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太陽フレアとは?最悪の被害想定 携帯・テレビ 2週間断続的障害も

  • 2022年6月22日

「太陽フレア」と呼ばれる太陽の表面の爆発現象です。「太陽フレア」が活発になった場合、
どのような被害が考えられるのか。
総務省は、最悪携帯電話が2週間にわたって断続的に利用できなくなるなど被害想定の報告書をまとめました。

太陽フレアとは 過去に大規模停電も

太陽は活動の周期があり、3年後の2025年ごろに活発になり、「太陽フレア」と呼ばれる太陽表面の巨大な爆発現象が増えると見込まれています。

「太陽フレア」によって、過去には大規模な停電などが起きています。
総務省によりますと、1989年にカナダでおよそ10時間に及ぶ大規模な停電が起きて600万人に影響が出たほか、2003年にはスウェーデンでも1時間の停電が起き5万人が影響を受けました。
また、位置情報を提供するGPSの精度が低下することも知られています。
日本では同じ2003年にJAXA=宇宙航空研究開発機構の人工衛星の一部の機能に障害がでたことがあります。

被害の想定は

総務省の有識者会議は21日、被害想定の報告書をまとめました。
それによりますと、太陽フレアによって地球上の磁気が乱れることで、最悪、携帯電話やテレビなどの放送が2週間、断続的に利用できなくなったり視聴できなくなったりするおそれがあるということです。

また、GPS衛星の精度に誤差が生じ、カーナビゲーションシステムが正常に機能しなくなるおそれも指摘しています。

さらに対策を講じていない電力設備では誤作動が起き、広域停電が発生するおそれもあるとしています。

予報や警報の導入など提言

こうした被害を防ぐためには太陽フレアはいつどの程度発生するか知る必要があります。

東京・小金井市にある情報通信研究機構では3年前から24時間体制で太陽フレアを監視。太陽の観測データや上空の電波の伝わり具合などをもとに、毎日専門家が予報会議を開いています。
24時間先までの太陽フレアの状況について「静穏」「活発」などの予報をまとめています。

ただ課題もあります。

NICT・情報通信研究機構 石井守センター長
「これまでの予報が(影響ではなく)現象中心のもの。ただそれではちょっとわかりにくい。特に影響を受ける事業者の方にとって、それじゃ何が起こるのかわかりにくい」

このため報告書では、社会的にどのような影響があるか知らせる予報や警報を導入することや通信などの分野では影響を受けやすい周波数を避け、有線通信などの代替手段を確保することなどを提言しています。

NICT・情報通信研究機構 石井守センター長
「産業界にはこのようなシナリオがあることを理解してもらい、少しずつインフラを整備していってほしい」

専門家「対応できる人材育成を」

茨城大学で30年近く、太陽活動の研究を行ってきた野澤恵教授に、太陽フレアについて聞きました。

茨城大学理工学研究科地球環境科学領域 野澤恵教授
「これから太陽活動がどんどん大きくなりますので、そのときにいろいろな災害が起こってくるのかもしれないと思っています。20年前には、人工衛星が太陽フレアによって姿勢を失い、最終的には運用することができなくなって、燃え尽きてしまったという例があります」

野澤教授の研究室では、太陽活動の予測に生かそうと、太陽の表面を撮影できる望遠鏡を大学の屋上に設置しています。
太陽が出ている日には、2分に1度、表面を撮影します。撮影された太陽の写真に、黒っぽい点が写っていました。これは強い磁場のある「黒点」と呼ばれるものです。
太陽フレアはこの周りでしばしば起こるとされていますが、最近、この黒点が増え、地球に影響が出るのではないかと懸念を強めているといいます。

茨城大学理工学研究科地球環境科学領域 野澤恵教授
「(太陽活動で放出されるものが)地球に正面衝突してしまった場合、その時の危険、ダメージがすごく高いので、そのあたりをなんとかうまく予測したいと思っています」

さらに野澤教授が大切だと考えているのは、太陽フレアに対応できる若手人材の育成です。
この研究室には学部や大学院の学生6人が所属していて、太陽フレアによる人工衛星の軌道変化や、太陽フレアを観測しやすい電波望遠鏡などについて、それぞれ研究を進めています。

ただ野澤教授は、ここ20年ほど太陽活動が落ち着いていたため、この分野に興味を持つ学生はあまり多くなかったといいます。

一方で、携帯電話やGPSなどへの依存が深まる現代社会では、若手人材の育成はさらに必要性が増していると考えています。

茨城大学理工学研究科地球環境科学領域 野澤恵教授
「太陽自体は非常に大きな現象なので、われわれとしては、起こってしまったものはしょうがないけれども、できるだけ被害を小さくすることを考えています。大切なのは、起こったときに対応する人材の育成だと思っています。企業や一般の人に対して、どう伝えていくか、橋渡しが重要だと考えていますので、そういった人材の育成を考えています」

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