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がん患者を支えるホテル 柏市の国立がん研究センター東病院の敷地に

  • 2022年6月21日

がん治療のために、遠くから通院する患者も利用しやすい設備やサービスを提供するホテルが、千葉県柏市にある日本のがん医療の中核を担う国立がん研究センター東病院の敷地内に建設されました。設備やサービスは、がんの治療中の患者やその家族などの意見を聞いて整えられたということで、その内容や病院との連携についてまとめました。

がん治療 都市部病院に多い治験や臨床試験

がん治療は、全国400か所あまりに「がん診療連携拠点病院」が整備されていて、全国どこでもがんの標準治療を受けることができますが、国立がん研究センターなどによりますと、新たな薬の治験や治療法の効果を検証する臨床試験の実施件数は、都市部の病院が多くなっているということです。

今回、敷地内にホテルが建設された国立がん研究センター東病院では、年間に受診するがん患者およそ30万人のうちの1割ほどは2時間以上かけて受診し、薬の治験に参加する患者の4分の1は100キロ以上離れたところから受診しているということです。

患者や家族の意見を設備やサービスに

敷地内のホテルは、145室の客室にあわせて300人あまりが宿泊することができるようになっていて7月にオープンします。がんの治療中の患者やその家族などの意見を聞き、設備やサービスが整えられたということです。

アイデアを提供した1人、櫻井公恵さん(54)は2010年に夫の雄二さんを消化器の希少がんで亡くしました。
雄二さんは千葉県銚子市にある自宅から片道3時間近くかけて治療のために国立がん研究センター東病院に通院していたということです。

櫻井さんは、雄二さんが仕事と病院での治療を両立させていた当時のことを思い出し、ホテル側に対して客室のインターネット環境を整え、患者が作業しやすい高さの机を置いてもらうよう要望しました。

また、雄二さんが抗がん剤の副作用で手の指に痛みが出てものを握ることが難しくなっていたことを思い出し、ペットボトルのふたなどをあける「オープナー」を部屋に常備してもらうようアイデアを出し、サービスとして取り入れられたということです。

櫻井さん
「治験など、最新の治療は受けられる施設がどうしても限られるが、患者や家族としてはどんなに家から遠くても、そこでしか受けられない治療なら受けたいという気持ちだと思う。患者目線に立ったホテルがあることは支えになるし、在宅療養に切り替えたときの参考にもできると思う」

患者の状態に合わせ介助を行う体制も

ホテルでは患者や家族の要望を生かして、治療中の患者が食べやすいよう患者や家族の希望に応じて、食事を細かく刻んだり、一口で食べられるようにしたりするほか、食べこぼしにくいスプーンなどの貸し出しも行うということです。

さらに客室には、緊急時に備え介護の研修を受けたスタッフとつながる呼び出しボタンがあるほか、人工肛門を装着している人に対応したシャワールームやトイレがある部屋や、治療で長期滞在する人のためにキッチン付きの部屋もあるということです。

病院から情報を受けて、ホテルのスタッフが患者の状態に合わせて介助を行う体制も整えるということで、病院ではがん患者と家族に対応したホテルができるのは初めてではないかとしています。

大津敦病院長
「治験を行うためには、スタッフも含めて非常に高度な態勢が必要で、どうしても受け入れられる病院が限られてしまう。抗がん剤の副作用などで体調を崩している患者さんにとっては、遠方からの移動は非常に負担になっていて、こうしたホテルを活用して少しでも負担を減らし、より多くの患者にこの病院の医療を提供できるようにしていきたい」

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