新型コロナウイルスの感染急拡大で、都内では厳しい状況に直面する飲食店も出ています。こうしたなか、デジタル技術を用して飲食店の感染リスクを「見える化」して、安全な時間帯での来店を促そうというサービスが始まりました。店内の二酸化炭素の濃度や混雑状況などネット上で利用客も見ることができるということです。
新型コロナウイルスの感染が急拡大するなか、東京都内の飲食店では感染対策に取り組む一方で、再び客足が落ち込んでいる店も出ています。
また、第7波では、今のところ政府が行動制限を行わない方針を示していて、休業要請などに伴う協力金も見込めないなど、経営は厳しい状況に直面しています。
こうしたなか、デジタル技術を活用して飲食店の感染リスクを「見える化」し、安全な時間帯での来店を促そうというサービスが始まりました。
これは、日立製作所などが8月3日から始めたサービスで、飲食店に設置されたセンサーが店内の二酸化炭素の濃度や、音、それにスマートフォンの電波などを感知します。
これによって、店内の混雑状況や湿度、騒音などが分かるほか、二酸化炭素の濃度は、「よい」、「やや換気が必要」、「換気が必要」の3段階で表示されます。
これらの情報は、ネット上で利用客も見ることができ、感染リスクを「見える化」し店内の状況を知らせることで、リスクの低い時間帯への来店につなげる狙いがあります。
サービスを導入した都内の商業施設の玉田泉統括マネージャーは「安全であることを正しく伝えることで安心して来店してほしい」と話していました。
日立製作所マネージドサービス事業部 羽根慎吾担当部長
「特に困っている飲食店から手を打ちたかった。店内の環境を事前に伝えることで店に行くきっかけにしてほしい」
飲食店での感染対策を巡っては、東芝も都内の電子機器メーカーと共同で店内の二酸化炭素の濃度をモニターして表示するサービスを始めるなど、感染リスクを「見える化」する取り組みが広がっています。
感染対策のうち効果的な換気などについて、政府の新型コロナ対策分科会は7月14日、具体的な方法を示しました。
このうち換気のポイントは飛まつと密閉された室内を漂う「マイクロ飛まつ」や「エアロゾル」と呼ばれるごく小さな飛まつによる感染を防ぐことが重要だとしています。
具体的には、室内では換気の装置がない場合、2つの方向の窓を開けて空気の流れを作ることや、ごく小さな飛まつが漂うリスクが低い場所から高い場所に向けて空気の流れを作るとしています。
その際には二酸化炭素濃度をセンサーなどでモニターし、おおむね1000ppm以下の濃度に維持できるようにするとしています。
また、飛まつの対策でパーティションを使う場合には、空気の流れを妨げないようパーティションを空気の流れと平行になるよう配置するほか、横の人との距離を1メートル以上確保出来る場合は空気のよどみを作らないために3方向をふさがないよう求めています。