高齢ドライバーによる事故が相次いでいることを受け、違反歴がある75歳以上のドライバーが免許を更新する際に技能検査が義務づけられました。対象は更新時点からおよそ3年間さかのぼり、信号無視やスピード違反など11種類の違反を1つでもしたドライバーで、対象者は年間およそ15万人と予想されています。制度の詳しい内容をまとめました。
高齢ドライバーの事故防止対策を盛り込んだ改正道路交通法が施行され、一定の違反歴がある75歳以上のドライバーは、免許を更新する際、実際に車を運転して技能をチェックする検査が義務づけられます。
対象は更新時点からおよそ3年間さかのぼり、信号無視やスピード違反など11種類の違反を1つでもしたドライバーで、自動車教習所などのコースを走りながら、ハンドル操作の正確性や一時停止の有無などを減点方式で確認し、検査は繰り返し受けられますが、更新期限までに基準に達しなければ免許は失効します。
違反歴がある高齢ドライバーが免許を更新する際に義務づけられる「運転技能検査」は5つの項目からなります。
具体的には、「指定された速度での走行」、「一時停止」、「右折と左折」、「信号機の通過」、それに「段差乗り上げ」で、減点方式で基準の点数を上回れば合格です。
ただし、検査中に逆走したり、信号無視で横断歩道まで達したりした場合はその場で不合格となります。
5つの項目のうち、「段差乗り上げ」は高齢者によるアクセルとブレーキの踏み間違いによる事故が相次いだことを受けて設けられました。
検査では、アクセルを踏んで高さおよそ7センチの段差に乗り上げた後、ブレーキに切り替えて素早く停止できるかを確認します。
段差に乗り上げられない、または乗り上げた後、1メートル以内に停止できない場合は減点されるということです。
運転技能検査の対象者は年間およそ15万人と予想されていて、対象かどうかは免許の更新を知らせるはがきに記載されるということです。
警視庁によりますと、都内の場合、会場は、警視庁の府中運転免許試験場と鮫洲運転免許試験場、それに東京都公安委員会の指定を受けた43の自動車教習所となります。受検には事前の予約が必要だということです。
警視庁運転者教育課の茅根弘幸課長は「運転技能検査を通じて身体能力や判断能力の低下を自覚していただき、今後の安全運転につなげてほしい」と話しています。
また、自動ブレーキなどの安全機能を備えた「サポートカー」に運転を限定する新たな免許も導入されました。警察庁は新しい制度の普及を図り、事故防止の取り組みをさらに強化することにしています。