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「サル痘」天然痘に似た症状 予防や注意点 欧米で広がる感染の今後は

  • 2022年6月3日

天然痘に似た症状の感染症「サル痘」の患者の報告が欧米を中心に相次ぎ、WHOは感染拡大への危機感を示しています。各国ではワクチンの確保を進めているほか、厚生労働省は患者の受け入れ体制を確保するよう自治体に通知しました。「サル痘」はどのような経路で感染し、どんな予防や対策があるのか。注意点や今後の広がりについて専門家に聞きました。
(6月3日更新)

「サル痘」とはどんな症状? 致死率は

〇「サル痘」症状・重症化は
「サル痘」は天然痘ウイルスに似た「サル痘ウイルス」に感染することで起き、国立感染症研究所によりますと、顔や体に特徴的な発疹が出るほか、発熱やのどの痛み、リンパ節が腫れるなどの症状が出ます。
多くの場合、2週間から4週間程度で自然に軽快するものの、幼児や妊婦、それに健康状態によって免疫が抑制される人などで重症化する場合があるということです。

〇「サル痘」の致死率は
「サル痘」の致死率は、過去にアフリカで感染が起きた際には、数%から10%程度に上ったと報告されています。
また、2003年には、アフリカからペットとして輸入された小動物を通じてアメリカにウイルスが持ち込まれたあと、合わせて71人が感染しましたが、亡くなった人はいなかったということです。

「サル痘」感染の拡大が続く

ECDC=ヨーロッパ疾病予防管理センターは5月31日、EU域内で確認されたサル痘の患者が12か国で321人に上ると発表しました。

また、イギリスでも患者が増え、196人に達したほか、カナダやアメリカ、オーストラリアなどもあわせると確認された患者は550人以上となっています。

治療や予防は? 天然痘ワクチン確保の動き 

「サル痘ウイルス」は、ネズミやリスなど感染した動物にかまれたり、血液や体液、発疹に触れたりすることで感染することがあるということです。
また、感染した人の発疹や体液に触れたり、飛まつを浴びたりすることで、ヒトからヒトに感染する可能性があるということです。

治療法はありませんが、1980年に根絶された天然痘に対するワクチンが「サル痘」にも高い予防効果があるとされていて、各国ではワクチンの確保を進めるなど「サル痘」の感染拡大に警戒を強めています。

〇スペイン
スペイン政府は5月25日、デンマークの製薬企業から「サル痘」にも有効な天然痘のワクチンを購入することを明らかにしました。購入したワクチンの量は明らかにしていませんが、国内すべての州に配布し、接種の準備をすすめるとしています。

〇ドイツ・イギリス
このほか、ドイツ政府は感染の拡大に備え、4万回分の天然痘ワクチンを発注したことを明らかにしたほか、イギリス政府も患者と濃厚接触した人や、医療従事者などに接種する態勢を整えています。

〇アメリカ
これまでに3人の患者が確認されているアメリカは、CDC=疾病対策センターが「必要に応じ政府が備蓄しているワクチンを接種する用意がある」としています。

〇日本
「サル痘」について後藤厚生労働大臣は27日、日本国内での感染は確認されていないとした上で、感染予防に有効だとする報告がある天然痘ワクチンをテロ対策の一環として、国内で生産・備蓄していることを明らかにしました。

WHO “大規模パーティやイベントで感染拡大した”

WHOヨーロッパ地域事務局は5月31日、「調査の結果、ことし4月中旬の時点で感染が広がり始めていたことがわかった」として、大規模なパーティやイベントでの濃厚接触などを通じて感染が拡大したという見方を示しました。
そして「今後、数か月の間に予定されているイベントなどを通じてさらに拡大する可能性がある。感染を封じ込めるためには感染者の数を大幅かつ早急に減らさなくてはならない」と危機感を示しました。

その上で各国の政府や医療機関に対し、感染者の隔離や追跡調査、サル痘の診断態勢を整えることや、イベントの主催者などにも参加者に感染のリスクについての注意喚起を行うことなど厳重な対応を求めています。

厚労省通知 “患者受け入れ体制の確保を”

「サル痘」は、国内ではこれまで患者は確認されていませんが、厚生労働省は今後に備えて医療機関と協議した上で患者の受け入れ体制を確保するよう全国の自治体に通知しました。
危険性の高い感染症にも対応できる全国58の指定医療機関で優先的に受け入れるのが望ましいとしています。

また、原因が説明できない急性の発疹のほか、38度5分以上の発熱や背中の痛み、リンパ節の腫れなどを訴え、かつ、発症から21日以内にサル痘の患者が報告されている国に滞在していた人が受診した場合は、感染が疑われるとして、ただちに保健所に届け出るよう全国の医療機関に求めました。

専門家 “感染経路の詳しい調査を”

欧米などでサル痘の感染の報告が相次いでいることについて、サル痘に詳しい岡山理科大学の森川茂教授に聞きました。

〇感染経路の調査を
アフリカではサル痘のウイルスを持つげっ歯類が森林にいて、野生動物に触れた人が感染する状況が起きやすく、アフリカから帰国した人が発症するケースがある。
通常は感染しても別の1人にうつるくらいだったが、今回のように感染がアフリカの外で90人にも広がるのは初めてで警戒しなければいけない。
なぜこれだけ感染者が増えているのか、どのような感染経路で広まったのか、詳しい調査が待たれるところだ。

〇天然痘ワクチン
上の世代で2回以上接種している人は数十年たっても免疫が残っているとされる。日本には、非常に有効で副反応がほとんど出ない安全なワクチンがある。バイオテロ対応の国家備蓄用ワクチンとして作られているので、いまは一般の人は入手できないが、かなりの製造能力はある。
治療法については対症療法しかないが、アメリカでは治療薬がすでに承認されていて感染が拡大すれば広く使われると考えられる。

〇今後の感染の広がり
海外で報告されている患者の年齢まで詳細にはわかっていないが、感染の中心は天然痘のワクチンを受けていない世代であることはまちがいないと思う。
サル痘は患者の体液とか血液に触れると感染する病気で、新型コロナウイルスのように急激に患者が増えているわけではなく、世界中に感染が拡大することは心配しなくてよいと思う。

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