1. NHK
  2. 首都圏ナビ
  3. もっとニュース
  4. 部活動 地域移行で提言案 経済的な負担や指導者確保どうする?

部活動 地域移行で提言案 経済的な負担や指導者確保どうする?

  • 2022年5月31日

部活動を地域に移行していくための課題を議論してきたスポーツ庁の有識者会議は31日、指導者の確保策や大会のあり方などを盛り込んだ提言案をとりまとめました。部活動を地域に移行するうえで課題について、東京都内など首都圏の現場を取材しました。

有識者会議が提言案

6月にも有識者会議の正式な提言としてスポーツ庁に提出されます。部活動と教員の働き方改革を両立させるため、国は来年度から休日の中学校の部活動を地域のスポーツクラブなどに段階的に移行していく方針を示していて、これを受けてスポーツ庁は去年、有識者会議を設置して、課題などを議論してきました。

31日開かれた有識者会議の会合では、国に対する提言案がとりまとめられ、座長に一任することで議論を終えました。

提言案
・部活動の受け皿として、地域のスポーツクラブや民間事業者のほか、保護者会なども想定。
・指導者の確保に向けては、資格取得や研修の実施を促し、企業やクラブチーム、大学と連携している例を参考にすべき。
・スポーツ団体などに支払う会費が保護者の大きな負担になると、参加をためらうおそれがあり、地元企業からの寄付や、経済的に困窮する家庭に対する自治体からの補助のほか、国による支援策の実現に向け検討する必要がある

そして、今後の部活動のあり方については、全国大会の仕組みが練習の長時間化や加熱化の一因になっているとして、開催回数を適正にすべきだと指摘しているほか、学校で教員が指導することが前提でなくなる一方で、部活動の成績が高校入試のアピール材料になっている現状を踏まえ、生徒の個性や能力を自己評価の資料などで多面的に評価することが望ましいとしています。

これらの内容は6月にも正式な提言としてスポーツ庁の室伏長官に提出されます。

地域移行 経済的な負担どうする?

部活動を地域移行するうえで課題となるのが経済的な負担をどうするかです。
これまで部活動は教員の献身的な働きによって支えられ、指導料については保護者の費用負担はありませんでしたが、地域移行を進める場合、指導の対価を支払わなければいけない可能性があります。

東京・渋谷区では去年から区内の8つの中学校から生徒たちが集まって活動する「合同部活動」が始まっていて、今年度から会費が徴収された部活動があります。

プロダンサーが教えるダンス部は年間1万7000円で、これについて保護者は「外部に習いに行くことを考えるとかなり安いと思います」と話していました。

合同部活動を運営しているのは一般社団法人で、会費だけではまかなえないため、区は今年度、3600万円を支払って指導の委託を始めています。

渋谷区スポーツ振興課田中豊課長
「活動を充実したものにするためには経費がかかるので最低限の会費を取る仕組みは続けていきたい」

自治体の財政的な課題

一方、規模の小さな自治体は部活動の地域移行を進めるにあたって、財政的な課題を感じています。人口2万7000人の神奈川県二宮町では、昨年度、部活動の地域移行を見据えた国の実証事業として地域のスポーツ団体が日曜日に中学生にフットサルの指導を行いました。

国の補助で行われ町の持ち出しはなく、参加した生徒からも反応がよかったといいます。
しかし、実際に部活動の地域移行を行う場合、町の支出が多額になって財政的に厳しくなるほか、仮に保護者に相応の負担を求めても理解を得られるか、町は不安に感じています。

二宮町教育委員会 田中明夫課長代理
「1つの自治体で人件費などをまかないなさいとなると相当な金額が必要で小さな自治体にとって厳しい。自治体の実情に応じて国などが支援できないか検討いただきたい」

地域移行で教員の勤務に余裕

茨城県つくば市の中学校は、4年前から、外部のスポーツ経験者に生徒たちの指導を任せる「地域移行」を進めていて、学校は「教員の勤務に余裕ができ、子どもと向き合う時間が増えた」としています。

つくば市の谷田部東中学校は4年前から、教員の働き方改革を進めるため学校独自の取り組みとして週4日の平日の部活動のうち、1日を「地域部活動」として外部に任せています。

指導しているのは近くにある筑波大学の運動部の学生や、民間のスポーツクラブのインストラクターなどで、学校と保護者などが立ち上げた団体が、指導者の派遣を依頼する仕組みとなっています。

外部の指導者が担当する日の参加は希望制で、毎月1250円を会費として集め、指導者への謝礼に充てます。

今では15の部のうちテニス部や剣道部など11の部で、外部の指導者を招いています。
このうちテニス部を指導しているのは、筑波大学の軟式庭球部の学生で実力がある上、生徒たちと年が近い学生たちによる指導は「わかりやすく教えてくれて、参考になる」などと生徒たちに好評だということです。

一方、テニス部の顧問の笹目侑希先生によると、部活動がある日は午後6時をすぎてからようやく授業などの準備に取りかかることも多く、週に1日、外部の指導者が対応する日は集中して準備ができる貴重な日になっているということです。

また、笹目先生は、テニスの経験がないものの人繰りから顧問を任されていたということです。

テニス部顧問 笹目侑希先生
「教材研究などの業務を集中してできるので、地域移行のメリットは大きいと思います。テニスについても子どもたちが教えてもらって楽しいと思った練習を取り入れている。子どもたちがうまくなる姿を見られてありがたい」

永井英夫校長
「地域移行によって週に1回でも教員の勤務に余裕ができ、子どもと向き合う時間が増えたと思う。地域移行が持続可能な活動になるように、うまく発展させていきたい」

ページトップに戻る