1. NHK
  2. 首都圏ナビ
  3. もっとニュース
  4. サル痘の注意点 感染力や国内への流入は 症状の進み方など詳しく

サル痘の注意点 感染力や国内への流入は 症状の進み方など詳しく

  • 2022年6月14日

「サル痘」は、天然痘に似て特徴的な発疹などの症状が出る感染症で、欧米各国でも広がっています。日本では確認されていませんが、国内流入の可能性など今後の見通しや、患者が確認されている地域に行く際の注意点などについて専門家に聞きました。
また、サル痘に感染すると症状はどう進むのか、感染力や警戒すべき点などをまとめました。

サル痘 多くは軽症だが重症化のケースも

「サル痘」は、天然痘ウイルスに似た「サル痘ウイルス」に感染することで起きる病気です。一般にネズミやリスなど感染した動物にかまれたり、血液や体液、発疹に触れたりすることで感染するとされています。

また、感染した人の発疹や体液、かさぶた、患者が使った寝具や衣類などに接触したり、近い距離で飛まつを浴びたりすることで、誰もが感染する可能性があると指摘されています。

国立感染症研究所やWHOなどのウェブサイトによりますと、サル痘のウイルスの潜伏期間は通常、7日から14日間で、潜伏期間のあと、発熱、頭痛、リンパ節腫脹、筋肉痛などが1日から5日間続き、その後、発疹が出るということです。

発疹は、典型的には顔面から始まって体じゅうに広がります。徐々に膨らんで水疱になり、うみが出て、かさぶたとなり、発症から2~4週間で治癒するということです。

多くの場合は、軽症で自然に回復しますが、肺炎や敗血症などの合併症を引き起こすことがあり、年齢が低いほど重症化する可能性があるとされています。

高い効果の天然痘ワクチン 国家備蓄も

サル痘に対しては、かつて接種が行われた天然痘のワクチンが高い効果があり、WHOによりますとサル痘の感染を防ぐ効果は85%に達するということです。

天然痘のワクチンは、日本には、効果が高く、副反応も小さいとされるワクチンがあり、テロ対策の一環として国家備蓄されています。
また、欧米各国では、サル痘の感染対策として新たに天然痘のワクチンを購入する動きが相次ぎ、カナダなど一部の国では医療従事者や、患者と接触した人などへの接種が始まっています。

サル痘に対する薬の開発は進められていますが、いまのところ特効薬のような治療はなく、各国では対症療法で対応しています。

異例の広がり ヨーロッパなどに定着を懸念

サル痘については、これまで見られてこなかったヨーロッパなどに定着することが懸念されています。
サル痘はもともと、アフリカの一部の国で感染が報告されていましたが、2022年5月以降は欧米各国でも広がっています。
WHOは定着を食い止めるため、患者の追跡、隔離を強化するよう各国に呼びかけていますが、イギリスやスペインなどでは感染の連鎖に歯止めがかかっていません。

6月8日時点では、サル痘が定着していた地域以外の28か国で1200人以上の患者が確認されていますが、広がっているのは比較的病原性が低い、西アフリカ系統のウイルスだとされ、死亡した人はいないということです。

ECDC=ヨーロッパ疾病予防管理センターは「可能性は非常に低い」とした上で、ヒトからヒトの感染が続けば、いずれ動物に感染してヨーロッパに定着する可能性を指摘しています。

サル痘 日本では報告なし 入院体制確保を

厚生労働省によりますと、日本では集計が開始された2003年以降、サル痘の感染は報告されていないということです。
厚生労働省は5月20日と6月1日に都道府県などに対し事務連絡を出し、疑わしい患者があれば報告し、指定医療機関への入院体制を確保するよう求めています。

また、サル痘の検査は水疱に含まれている液体などから新型コロナウイルスと同じようにPCR検査で調べられますが、現時点で確定診断ができるのは国立感染症研究所に限られています。

国内流入のおそれや警戒すべきポイントは

元国立感染症研究所の獣医科学部長で、サル痘を研究してきた岡山理科大学の森川茂教授に、いまの感染状況や今後の対策について話を聞きました。

〇感染力と広がり方
従来よりも強い感染力があるとは、まだWHOもCDCも考えてないようです。濃密な接触での感染拡大が起き、患者と同じ家に住む人に広がっているという状況です。飛沫感染や空気感染でどんどん広がっていることはないと思います。
天然痘では発熱や悪寒などインフルエンザのような症状が最初に出て、数日たって発疹が出てきますが、今回のサル痘では発熱や悪寒がなく、元気だったのに突然発疹が出ている患者が多く報告されています。知らない間に感染を広げてしまっていることも考えられます。

〇国内流入のおそれは
およそ30か国で1000人を越える感染者が出ているので、当然、潜伏期間中の感染者が日本に入ってきて、発症するリスクはあります。海外からの観光客の受け入れが再開し、感染した人が海外から来て発症するということもありえると思います。
もし国内で感染者が出た場合、濃厚接触者の方を含めて検査が必要になってきます。医療機関では、海外から入国した人で発熱や発疹が出た人はサル痘を疑うべきだと思います。

〇ヨーロッパなど海外に行く際の注意点
取引先などとディスカッションしたり、会話したり、食事するぐらいの程度では感染するリスクはほとんどないです。ただ、あいさつのときに、ハグしたりキスしたりすることがありますが、そういった接触は避けたほうがいいと思います。

〇警戒すべき点や必要な対応
これから先、どうなるかは分からない部分があります。ただ、現時点で、市中感染する恐れはないと考えています。海外から来る人が増えていく中で、流入のリスクは高くなるはずなので、まずは水際での対策、発熱や発疹がある人がいたら、空港検疫で見つけて検査につなげていくことが大切です。その後、症状が出た人については、適切な検査や治療を受けてもらう必要があります。

感染の広がり 追跡調査で確認された患者は

今回の感染広がりについて、WHOやECDCは、これまでの追跡調査で確認された患者の多くについては、男性どうしでの性的な接触があったとしています。

一方で、感染経路が特定できない、いわゆる「市中感染」とみられる患者や、女性の患者も確認されているとして、特定のグループの人々の病気としてとらえずに、警戒すべきだとしています。

WHOは、サル痘にかかった人と密接に接触したことのある人は誰もが感染するリスクがあるとして「病気を理由に不当な扱いを受ける人がいてはならない」としています。

WHOは、症状が出ている人は検査を受け、他の人との密接な接触を避けて、医療機関にかかるよう呼びかけています。

ページトップに戻る