力で規制料金の値上げの検討や国に申請する準備の動きなどが相次いで始まっています。
一方、12月分のガス料金は大手4社すべてで値上がりします。このうち東京ガスは、11月分と比べると、使用量が平均的な家庭では、289円上がって6750円となります。