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安倍元首相の国葬 当日に弔意示す予定は?東京23区に取材した

  • 2022年9月22日

安倍元総理大臣の「国葬」。実施に対する世論の評価は分かれたままです。
政府は今回、地方自治体などに対して弔意表明への協力を求めていませんが、私たちが住む区市町村が弔意を示すかどうかも議論の対象となっています。
そこで、東京23区に対して、当日に弔意を示す予定があるか取材しました。
「弔意を示す」と答えたのは、4つの区で、「弔意を示さない」と答えたのは11の区でした。残る8つの区は「検討中」と回答し、国民の間で賛否が割れる中で、判断に迷う自治体も多くなっています。

「国葬」世論大きく割れる

今回の国葬については、世論が大きく割れています。

NHKが、9月9日から3日間行った世論調査で、政府が、9月27日に安倍元総理大臣の「国葬」を行うことへの評価を聞いたところ、「評価する」が32%、「評価しない」が57%でした。

さらに「国葬」についての政府の説明は十分だと思うか尋ねたところ「十分だ」が15%、「不十分だ」が72%でした。

23区対応分かれる

安倍元総理大臣の国葬について政府は「国民ひとりひとりに弔意を求めるものではない」として地方自治体や教育委員会に弔意表明を求めないことを決め、対応は各自治体に委ねられています。

NHKは、21日までに、東京23区に対して当日弔意を示す予定があるか聞きました。
その結果、庁舎に半旗を掲げて、「弔意を示す」と答えたのは、次の4つの区です。

千代田区、墨田区、足立区、葛飾区

一方、「弔意を示さない」と答えたのは次の11の区でした。

中央区、港区、新宿区、台東区、江東区、品川区、世田谷区、中野区、杉並区、荒川区、板橋区

また、残る8つの区については、対応を決めかねるとして、「検討中」と答えました。

文京区、目黒区、大田区、渋谷区、豊島区、北区、練馬区、江戸川区

23区のなかで、区民や職員に黙とうを求めるとしたところはありませんでした。
 

行政学が専門 同志社大 真山達志教授
「23区は財政的にほかの市町村と比べて強いため、より世論を尊重しなければと考えることで判断に困っているのではないか。国葬をやると決めた国が、弔意については『なにも言いませんからご自由に』というのは、無責任な対応だ」

「弔意示す」4つの区

千代田区
区役所の本庁舎に半旗を掲揚するということで、理由については「国葬の会場がある自治体のため、弔意を示す必要がある」としています。
また樋口高顕区長が「国が行う儀式のため」という理由で、23区の区長の中では、唯一、国葬に出席することにしています。

墨田区
「亡くなった元首相への礼節を示すため」として、区役所本庁舎に半旗を掲揚することにしています。

足立区
区役所の本庁舎と区の施設に半旗を掲揚するとしています。
理由については「国が国葬を行うと決めた以上、行政機関として弔意を示す必要がある」としています。

葛飾区
区役所の本庁舎と区の施設に半旗を掲揚することにしていて、理由については「国のリーダーシップのもと区政運営をしてきた。国が決めたことなので自治体として弔意を示す必要がある」としています。

なお、4つの自治体とも、職員や区民に対して黙とうは求めないとしています。

「弔意示さない」11の区

東京23区のうち、中央区、港区、新宿区、台東区、江東区、品川区、世田谷区、中野区、杉並区、荒川区、そして、板橋区のあわせて11の区が国葬当日に弔意は示さないと答えました。

世田谷区
「国民の賛否が分かれる中で、新たな分断を起こさないようにしたい」としています。

杉並区
「各種世論調査をみても、国民の合意は得られていないと考える。法整備や国費投入の課題も指摘されている」としています。

「検討中」と回答 8つの区

東京23区のなかで、「検討中」と回答したのは、文京区、目黒区、大田区、渋谷区、豊島区、北区、練馬区、江戸川区のあわせて8つの区です。

「検討中」とした理由については、国から通知が来ていないことや、国民の間でも賛否が分かれていることを挙げました。

具体的には、「おととしの中曽根元総理大臣の合同葬の際は、国から通知が来ていたためそれにならって半旗を掲げて弔意を示した。ただ今回は現時点で、国から通知が来ておらず、対応を決めかねている。賛否が分かれているので、ほかの区の状況をギリギリまで見極めたい」という声や、「報道などをみると、国葬に反対する声が増えているようにも感じられ、慎重な判断が必要なため、内部で検討を続けている」といった声が聞かれました。

どの区も近いうちに、対応を決めたいとしていますが、国葬まで1週間をきっても、判断に迷い、対応に苦慮する区の姿勢がうかがえます。

地方議会 反対の意見書可決も

東京や神奈川県の自治体の中には、議会で国葬に反対する意見書を可決したところもあります。
このうち、神奈川県の鎌倉市議会では、国葬の実施の撤回を求める意見書を賛成多数で可決しました。

意見書では、「国葬に明確な法的根拠がない以上、国葬を行うのであれば、国会で議論が尽くされるべき」としたうえで、「国民を二分するような国葬を行うべきではない」としています。東京の国立市議会も、国葬の中止を求める意見書を賛成多数で可決しました。

意見書では、国会審議を経ずに決定されたことは国会軽視で容認できず、弔意の強制につながることを強く危惧するとして、国葬の中止などを求めています。

“判断示した経緯説明を”

行政学が専門で地方自治に詳しい同志社大学政策学部の真山達志教授は、弔意表明の判断を示した自治体について、次のように指摘しています。

同志社大 真山達志教授
「判断に対して住民からは賛成や反対の声が出てくるので、それに自治体がどう説明するのかが非常に注目される。弔意の表明や参列について、どのような考えのもとで判断したのか、事後でも良いので説明してもらいたい」

また大半の自治体が国葬に参列することについては、「国との関係において出席はしておいた方がいいという無難な判断をしたのではないか」とみています。

一方、複数の自治体が弔意を表明するかどうかを未定としていることについては。

同志社大 真山達志教授
「半旗の掲揚もしないのかと批判を受けることもあるだろうし、国葬に反対する世論も尊重しなければならないことからすると、判断に困っているのだろう。自治体は、世論や住民が持っている違和感に敏感に反応するので、それが判断をちゅうちょさせているのではないか」

一方、自治体に判断を委ねた国に対しては。

同志社大 真山達志教授
「政府は事前に十分に説明するといいながら実はあまり説明できていないのではないか。国葬に至った経緯や法的な根拠、財源の問題など、重要な政策決定をした過程を明確にすると、自治体も判断しやすくなる。政府は事後的にでも国葬に至った経緯をしっかりと説明する必要がある」

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