新型コロナウイルスのワクチンは、ことし1月対象が5歳以上に拡大されましたが、さらに厚生労働省は生後6か月から4歳までを対象にしたワクチンの使用を正式に承認しました。早ければ10月下旬にも接種が始まる見通しです。対象となる年齢でみた効果や副反応のデータや専門家の見方をまとめました。
(10月7日追記)
厚生労働省は10月24日から無料で受けられる公的接種を開始する方針を決めました。
これまでワクチンの対象年齢は、モデルナとノババックスが12歳以上、ファイザーが5歳以上となっていて、ことし7月には、生後6か月から4歳の子どもも対象に加えるようファイザーから承認の申請が行われました。
厚生労働省の専門家による部会では5日、生後6か月から4歳の子どもを対象にしたワクチンについて、体の中で作られるウイルスの働きを抑える「中和抗体」の値の上昇など有効性が確認されたと評価しました。
また安全性については、臨床試験の結果から、重大な懸念は認められないとしてこのワクチンを使用することを了承し、その後、厚生労働省が正式に承認しました。
ファイザーが開発した生後6か月から4歳までの子どもに対する新型コロナウイルスワクチンは、アメリカではことし6月に緊急使用の許可が出され、接種が進められています。
ファイザーの発表や、アメリカのCDC=疾病対策センターの会議で示された臨床試験の結果を分析した資料によりますと、3回接種したときのオミクロン株に対する効果は、生後6か月から4歳の子どもで80.3%でした。このうち2歳から4歳では82.3%、生後6か月から1歳では75.5%だったということです。
副反応の程度はほとんどが軽いか中程度で、偽の薬を投与された場合とほとんど変わらなかったとしています。
〇2歳から4歳
けん怠感
1回目接種29.7% 2回目25.7% 3回目24.5%
38度以上の発熱
1回目接種5.2% 2回目4.9% 3回目5.1%
〇生後6か月から1歳
いらいらして機嫌が悪くなった
1回目接種51.2% 2回目47.4% 3回目43.6%
食欲の減少
1回目接種22.2% 2回目22.2% 3回目20.2%
38度以上の発熱
1回目接種7.2% 2回目7.4% 3回目6.8%
ワクチンの有効成分の量は大人のワクチンの10分の1で、3回の接種が必要とされ、3週間あけて2回目を接種した後、少なくとも8週間あけて3回目を接種するとしています。厚生労働省は10月下旬から11月下旬にかけておよそ700万回分のワクチンを自治体に配送する計画で、今後、無料で受けられる公的接種に位置づけたうえで、早ければ10月下旬以降接種が始まる見通しです。
(10月7日追記)
厚生労働省は10月24日から無料で受けられる公的接種を開始する方針を決めました。
小児科の医師でワクチンに詳しい北里大学の中山哲夫特任教授は、「多くの人が新型コロナウイルスに感染している中で子どもたちへの感染も広がり、重症化する子どもや亡くなった子どもも出てきている。ワクチンで新しい武器を子どもたちに与えることができるわけで、選択肢が増えたのは朗報だ」と述べました。
ワクチンを接種するかどうかはワクチンによって得られる利益と副反応のリスクを比べて決めるべきだとした上で、次のように話しています。
北里大学 中山哲夫特任教授
「新型コロナに感染したときには重症化するリスクがある一方、副反応のことを考えないといけない。メッセンジャーRNAワクチンは副反応が少し強いが一過性のものだ。感染すると重症化しやすい先天性の免疫不全や心臓の病気など、基礎疾患のある子どもは最優先で接種したほうがいい。また、学習塾や保育所、おけいこごとなどで不特定多数の人たちと集まる機会のある子どもも、自分や周囲の人を守るために、ワクチンの接種を考えたほうがいいと思う」