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円安進む どこまで?いつまで?わかりやすく 暮らしへの影響は

  • 2022年6月22日

加速する円安はどこまで進むのか、いつまで続くのか?
ことしに入ってからの対ドルの円相場は、当初1ドル=115円前後で推移していましたが、3月中旬から円安ドル高が進行。22日も136円台と、ことし初めと比べるとおよそ20円安くなっています。およそ24年前の1998年以来の水準です。
円安は、さらに進むという見方もあり、マイナスの影響に懸念が強まっています。
(22日情報追記)

136円台 円安水準更新

22日の東京外国為替市場、円相場は1ドル=136円台まで値下がりしています。
アメリカの長期金利が上昇して日米の金利差の拡大が意識され、より高い利回りが見込めるドルを買って円を売る動きが強まっています。

インフレ抑制のため利上げを急ぐアメリカと、金融緩和を続ける日本との間では金利差が広がり、為替市場ではドル買い円売りの動きが続いています。

このため、21日のニューヨーク外国為替市場では円安が一段と進み円相場は一時、1ドル=136円台後半まで値下がりして1998年9月以来、およそ24年ぶりの円安ドル高水準となりました。

市場関係者
「欧米の中央銀行がインフレ抑制に向けて金融引き締めを急ぐのに対し、日銀は大規模な金融緩和を継続する姿勢を示していることから、金融政策の方向性の違いが意識されて円が売られやすい状況が続いている」

金融政策 為替相場が目的でない

日銀がことし4月に開いた金融政策決定会合で、急速に進む円安をめぐり、金融政策は為替相場のコントロールを目的としているわけではないことを対外的に丁寧に説明する必要があるという意見が相次いでいたことが分かりました。

日銀は、ことし4月に開いた金融政策決定会合の議事要旨を公表しました。
この中で、急速に進む円安について何人かの委員が「金融政策はあくまでも物価の安定という使命を果たすために運営しており、為替相場のコントロールを目的としているわけではない点について、丁寧に説明していく必要がある」と指摘しました。

また、「金融政策運営にあたっては、為替相場の変動そのものではなく、経済・物価に与える影響を考える必要がある」といった意見も出されました。

そのうえで、新型コロナからの回復途上にある日本経済を下支えすることで、安定的な物価上昇を目指す必要があるとして大規模な金融緩和を維持することを決めました。

一方、長期金利の上昇を抑えるため、指定した利回りで国債を無制限に買い入れる「指値オペ」と呼ばれる措置について、委員からは「金融緩和を継続する姿勢を誤解なく伝える必要がある」といった意見が出され、原則として、毎日実施することを決めました。

金利差が円安を招く

円安が進んでいる背景には、記録的なインフレを抑えるため、金融引き締めを急ぐ欧米の中央銀行と、大規模な金融緩和を続ける日銀の金融政策の方向性の違いがあります。

アメリカの長期金利
去年末までは1.5%前後で推移していました。
ことしの2月、ロシアのウクライナ侵攻を受けた原材料価格の高騰でインフレへの懸念が強まり、アメリカの中央銀行にあたるFRB=連邦準備制度理事会が金融引き締めを強めるという見方から、2%台に上昇。
その後も、FRBが記録的なインフレに対応するため金融引き締めを加速させるという見方を背景に、長期金利は上昇を続け5月、3年5か月ぶりに3%台に上昇しました。

日本の長期金利
日銀の大規模な金融緩和の一環で、ゼロ%程度、事実上の上限として0.25%程度に抑えられています。
年明けにはおよそ1%だった日米の金利差が、いまはおよそ3%と3倍に広がっている形で、より利回りが見込めるドルを買って、円を売る動きにつながってます。

欧米と日本の違いが鮮明に

今後の方針についても、欧米と日本の違いが鮮明になっています。
アメリカのFRBは、ことし3月に政策金利を引き上げゼロ金利を解除したあと、5月、0.5%の大幅な利上げを決めました。
さらに6月と7月も大幅な利上げが見込まれています。

イギリスのイングランド銀行も今月、5回連続となる利上げが見込まれているほか、ヨーロッパ中央銀行も来月、11年ぶりの利上げに踏み切る方針です。

これに対して、日銀はいまの大規模な金融緩和を続ける方針を堅持していて、こうした方向性の違いが今後も金利差が広がるという見方につながっています。

日銀総裁「金融引き締め行う状況にない」

日銀は、黒田総裁が「金融引き締めを行う状況には全くない」と述べるなど、大規模な金融緩和を堅持する方針を示しています。

日本の経済や物価の状況は欧米とは大きく異なり、まず、GDP=国内総生産の規模は2019年の10月から12月期では年換算で541兆円だったのに対して、ことし1月から3月期は538兆円となっていることなどから、新型コロナの感染拡大前の水準を回復できていないとしています。

また、働く人1人あたりのことし4月の名目賃金は、前の年の同じ月と比べ1.7%の増加にとどまり、経済の持ち直しを反映して増加しているものの、上昇は緩やかなものにとどまっているとしています。

このため、いまの局面で金融緩和をやめて引き締めに転じてしまうと、金利の上昇などを通じて景気を冷え込ませるおそれがあるとしています。

日銀としては、賃金と物価がともに上昇する好循環をつくり出すため、粘り強く金融緩和を続けるとしています。

ただし、急速に進む円安についても、黒田総裁は先行きの不確実性を高め、企業の事業計画の策定を困難にするなど、「経済にマイナスであり望ましくない」としています。

アメリカが金融引き締めを加速する一方、日銀が金融緩和を続ければ、金利差がさらに広がり、一段の円安となって経済へのマイナス影響も大きくなる懸念があります。
つまり、緩和を維持しても、引き締めに転じても、どちらも景気を悪化させかねないというジレンマを抱えていて、日銀は難しいかじ取りを迫られています。

物価高に拍車 東京都は補正予算 

原材料価格の高騰をうけた事業者への支援策を盛り込んだ東京都の補正予算案が都議会で可決・成立しました。

東京都議会の定例会は最終日の15日、本会議で採決が行われ、総額4283億円の補正予算案が可決・成立しました。

補正予算には、新型コロナ対策として専用の病床を設けたり、自宅で療養する人の健康観察を行ったりするなど医療提供体制を引き続き確保するための費用、3559億円が盛り込まれました。

また、原材料価格や物価の高騰に苦しむ事業者への支援策として723億円が計上され、都は、中小企業の資金繰りの支援や販路拡大に向けた相談体制を拡充するとしています。

円安 今後の見通し

今後の見通しについて、日本総合研究所の松田健太郎副主任研究員は次のように指摘しています。

日本総合研究所 松田健太郎副主任研究員
「FRBはことしの夏ごろまでは、インフレ抑制に向けて強い姿勢を続けるとみられる。金利差の相関関係から見ると、アメリカの長期金利がまだ上昇していくので、1ドル=140円くらいの水準となってもおかしくはない。
アメリカが金利を極端に上げすぎると、アメリカ経済の減速が避けられない事態に向かう懸念もあり、その場合はむしろ円高方向に向かう可能性もある。
為替の変動が激しく不安定な状態が続くと、日本企業は今後の事業計画を立てる上で不透明感が強くなり、経済にとってマイナスの影響が大きくなる」

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