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東京都 住宅への太陽光発電設備の義務化 制度の仕組みや課題は?

  • 2022年9月12日

東京都が検討を進めている全国初となる住宅への太陽光発電設備の設置義務化をめぐり、都は、9日開かれた会議で、3年後の2025年からの制度の施行を目指す方針を示しました。どういう仕組みなのか、住宅価格への影響はどうなるのか?詳しくお伝えします。

2025年4月の施行目指す

都は、家庭からの温室効果ガスの排出量の削減に向け、新築される一般住宅に太陽光発電設備の設置を義務づける条例の改正に向けて検討を進めています。

都によりますと、一般住宅への太陽光発電設備の設置が義務化されれば全国で初めてだということで、9日都は、エネルギー等対策本部会議で条例の改正に向けた基本方針を示しました。

それによりますと、都は条例の改正案をことし12月の都議会に提出して議決されれば、2025年4月の施行を目指す方針です。

また、都内で年間で供給する住宅などの延べ床面積の合計が2万平方メートル以上の住宅メーカーなどを対象に、日当たりや屋根面積などを考慮したうえで、建築した住宅の数や1棟あたり2キロワットとする基準量をもとに、発電容量を算出してどの程度達成したか、都に毎年、報告することを義務づけるとしています。

施行までのおよそ2年間で、設置にかかる費用や設置後の維持・管理をめぐる支援のあり方について検討を進めるほか、設備の設置や準備に取り組む事業者を支援するなどして、都民や事業者への理解を深めたい考えです。

小池知事

脱炭素に向けて東京が率先して取り組んでいきたい。

仕組みや狙いは?担当記者が解説

アナウンサー

太陽光発電設備の設置義務化ということですが、これは住宅を購入するわれわれ消費者に義務づけられるというものなのでしょうか。

都庁担当
生田記者

いいえ。義務づけは消費者ではなく、住宅を供給するメーカーなどの事業者を対象としています。
都内で年間で供給する住宅などの延べ床面積の合計が2万平方メートル以上のいわゆる大手の事業者となり、事業者ごとに目安となる発電容量を算出してどの程度達成したか、都に毎年、報告することを義務づけるんです。

この目安は、都内の地域ごとに応じた日当たりの条件、太陽光発電設備の設置が物理的に難しい住宅を除いた供給数、それに1棟あたり2キロワットとする基準量を掛け合わせて決まります。

 

そもそもこの制度、なぜ都は検討を始めたのでしょうか?

 

小池知事の肝いりの政策「カーボンハーフ」の達成に向けた取り組み、温室効果ガスの排出量を2030年までに半減させるというものです。
都内の住宅屋根への太陽光発電設備の設置割合は、2019年度時点で4%あまり。
都は「屋根の活用」を大都市の強みとして、設置を進めたい考えです。

 

大事な取り組みだと思うが、都内の新築住宅1戸1戸にとりつけることは可能?

 

さまざまな課題があるのが現状。設置の義務づけの対象となる住宅メーカーを取材した。

住宅価格への影響に懸念の声

東京都内の住宅メーカーの担当者は、制度の必要性は理解する一方、都内ならではの難しさも感じています。
都内の限られた土地で建てる住宅に太陽光発電設備を設置する場合、家のデザインやつくりなどが制限されるおそれがあるというのです。

メルディアグループ 瀬上成二課長
「屋根の傾斜が南にとれないとか北側に向かって屋根をつくらざるを得ないというのもあります。少しでも効率のいい太陽光にしてできるだけかなえられるようにということは考えてやっている状況」

さらに、住宅価格への影響を懸念する声もあります。外国産の木材が不足するなど、建築資材が高騰。建物の価格はそれまでの1割から2割ほど、高くなっているといいます。

これに加えて、1棟あたり少なくとも100万円ほどがかかるとされる発電設備の設置費用が加われば、住宅価格が更に上がるのではないかと心配しています。

メルディアグループ 並木昭久技術生産副本部長
「当社も建築費が全般的に上がってきていましてそれプラス太陽光になりますと(お客さまが)買える価格を超えてきてしまうのではないかという懸念があります。建物価格にもろに影響してしまうので、東京都には補助金の面でご協力いただけけないかなと思っています」

住宅購入を検討

コストとか維持費とか、どれくらい太陽光のあれ(設備)がもつのかも今のところ不明なので特に大きなものが壊れたらどうなるのか。

 

『すごい金がかかる、こんなはずじゃなかった』というのがあると思うので、そこはちゃんと検証を事前にしてほしい

具体的な支援内容は?

 

メーカー側も消費者側もやはりお金の問題が気になっているようですね。義務化というと、何らかの支援が必要な気がしますが、どうなっているのでしょうか。

 

具体的な支援の内容についてはまだ決まっていないのです。
ただ、都は設置によるコストは、太陽光発電でまかなえる電気代と売電収入で10年で回収できるとしています。
また、維持・管理についても支援する方針を示していて、条例の改正案を提出する12月までに一部の方針をまとめたい考え。
全国に先駆けた制度として、実効性の高いものにしていくためにも、都は都民や事業者に対してしっかりと情報提供を行い、納得できる形ですすめていく必要があると思います。

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