新型コロナウイルスの全国の感染者数は減少傾向が続いていて、東京都内でも引き続き減少しています。こうしたなか、海外からの水際対策が緩和されることなどから、都の専門家は9日、「今後の変異ウイルスの動向を注視する必要がある」と指摘しました。
感染者数や変異ウイルスの状況、今後の見通しなど専門家の見方をまとめました。
政府は6月1日から1日あたりの入国者数の上限を2万人に引き上げ、10日からは外国人観光客の受け入れを再開しました。
今回、受け入れの対象になるのは、アメリカや韓国、イギリスなど、リスクが低いと判断されたあわせて98の国と地域からの添乗員付きのツアー客に限定されます。これらの観光客はワクチン接種を受けていなくても入国時の検査や待機措置は免除されます。
また、東京都は、都民が都内で旅行する際の費用を助成する いわゆる“都民割”、「もっとTokyo」を7 月末まで試験的に再開しました。
都内の新型コロナウイルスの新規感染者数は、9日の段階で、前の週の同じ曜日を27日連続で下回りました。
また、新規陽性者の7日間平均は、8日時点で前の週のおよそ76%の1784人となっていて、都のモニタリング会議で専門家は「新規陽性者数は継続して減少している」と分析しました。
その一方で会議では、都内でもゲノム解析の結果、これまでにオミクロン株の「BA.2.12.1」が12件、オミクロン株の系統のひとつで「BA.5」と呼ばれる新たな変異ウイルスが5件、それぞれ確認されていることが報告されました。
専門家
「海外からの観光客の受け入れが再開されるなど、水際対策が緩和されている。今後の変異ウイルスの動向を注視する必要がある」
厚生労働省の専門家会合で示された資料によりますと、7日までの1週間の新規感染者数は全国では前の週と比べて0.70倍と減少傾向が続いています。
関東地方は、東京都で0.72倍、栃木県で0.71倍、神奈川県で0.68倍、千葉県で0.67倍、茨城県で0.66倍、群馬県で0.65倍、埼玉県で0.63倍となっています。
専門家会合は、現在の感染状況について、全国で減少傾向が続き、首都圏など大都市圏のほか、一部の地方都市でも去年夏の第5波のピークを下回っているとしました。年代別でもすべての年代で感染者数は減少し、これまで横ばいだった亡くなる人の数も減少に転じたとしました。
今後の感染状況について専門家会合は、短期的には大都市部で減少傾向が続くことが見込まれるとしました。
その一方で、3回目のワクチン接種やこれまでの感染によって得られた免疫の効果が徐々に下がっていくこと、7月以降は夏休みの影響もあって人との接触機会が増えること、オミクロン株の新しい系統に置き換わっていく可能性があるとしています。
〇「夏ごろに感染者数増加も懸念」
・免疫効果が徐々に低下
・夏休みなど接触機会の増加
・オミクロン株の置き換わりの可能性
こうしたことから「夏ごろに感染者数の増加も懸念される」として医療体制への影響などを注視する必要があると指摘しました。
また、緩和が進む水際対策については、海外から訪れる人に対して日本に向けて出国する前の検査を継続して求めつつ、日本に入国する際の検査で陽性となった人については変異ウイルスの状況を監視するため、ウイルスの遺伝子解析を続けることが必要だとしました。