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日航機墜落事故37年で慰霊登山 現地で見つかった“酸素マスク”

  • 2022年8月12日

520人が犠牲になった日航ジャンボ機の墜落事故から12日で37年です。
墜落現場の群馬県上野村では、ことしも新型コロナウイルスの感染防止のため遺族や関係者に限って慰霊の登山が行われました。
また、ことし6月、現地では当時の酸素マスクとみられるものも見つかりました。
事故から37年となる今の動きをまとめました。

遺族らが慰霊登山

昭和60年8月12日、お盆の帰省客などを乗せた日本航空のジャンボ機が、群馬県上野村の山中に墜落し、国内の航空機事故としては最も多い、520人が犠牲になりました。

事故から37年となる12日は墜落現場の「御巣鷹の尾根」を目指して遺族などが慰霊の登山を行いました。

登山道沿いには亡くなった人たちの墓標があり、遺族などが花を手向けていました。
また、尾根にある慰霊碑の「昇魂之碑」の前でも、手を合わせて犠牲者を悼んでいました。

例年、8月12日は一般の人も含め、多くの人が慰霊の登山に訪れますが、村などは新型コロナの感染防止として、去年とおととしに続いて、ことしも登れる人を遺族や関係者に限っています。

「ここに来ることが1年の終わり」

弟の加藤博幸さん(当時21)を亡くした、さいたま市の小林由美子さん(63)は、夫やこども、それに孫と一緒に御巣鷹の尾根を訪れました。

小林さん

ここに来ることが私にとっての1年の終わりであり、下山をするとまた1年が始まります。お笑い芸人を目指していた弟は『いつも笑っていてね』とよく言っていたので、この山を下りたら涙をこらえて笑顔でまた1年頑張りたい。

取材に応じたあと小林さんは、墓標に向かって手を合わせると、涙を拭いながら「また来るね」とそっと声をかけていました。

「私たちを包んでくれる場所」

事故で父の若本昭司さん(当時50)を亡くした、神奈川県大和市の若本千穂さん(57)は、息子の崚さん(30)とその妻の愛河さん(29)、それに孫の詩葉ちゃん(4)と湖凪ちゃん(0)のあわせて5人で御巣鷹の尾根を訪れました。

そして、父の名前が書かれた墓標の前で静かに手を合わせていました。

若本さん

私にとってここはとても悲しくつらい場所であることに変わりはないのですが、家族で来られたということは、それ以上に私たちを包んでくれるような暖かくて優しい場所になってきていると思います。孫には、『ここにあなたたちのひいおじいちゃんがいて、守ってくれているよ』と伝えていきたいです。

新たに見つかったものも

見つかった酸素マスク

事故から37年となることし、新たに見つかったものもありました。
墜落現場の周辺は、3年前の台風19号による土砂崩れで被災し、復旧工事が進められていますが、ことし6月末、建設用の大型機械で沢の護岸を整備していたところ酸素マスクが見つかりました。

見つかった酸素マスクにはチューブや袋のようなものもついていて、日本航空によりますと、識別番号は読み取れないものの、見つかった場所から事故機の後部に取り付けられていたものとみられるということです。

日本航空は、酸素マスクを羽田空港にある事故の教訓を継承する「安全啓発センター」で社員や一般の来場者に公開し、安全意識の向上や事故の風化防止につなげることを検討しています。

御巣鷹の尾根では、去年も、エンジンの回転を伝える直径およそ20センチの歯車のような部品が見つかっています。

日本航空安全推進部 酒井宏彰グループ長
「社員の中でも少しずつ事故から距離が生じてしまっている実情があるが、今回の発見は『安全をしっかり確保できているのか』と問われていると感じる」

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