9月に入ってもまだまだ飛んでいる蚊ですが、ことしの夏、「それほど多くなかったなー」と感じている方も多いようです。民間の気象情報会社が実施したアンケート調査の結果では、「この夏の蚊、どうだった?」という質問に対して70%以上の人が「いつもより少なかった」と回答していました。この夏、本当に蚊は少なかったのか、また、その理由はどういうことなのか、まとめました。
9月に入って、秋の気配も感じ始めましたが、蚊はまだまだ飛んでいます。
この夏の蚊の状況をどう感じているのか、聞いてみました。
今まさに戦ってきたところで刺されています。暑い時期はそうでもなかったけど。
少なかった気がします。刺された回数が圧倒的に少なかった。
少なかった気がします。ふだんだったら刺されているが、ことしはかゆくない。
東京・代々木公園で聞いたところ「ことしの夏は蚊が少なかった」と感じている人が多かったですが、全国的にはどうだったのか。
民間の気象情報会社「ウェザーニューズ」が8月、全国1万人余りから回答を得た調査があります。
それによりますと、「いつもより少なかった」と答えた人が全体の74%にのぼりました。次いで多かったのが「いつも通りだった」で22%。「いつもより多かった」は4%でした。
これは、去年までの3年間のいずれの調査結果よりも10ポイントほど多く、ことしは「蚊が少ない」と答えた人が特に多かったことになります。
なぜ蚊が少なかったのか。街ゆく人の考える理由は?
暑いから?
暑すぎたんじゃないですか。蚊もへばったんでしょ。
その要因の1つが気温です。
殺虫剤などを製造・販売する「アース製薬」によりますと、国内の広い範囲に分布するヒトスジシマカは、気温が25度から30度のときに活発に活動しますが、35度を超えると植木の葉の裏などの日陰に身を潜めるようになるといいます。
ことし7月1日から8月20日までの間に気温が35度以上の猛暑日を記録した日数を見てみると、東京が去年から9日多い10日だったほか、大阪は1日少ない14日、名古屋は6日多い11日、福岡は10日多い19日と一部を除いて各地で猛暑日が増えました。
ウェザーニューズ
「蚊にとってことしは厳しい暑さで夏バテしてしまったのかもしれない」
蚊の生態に詳しい長崎大学熱帯医学研究所の砂原俊彦さんによりますと、蚊は、温度が高すぎると、飛べなくなったり死亡率が上がって死んでしまったりするということです。
また、活動が鈍って、蚊が飛ばなくなり、人と出会うことがなくなると指摘したうえで、35度を超えるような猛暑が続くと、蚊の数自体が減ると考えられると説明していました。
長崎大学熱帯医学研究所 砂原俊彦さん
「9月くらいまでは、どんどん幼虫から成虫が出てくる。夏の暑さのピークに比べると、個体数が大きくなってくると考えられるので、(蚊を減らす対策として)植木鉢を並べているような家庭は、鉢の水受けに水がたまったままにすると、そこから蚊が発生するということが多くある。頻繁に水を替えるとか、たまったままにしないことが大事」
蚊は、日陰で雑草が生い茂り、風通しが悪い所に集まる傾向があるということで、雑草をこまめに刈ることが大切です。
砂原さんは、「蚊というのは、夏と関連付けられて意識されることが多いが、あまりに暑すぎると、蚊によっては秋のほうが増えるということもあるので、蚊の対策を忘れずにしてほしい」と話していました。